Orangestarでいちばん好きな20曲を語る
好きなアーティストの「いちばん好きな曲を語る」シリーズ、5年半ぶりの第3回は、逆になぜ今までやっていなかったのか不思議なOrangestarです!
これまで、noteや評論同人誌などで、Orangestar楽曲についていろんな角度から語ってきましたが、シンプルに「そういうお前はどの曲が好きやねん」というランキングはあまり書いてきませんでした。そろそろ時機が来たかなと思うので、発表します。
ちなみに、このnoteを書こうと思った直接の原因をぶっちゃけると、ひとり旅で立ち寄った甲府駅のピアノで「Alice in 冷凍庫」のイントロが弾かれているところに遭遇して運命を感じ、帰りの身延線の車内で4時間ぶっ続けでOrangestarを久々に聴き込んだから、です。旅の出会いに、感謝
・当たり前ながら、前提としてOrangestarの曲はぜんぶ好きです。その中でも特にお気に入りの曲を悩んで選び抜いて順位付けをしています。
・選出対象は「Orangestar」名義で発表されている曲に限っています。
それではどうぞ!
20位:からっぽの街月夜の下
まず紹介するのはメジャー1stアルバム『未完成エイトビーツ』のアルバム限定曲「からっぽの街月夜の下」。
ネットでMV等の公開もなく、ライブでも(多分)あまりやっていないため、Orangestarのなかではマイナー寄りの曲でしょう。
しょうじき、『未完成エイトビーツ』を買って聴き込んでいた高校生の頃は、そんなに気にすることのないアルバム曲のひとつでした。
しかし、ここ数年になって「実はOrangestarの真骨頂がよく表れためちゃくちゃ良い曲では……?」と思い始めて、どんどん好きになっています。
「真骨頂」だと感じる点のひとつは、執拗な「て」の繰り返しです。
ねぇ待って待ってよいかないで
月はすぐそこに在んのよ
満たしていたって"だって"振り翳して
僕の伸ばす手またすぐ躱していた
note「「て」と言ったら加速してしまうアスノヨゾラ哨戒班」で語ったように、Orangestar楽曲において「て」の反復は重要だと思います。(より詳しくは『ボーカロイド文化の現在地』収録の拙論で語っています)
「からっぽの街月夜の下」では、歌始まりの冒頭から小気味よく「て」を重ねていきます。
「いかないで」の「で」も押韻していますし、もっといえば "月" の「つ」や "満たして" の「た」など、より広くt音で踏んでいるとみることもできます。
また、この曲は「1サビ-Aメロ-Bメロ-間奏-2サビ-3サビ」という構成で、このうち1サビと3サビは同じですが、間奏後の2サビのみ、詞も譜割り(メロディ)もやや異なっています。この2サビがとてもいい。
その日見た月明かりイヤホンが
揺れるままにただ走り出した夜
答えなど無いけどどっか味気なくて
誰もいない世界の夜に染まっていた
Orangestarでは1番と2番でサビのメロディが変わることがよくありますが、こちらもその類型といってよいでしょう。
「走り出した夜(よ)」から間髪入れずに「答えなど…」と続くのも心地よいです。
総じて、簡潔なオケに言葉とメロディを乗せる抜群のセンスが光った、小品ながら名曲だと思います。口ずさみたくなる
19位:快晴 (Live Edit)
ネットに投稿されたり初音ミク10周年アルバムに収録されたりしている有名なバージョンではなく、そのプロトタイプとなったこちらの「快晴」のほうがわたしは好きです。そんな話を7年前にもしました。
明日になったら晴れるだろう
なんて冗談じゃないさ
泣く前に泣き止まないで
床に落ちた流れ星が
消えゆく前に醒めないで
1コーラスのみの短い構成ですが、こちらのver.にしかないメロディと歌詞のBメロがとても好きです。(くわしくは↑のnoteを)
18位:白南風
最新3rdアルバム『And So Henceforth,』より「白南風(しらはえ)」がランクイン。のちに遼遼さんのギターアレンジが加わりボーカルがIAさんになったver.が公式YouTubeチャンネルから投稿されましたが、選出はミク歌唱のアルバム版とさせてください。
この曲は、なんといってもイントロの四つ打ちとピアノが明らかに「Henceforth」を連想させる作りになっています。といっても、あちら(Henceforth)はローにAメロを入ってから徐々に盛り上がっていきサビで明るさが爆発しますが、「白南風」はサビに入ってもどこか気怠くダウナーな曲調を保ち続ける点が大きく違います。
また心にもないことを
僕らは語ってられるよ
何様気取りのまま
僕らは空に溶ける
これはいわばHenceforthの裏面であり、そのような曲が同じアルバムに収録されているところが好きです。あの突き抜けるような明るさの裏に通底している、Orangestarの内省と「夏」観に思いを馳せてしまう一曲です。
ちなみに、明るさ(光)のなかに通底している「闇」に関しては、Henceforth投稿直後のnoteでもすでに言及していました。「白南風」を初めて聞いたとき、あのとき書いた論の答え合わせのような気分になったことはいうまでもありません。
「闇を抜ける」ことは本当は、金輪際「闇」を跳ね除けて「光」のなかで生きていくことではない。たしかに一度闇を抜けた。それは雨上がりのイラストからも明らかである。しかし「もう一回」訪れるのは夏だけではない。この曲の反復性が示すのは、光を願いながらも闇とともに歩んでいく、そのひたむきな過程そのものである。
17位:悪性新生物
メジャーアルバム収録もサブスク配信もされていない初期の曲のなかで「悪性新生物」がいちばん好きです。
本人があまり聴かれたくないと考えているのか、YouTube上でも非公開になってしまいました。が、個人的には初期Orangestarの屈指の名曲だと思っています。
もちろん編曲・アレンジは非常にシンプルというか拙いのですが、だからこそ当時の若ngestarの思想が歌詞に色濃く反映されているところが良い。
なんせ歌い出しから「幽閉牢毒された空気を吸った 僕は瞬間砕けて光った」です。飛ばしている。
アスノヨゾラの「願ったんなら叶えてしまえや」の源流とも考えられる「叶える前にほら 願ってみな」という1サビ終わりのフレーズや、2サビ末の「僕はまだ 未完成だ」など、Orangestarの核が詰まっています。
また、「いま言ったことをカッコに入れてすぐに否定する」構造がOrangestar楽曲には頻出し、それをわたしは〈対照化〉と名付けて論じてきました。
この曲のBメロから1サビの入りは
知らないことが多すぎて 自分が誰かもわかんない!
/
って言えたらいいなって 思うようになっていた
でもそれはただの思いであって
願いじゃないこともわかっていた
のように、まさに〈対照化〉構造によって架橋されている大胆な構成になっているのがなかなかに面白いです。(もちろんその直後にも「でも」が繰り返されて何度も〈対照化〉をしています)
2番のB→サビの移行部も「嫌だ! まだ / ここで生きれたらいいなって 思ってしまったんだ」と詞が文として繋がっており、これが楽曲に独特な疾走感と焦燥感を生んでいます。のたうち回りながら生き急ぐ若かりしOrangestarの姿を幻視してしまいます。(このあとも「でも」や「って」で〈対照化〉しまくっています)
そしてなにより、"Bestir? Restart? いや Surrender?" と連呼されるヘンテコな間奏のあとにくるラスサビの詞がいちばん好きです。
そして Hate me Hate you
However, I've not geven up.
まだ死んでねえよ! どこからが来世だ!
Cancer 閑静な半生を穿った
ただし年齢を この皆済繰り返せ!
はじめの英詞 "Hate me Hate you" は、「水星」の "You hate me, that's all right" を彷彿とさせますし、次の "I've not given up" は「Still-GATE」の "We can never against the stream, I know" などと比べてみると興味深いです。
そして、続く "まだ死んでねえよ!" という詞がシンプルにパンチラインでくらってしまいます。数小節あとの "ただし年齢を" と見事に韻を踏んでいるところも気持ちよい。
"来世", "年齢をこの皆済繰り返せ" など、Orangestarの輪廻転生・ループ的な世界観/死生観が明示的に表れてもいます。
こうしたループ思想は本曲のほかにも、「ノラボク」「オレンジスター」といった初期曲のいずれでも感じられます。「オレンジスター」の歌い出し "駆け出した命を早く此処に戻せ" も相当なパンチラインで大好きです。
こうした思想を、単に言葉・意味のレイヤーだけでなく、音・音楽のレイヤーにまで紐づけて考えたいとわたしはかねがね思っており、その議論の端緒を示したのが拙文「ボカロは歌を忘れることができるか - Orangestarの言葉と音について」でした。(何度も引用して宣伝するようですみません。でもわたしがOrangestarに関して言いたいことの多くはそこに書いたので……)
16位:イヤホンと蝉時雨
ニコ動にて初めて殿堂入り(10万再生)を達成してぼからんに載った、Orangestarの出世作です。やっぱり、ハマりたての頃に聴き込んでいた曲は未だにとても思い入れが深いです。
殿堂入り達成しました!応援してくださった皆さん本当にありがとうございました!!! 【IA】イヤホンと蝉時雨【オリジナル】 (00:04:18) #sm24024502 http://t.co/Dk5RKfKMll 7日14時間24分 pic.twitter.com/Myzl4jKd1w
— Orangestar (@MikanseiP) July 26, 2014
月間ランキング2位!!!!!皆さん本当にありがとうございました!!!これは次の曲へのプレッシャーが…笑 【IA】イヤホンと蝉時雨【オリジナル】 (00:04:18) #sm24024502 http://t.co/Dk5RKfKMll pic.twitter.com/n943hZ4p50
— Orangestar (@MikanseiP) August 1, 2014
(当時のツイートをみると、今では考えられないほど饒舌で若いなぁと思う)
捨てる程に不味くもないが
言える程に美味しくもないな
自販機専売ゲテのモノ
飲み干した今日は夏の色
Aメロの小気味よさがたまりません。思わず歌いたくなる
ラスサビ("なんて願ってしまう僕はもういないから")でメロディが微妙に変わるのもらしくて良いです。
ひとつの「夏」のノスタルジーを歌ったこの曲じたいがまた、夏のノスタルジーの形象として流通して久しいなぁと思います。夏が来るたびに聴き返す一曲です。
15位:Postscript
2024年夏の東名阪ワンマンライブ「"And So Henceforth," Tour」の会場で先行販売され、やがてサブスク配信&MV投稿された、2025年9月時点での最新曲が「Postscript」です。
このツアーには行けておらず、ライブ参加者の熱狂をどこか冷めた目で見ていたわたしの心を一瞬で「Orangestarに熱狂していたあの頃」へと引き戻した一曲。
あぁ 夢のように時は過ぎた
が、未だ醒めない熱。
これを聴いて、素朴に、素直に「やっぱこのひといい曲つくるなぁ」「自分はなんやかんや一生Orangestarを好きなんだろうなぁ」と思いました。思えました。そうした意味でも、最新曲ながら思い入れの深い曲です。
曲調はOrangestarらしいシンプルな爽やかギターロックですが、やはり白眉は「曲に対するボーカルフレーズの乗り方」だと思います。
上述のAメロ冒頭 "がまだ醒めない熱" の音の詰まり方がまずすごい。一瞬で「Orangestarの歌だ!」と全身が歓ぶ。「がまだs」辺りがほぼ1音に圧縮されています。
この次のサビ
あぁ 越える夜に
何が見えた?
伸ばす手には触れず
の "のばsて" も同様の圧縮をされています。
(というか、Aメロとこのサビ前半がほぼ同じ譜割り・メロディで構成されていますね……やばい。なにがしたいんだマジで)
このあとの
旅も終わるには
まぁ、いいのに。
の "わ~まぁいぃのに" の部分の音の繋がり方もとても好きです。
こうした、歌詞の音を圧縮していくスタイルを「音節」詞というそうです。一文字を一音ずつ対応させる「モーラ」詞が日本語曲では一般的ななか、Orangestarは音節詞を多用しています。これはおそらくアメリカ留学経験による英語(詞)への慣れ親しみも関係しているでしょう。Orangestar楽曲には英詞もしばしば登場しますが、英語部分だけでなく日本語詞まで「英語的」な乗せ方・歌い方をしている、ということです。この辺りは今後も要検討なテーマです。
※歌詞におけるモーラと音節の比較については、木石岳『歌詞のサウンドテクスチャー』をぜひお読み下さい。すべてこの本の受け売りです。
14位:DEYBREAK FRONTLINE
4. DAYBREAK FRONTLINE
— Orangestar (@MikanseiP) January 24, 2017
自分的最高傑作。明け方車の中で自分が聴きたかった曲を自分で作ってみた曲。13秒はヘッドライトの明かり。作詞で今までにないくらい悩んだ。大好き。 https://t.co/yScDeweCAg
ニコ動で775万、YouTubeでは6000万再生を記録している代表曲のひとつにして、当時の本人が「最高傑作」とまで語った大名曲。
こんなに順位が低いことに驚かれるかもしれませんが、わたしも客観的にはデイブレが文句なしにOrangestarのなかでいちばん良い曲だと思っています。(ごく私的な好みではこの辺りに収まりますが)
2016年12月3日の朝6時2分。早朝に投稿された当時の熱狂をついこないだのことのように今でも思い出せます。とにかく凄い曲が来た、と。
それまでは、DTMでの打ち込み感を隠さない電子音ポップスか、ピアノバラードか、ギターロックを作っていたOrangestarが初めてEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)に挑戦した曲であり、実際この曲を分岐点として、以降はダンスミュージックへと傾倒していくことになります。(『And So Henceforth,』や「Encounter」はもろにその系譜)
そうした作家の音楽性遍歴という観点でもやはり「DAYBREAK FRONTLINE」はきわめて大きな一曲といえます。
しかし真に重要なのは、おそらく本人が「次はEDMを作ってみよう」と意識していたわけではなさそうだという点です。じっさい3rdアルバム『ASH』に収録されるEDM「Henceforth」や、トロピカル・ハウス調の「Surges」、「Pier」、「Artificial Light」などはいずれも、2年間の活動休止のあとに作られた曲であり、「DAYBREAK FRONTLINE」の正当進化というよりは、この2年以降に聴いた曲の好みの影響だといったほうが妥当です。
むしろ「DAYBREAK FRONTLINE」は、これ以前の電子ポップス……「CITRUS」や「Ifの世界設定」、そして「アスノヨゾラ哨戒班」との連続性のほうが強いとも考えられます。この見方だと、それこそ当時の電子ポップス作家たるOrangestarのいったんの集大成としてこの曲が位置付けられます。
「CITRUS」ら3曲との相違点は、イントロからずっと鳴り続けているピアノでしょう。すなわち、ピアノ調で統一された2ndアルバム『SEASIDE SOLILOQUIES』における、電子ポップスとピアノ曲の融合として「DAYBREAK FRONTLINE」があるのです。
……好き語りというより、客観的な論評のようになってしまっていますが、この曲の好きなところは、みなさんと一緒です。
追い抜いた 走った
期待した 転んだ
迷った わかんなくなった
でもjust feel alive
fear or light
まだ僕らは歩いていく
ここすき
夜に腐っていたって僕たちは
間違いなく明日に向かっていく
夜から朝へ、昨日から今日から明日へ、という日単位のループ構造が「夜明け」というモチーフによって適切に表現され、それが四つ打ちとピアノフレーズの輪廻によって音楽へと昇華されています。
EDMを意識してはいなかった偶然の産物なのかもしれないけれど、それでも、ずっと「ループ/回世」を主題に音楽を作ってきたOrangestarが、ループ構造をもっとも直截に則るダンスミュージックにいずれ辿り着くのは必然だったとわたしは思います。
13位:未完成タイムリミッター
「DAYBREAK FRONTLINE」がメジャー1stアルバム~2ndアルバムで人気絶頂期だった "中期" の集大成の1曲だとすれば、7曲目となる「未完成タイムリミッター」は初期の集大成といってよいでしょう。
2014年の夏からアメリカの高校へ進学しているため、この曲が投稿された2月はまだ日本にいたと思われます。
【IA】未完成タイムリミッター【オリジナル】 (3:42) http://t.co/Yt28AWjeJk #sm22792311
— Orangestar (@MikanseiP) July 16, 2014
新曲投稿前日に1700再生突破!!
皆さん、沢山のコメント本当にありがとうございました!
明日は新曲を上げる予定なので、そちらも是非♪
2014年7月17日に「イヤホンと蝉時雨」が投稿される直前には、「未完成タイムリミッター」はまだ1700再生だったそうです。「イヤホンと蝉時雨」がヒットしたことで、Orangestarは一躍人気ボカロPになります。
新作投稿予定日にこちらの曲が10000回再生突破!!!本当にありがとうございました!! 【IA】未完成タイムリミッター【オリジナル】 (3:42) http://t.co/Yt28AWjeJk #sm22792311 pic.twitter.com/yL2OedG4gF
— Orangestar (@MikanseiP) August 18, 2014
そして一か月後、2014年8月19日に「アスノヨゾラ哨戒班」を投稿する前日には、10000再生を突破しています。「イヤホンと蝉時雨」の影響がとても大きいことが伺えると同時に、当時はこれくらいの規模感だったとわかり感慨深くなります。
『そりゃ何でも上手くはいかないもんだって。』
そんなわかっちゃいる声も存外刺さって。
この単調な日々の間で愛を待って
「結局人生つまらないや!」なんて宣う。
中学生の等身大の生きる悩みを率直ながらテンポの良いメロディに乗せて吐露しています。
メジャー1stアルバム『未完成エイトビーツ』ではトリに配置されていることからも、本人にとって大切な曲であることがわかります。「雨き声残響」から「未完成タイムリミッター」への繋ぎをライブでも聴けて嬉しかったです。
いちばん好きなのは最後の歌詞です。
完全くらいの浅き幻はもう風に舞って
途端に世界は新しい色で廻り始めてゆく。
"完全くらいの浅き幻" 。Orangestar=未完成の本質をもっとも鮮やかに簡潔に表したフレーズだと思っています。
また、このあとの "時間ならあるさ" という言葉に対して、3年後の「Uz」では "時間をくれ" とセルフアンサーを返していることは考えさせられます。
12位:牆壁
でもさぁ苦しいことequal
自分にとって益ってわけでもないじゃない?
ニコ動でしか公式投稿されていない、入力変換できない「牆壁(しょうへき)」。めちゃくちゃ好きな曲のひとつです。まだミリオン行ってないのか……
「VOCALOIDお正月曲」タグの再生数1位ですが、投稿日以外でお正月要素はあんまりない。
前向きだったり感動的だったり荘厳だったりする曲がたくさんOrangestarにはありますが、こういう良い意味で気の抜けた、しょうもない軽やかな曲にこそ真価が発揮されているとも思います。
目の前の僕は単純に
溢れそうな想いを歌っている
だけどそんな精一杯の声も
時間の喧騒に掻き消されて
『もういいかい?』って何回目?
『もう帰ろうよ!』って何処に?って
周りは牆壁だらけで
和風なオケを背景に、Aメロからサビまでひたすらに自問自答し続ける曲ですが、特にこのサビの "目の前の僕は単純に 溢れそうな想いを歌っている" と、自分の姿を客観視(客体化)する表現はとてもOrangestarらしいと思います。〈対照化〉とはそういうことですから。
そして、なんといってもこの曲の聴きどころは終盤のサビの畳み掛けでしょう。上に引用した1サビの時点でメロディの躍動感と聴き馴染み易さが完璧なのに、それをズラして次の2サビが来ます。
嗚呼 僕ら独りぼっち
逃げ出せない今日に 舞っているハナビラ
何度誓ったって
変わらないよこんなんじゃ
『もう知らんや!』って 僕は独りぼっち
変わらない昨日に 染まってまた踊るよ
いつか終わる前にほら
これがめちゃくちゃかっこいい。つくづく、歌いたくなる良いボーカルのメロディを作る天才だなと思わされます。"ハナビラ" と "踊るよ" の三連符が特に気持ちいい。
そのうえで、さらに耳に馴染んだ1サビに回帰する大サビが最高。"目の前の僕は単純に" という入りのキーを上げることでとことん盛り上げてくれる。
11位:空奏列車
こちらも「イヤホンと蝉時雨」同様、Orangestarに出会った頃に(歌い手カバーも漁りながら)聴き込んでいた、たいへん思い入れの深い曲です。
いまだにOrangestarの爽やかギターロックの代表曲でしょう。
この曲も終始、歌メロの乗っかり方が抜群に聴き心地良く、まさに始まってから最後まで、一度乗車したら途中下車なんて考えられないほど。
1Aメロ「明日明後日僕ら」や2Aメロ「大概は曖昧な色」の発音のされ方がとくに良い。「あーsあーさっ てーぇぼkらぁ」「たーぃがーぃわぃまーぃなぃろぉ」みたいな発声。音節詞ですね。
そして、もうそろそろ驚かなくなってきましたが、これも1サビと2サビのメロディがマイナーチェンジしている曲です。「掻き鳴らせ Stand out」 の語呂が良すぎて半分くらいの人は気付いていないと思いますが……
まるで1番のサビも「掻き鳴らせ Stand out」であったかと錯覚するくらいドンピシャに音がハマっている。(正確には「搔き鳴らsテンダゥ」と、[s]が詰まっているのが語呂の良さの秘訣)
2サビ終わり
風になってしまえ
向かう明日の空が
歌えぬなら
の「むかーぁすのーそらが」の部分も好きです。
また、間奏後Cメロ
わかってるんだって
こんな期待したって
(yeah yeah, yeah, wow wow)
『僕は僕だ』って
意地張ったって
風になってしまうよ僕の歌
もかなりすごい。というのも「わかってんだって こんな夢の無い」というサビの歌い出しとかなり近いメロディなのです。サビとCメロを似せる。というか、サビの変形としてこのCメロが作られているのでしょう。半分「落ちサビ」といってもいいCメロです。
このへんはミクとIAのデュエットによる掛け合いの気持ち良さも存分に発揮されていますね。
あと、サビ「決まりにきって疲れるわ」や2Aメロの「もう待っていられないわ」「振り返ってしまえないわ もう泣いていられないわ」辺りの語尾も好きです。
後奏の「na na na..」コーラスまで最高に盛り上がって駆け抜けます。
これからも、Orangestarを代表する盛り上がりぶち上げ曲であってほしいです。
10位:花と記憶
『未完成エイトビーツ』の限定曲。最近はサブスク配信のためYouTubeでも聴けるようになって、この名曲に出会うひとが増えているようでいいですね。
『エイトビーツ』を聴き込んでいた頃はトップクラスに好きな曲でした。ピアノとアコギとボーカルだけの簡素で優しい弾き語り。しかし、冷静に分析するとかなり変な構成をしている尖った曲でもあります。
1A→間奏→1A→B→1C→1サビ→2A→B→2C→2サビ→2サビ'→B'→1サビ
"一等二星怪夜回世" のパートをBメロ、"日々が夏叫ぶほどに焦る想いは 夏の歌が" を1Cメロと考えると、上のような構成で表せると思います。
特筆すべきは、1番と2番で、AメロもCメロもサビも全てメロディが変わっている点です。(同じなのは "一等二星怪夜回世" のBメロのみ) こんなポップスあまり存在しません。
凄いのは、1番と2番でガラッとメロディを変えていること自体ではなく、それをまるで感じさせないことです。実際わたしも聴き始めてしばらくはあんまり意識していませんでしたし、こうして文章で改めて分析しない限りは今でもサラッと聞き流せてしまいます。それくらい違和感がなく馴染んでいるのです。
シンプルなオケだからこそ、その上にビシッとハマる旋律をいくらでも量産できるOrangestarのセンスが大盤振る舞いされています。
本当は尖りまくっているのに、そうとは感じさせない聴き易さと王道感。これぞOrangestarだと思います。それにおそらく、本人も尖ろうとして尖っているわけではなく、「自然と」違うメロディが浮かんできてしまうのでしょう。だからこそこんなにも馴染む。
日々が夏叫ぶほどに焦る想いは
夏の歌が急ぐほど満たせぬのを
聞かせぬままで生きてくんでしょ
1Cメロをより詳しく聴いていくと、テンポの区切りが歌詞の区切りとはズレているのが効果的な印象を生んでいるのがよくわかります。実際の歌われ方を明示して書くと、上の詞は
ひびがなつさ けぶほどにあ
せるおもいは なつのうたが
せぐほどみた せぬのをきか
せぬままでいきてくんでしょ
という譜割りをしています。太字で強調したように、各小節のはじめの2音が [eu] で押韻しながら高音で歌われていることも要注目です。最初の「ひび」こそ踏んではいませんが、1,2,3句目を踏んで4句目で抜くところなど、漢文の構成を思わせる見事な頭韻です。強いていえば「六言律詩」?
むろんこうした押韻はこの1Cメロだけではなく、続く1サビも
夏の空ゆめ 見上げては暮れ
ひどく悲しそうな君は汗かきね
時の名かすれ 焦がれては消え
日々が夏叫ぶ夜に
戻れたらいいな
と[e]の脚韻をしていますし、直後の2Aメロでも
夏が過ぎて 果ても知らぬそらが
夢に見せた だけの時間のなか
想うわなた 一人だけなのにさ
赦せかなた 先も知らぬのなら
胸に秘めた 言の葉がくもれば
明日は雨が 街を濡らせるのか
夏をすべて 洗いながせさらば
時は過ぎた 当ても知らぬそらは
と各小節末で[a]の脚韻をしている上に、偶数小節末の半分くらいは[oaa]で強く揃えています。2番に入ってギターのリズムも小気味よくなって、ますます音楽に言葉がフィットしているのがわかります。
そもそもBメロの時点で
一等二星怪夜回世
一と二正解よ解世
ですからね。ここまでいくと、押韻というより同音異義語の言葉遊びに近いですが。
"(せい)かいよ かいよ" と、「回世[かいよ/かいせい]」という、ループ観を示す重要ワード自体がループしているのも面白い。意味と音の入れ子構造。
やはりOrangestar楽曲は意味の次元よりも音の次元にこそ本質があると感じさせます。
さらに、2番Cメロからが最高です。
離れて行くんだろ? くんだろ くんだろ くんだろ
星の輝きも虫の祭夜も
また消えて繰り語らせないよ
"(行)くんだろ" をリフレインしたあとの、"ホシノカガヤキモムシノサイヤモ", "マタキエテクリカタラセナイヨ" と16分音符が続く早口パートがすばらしい。どこか幼さを感じるのがまた、この曲の夏の質感に合っています。
しかも、今気付いたんですが、この後 "なんて顰めるほど 饐(あめ)るほど…" と入る2サビの後半には、再びさっきの2Cメロ
すんだろ? すんだろ すんだろ すんだろ
星の輝きも虫の祭夜も
また消えて繰り語らせないよ
が回帰するのです。つまり、はじめにわたしが書いた曲の構成は不正確であり、「2C→2サビ→2C→2サビ×2→..」と表現するか、あるいは2Cだと思っていた "くんだろ" パートを2サビの一部として、2段構えのサビが①→②→①とサンドイッチ状になっている構成と見なせるでしょうか。
曲構成や押韻に注目して語ってきましたが、なんといっても「花と記憶」はとにかく聴いていて懐かしく優しい雰囲気に浸れるところが最大の特徴にして美点です。
繰り返しますが「本当は尖りまくっているのに、そうとは感じさせない聴き易さと王道感」というOrangestarの核心が鮮やかに具現化している一曲だと思います。
9位:CITRUS
Orangestar唯一の、CeVIOのONE(オネ)を使用した公式デモソング。つまり案件曲です。
これがめっっちゃ好きです。この曲のおかげでONEがボカロ(合成音声)キャラのなかでいちばん好きになりました。いあおねはいいぞ
歌唱だけでなく喋り(朗読)もできるONEの機能をプロモーションするため、間奏にはONEの語りパートが入っています。知る限りOrangestar唯一のポエトリーリーディングです。
きっと僕達はどっか似ているんだ
昔からそうだったような気がしなくもなかったけど
今きっと僕達は何かに行き詰まっていて
僕らなりのコタエを探してる途中だったんだ
ぶっちゃけ「クサい」とも思える詞ですが、ONEの低めで幼くも聞こえる声質と、そして柑橘類100%の飛びきりみずみずしい曲調によって、そのクサさも若々しさ(未完成さ)へと昇華されています。
なにより、ボーカルパートの軽快さがたまりません。Aメロの
昨日も今日も同じような色に嫌気差した
きっと あの向こうに待つのも
変わらぬ色の未来だなんて
辺りの早口部分とか。。
歌詞だとサビ終わりの「意味を成す/実を成す」の掛け言葉(ダジャレ)がお気に入りです。柑橘類だから「実を成す」。そのまんまではありますが、とても理解しやすい、いい詞だなぁと思います。
それから、前述の通り、本曲のような電子音ポップスがわたしはOrangestarの曲調のなかでもいっちゃん好きです。「Henceforth」以降のダンスミュージックやエレクトロ調とは違った、もっと洗練されていないポップス系統が良いんです。
しかし、これは当時の技術的な未熟さゆえのものだとも思うので、もう新曲として聴けるのは望み薄なのがツラいところです。
また、今思ったのですが、本曲はIAとONEのデュエット曲であり、歌っている主体が明確に「2人」である前提の詞なのが珍しいかもしれません。
むろん「空奏列車」や「Surges」など、デュエット曲じたいは他にもありますが、「CITRUS」ほど "ふたり" を主題としていることはなく、基本的に自分について、"ひとり" を歌い続けるOrangestar史のなかでも注目すべきなのかも……。
8位:ノクティルーカ ASH ver.
ノクティルーカには、2022年2月にサブスク配信/4月にYouTube投稿されたMV版と、アルバム収録されたASH ver.と、そして2024年7月のライブ後にサブスク配信されたEP『Postscript』に収録されてOrangestar本人と夏背さん、遼遼さんが歌唱しているver. の計3バージョンがあります。このうち2番目のASH ver.がわたしは特に好きです。
しかしそもそも、「ノクティルーカ」は正式なMV公開前から、本人がツイキャスで弾き語りをしたことでファンには知られていました。そして有志によって、公式投稿前からカバーがいくつも投稿されるという変な事態になっていました。(Orangestarにはよくあること)
ゆえに、わたしが初めて聴いた「ノクティルーカ」も、公式版ではなくて、弾き語りをファンが耳コピして独自に編曲したカバーver.のひとつでした。
Orangestarファンとして大きな声ではいえないのですが、カバーver.を気に入って聴き込んでいたせいで、いざ本人から正式に投稿されたものを聴いたら「これじゃない感」を覚えてしまったのも今ではいい思い出です。(わたしのお気に入りのカバーは公式投稿後に削除されてしまい、もう聴けません)
公式版を聴いてびっくりしたのは、「ノクティルーカ」がこんなにもゴリゴリのロック曲だとは思っていなかったからでした。(アコギ弾き語りだとどうしても優しい感じになり、それを元にしたカバーもポップス系統が多かったので…… わたしはやはり、打ち込み感を隠さない素朴なポップスがOrangestar楽曲のなかでも最も好きなのだろうと思います。氏のメロディメイクと作詞のセンスがもっともストレートに伝わってくるから、なのでしょうか)
ということで、疾走感のあるロックだったことに違和感を覚えていた「ノクティルーカ」ですが、3rdアルバム『ASH』ではかなりアレンジが変わっていました。
もちろんギターロックであることは同じなのですが、ピアノが加わりギターも重ねられるなど、全体的に楽器の数が多くなっています。しかもIAのボーカルにハモリらしきものも付きました。
原曲はギターの音も一本でボーカルラインも一本であり、シンプルに突き抜けるような力強さと疾走感がありました。
対して、ASH ver.では雑多になったぶん曲の厚みが増して、波間にのまれているような雰囲気が出ています。「きりきり舞いな日々」感、あるいは「正直ギリギリなんだ」感というか。それが歌詞の通りに翻って多幸感にも繋がっているように思えます。雑にいうと、よりエモく、泣ける曲になった。
ASH ver.でようやく、わたしは「ノクティルーカ」と "解釈一致" できました。
また、そもそもバージョンの違いどうこう以前に、「ノクティルーカ」は圧倒的な名曲だと、最初にカバー版を聴いたときから確信していました。
当時の日記にはこう書いています。
有志によるボカロカバーを聴いた限りだけど・・・・・・めっちゃ好き!!!
何の曲に似てるとかがどうでもよくなるほどにメロディが良い。そして発音を省略することが多い(洋楽的な)Orangestarらしい独特の詞割りのリズム!!! 歌詞も(正しいのか知らんけど)すげ〜良い!
やっぱOrangestarって天才だわ〜〜〜
というか、一生じぶんはOrangestarが好きなんだなぁと(かるたと新が一生好きなんだと気付いた千早のように)思った。
ノクティルーカのVo.メロディと歌詞の強さはOrangestarのなかでも屈指だと思います。それほどに強い。詞はすべてがパンチラインといえるほど。
ひたすら目の前の希望繋いだ
きりきり舞いな日々も
いつか花開いて
なんか知らぬ間に幸せかな
まず、この1サビの語感とメロが優勝しています。
悩みや苦しみを謳う歌詞はありふれていますが、「なんか知らぬ間に幸せ」になると謳って、その上でなお残る不安と葛藤について自問自答している。なんだお前は。(このあと「なんてわかんないよ」と打ち消すのは い つ も の〈対照化〉構造)
こういう詞が書けるのは、Orangestarが心底、世間的な成功や幸せには興味がなく、どこまでも自分の内面を問題にして向き合っている(それ以外に興味関心がない)からだよなぁと思います。
「幸せ」に関してこの曲は、ラストの
幸せなんて後になってから
気付いてしまうものなのだろう
で一定の回答を与えており、これは「アスノヨゾラ哨戒班」の "今日の日を思い出せ未来の僕ら" を彷彿とさせます。「今」を「未来」から「過去」方向を振り返る形で認識するように投射(逆照射)する、Orangestarに頻出のやや複雑な時間構造。やはり〈対照化〉や輪廻観と地続きの、独特な人生観を有していると想像されます。
サビ後半の "なるようstep by stepって歩いていたって" の促音(っ)が多用された跳ねるような語感もたまりません。
不甲斐ないまま夜の雑踏へ
身を詰め込んだ終電(でん)
このまま海へ向かえ
下れ東海道線(せん)
2Aメロのここの [e] の脚韻だってザ・Orangestarです。
「東海道線」という固有名詞も効いています(というか単純に元-東海道線ユーザーなので嬉しい)。
未来と繋がって果てはないのなら
世界を記号化して僕は過去になろう
「記号化」なんてOrangestarにしてはちょっとお硬めの単語を1番で使ったと思ったら
白だ黒だ何だって果てはないのなら
世界を二分化して僕は猫になろう
2番サビの同じ部分には「僕は猫になろう」という(よくわからない)柔らかなフレーズ?を当ててくるのも、ホントすげ〜〜〜と思います。
それから、地味に渋いところでは、1Aメロ後半
それとなく日々をこなして
とかしていればそれで
大人になれるの?
の "こなして-とかして" の部分が好きなのですが、ここは "溶かして" とのダブルミーニングなのでしょうか。"それとなく日々をこなして 溶かして" と、意味は通じます。
これが単なる掛け言葉以上の意義をもつと思うのは、Orangestarにおいてやはり〈対照化〉の詞構造がきわめて重要だからです。
「って」と同じように、「とかして」は前部を括る働きをします。やや曖昧にはぐらかしながらまとめるかたちで。
すなわち、ここではまさに掛け言葉通りに前の文意を「溶か」す機能を担っているのです。洒落の音と意味じたいがさらに掛かっているという、二重の掛け言葉といえます。(音だけでなく意味でも押韻している)
……と、まぁ、これはさすがに妄想を走らせすぎですが、こんなことを考えてテンションが上がってしまうほどに「ノクティルーカ」は大好きな曲です。
7位:Nadir
2020年末に電撃結婚発表したあとの2021年1月1日に唐突に投稿された曲(Orangestarはよく唐突に気まぐれに新曲を投稿する)。同じ「お正月曲」でも、6年前の「牆壁」とは雰囲気が大違いです。
いろんな所で書いているように、わたしはこの「Nadir」がOrangestarらしさの最も詰まった曲だと思っています(どの曲でも言ってる気がしますが)。
まさに「打ち込み感を隠さない簡素な電子音ポップス」としか言いようのない、素朴すぎるオケの構成。同じピアノとドラムフレーズを繰り返す曲構成。「なんて言えたら」「But I sing,」と直前の詞を否定して進んでいく〈対照化〉構造に、Henceforth以降みられるダンスミュージック調を推し進めた、ボーカルのない「ドロップ」みのある間奏(これはのちの「Pier」「
Artificial Light」などで明確なドロップへと昇華されます。ポップスからEDMへの過渡期の模索があらわれているようで興味深いですね)……。
過ぎ去ったことはしょうがないね
思い出してもきっと後悔はないね
なんて言えたらきっとここは天国だろうね
ここで終われたらいっそそれも救いなんだろうね
なにより歌詞が、率直に言って暗すぎる!! しかし意外だとは思いません。Orangestarの特徴は明るさ・前向きさではなく、内省的なところにあると認識しているので。ポジティブなときでも常に内向きの葛藤の結果として表れています。そしてこの「Nadir」では、内省が特にたまたまネガティブなほうへ行っている、というだけです。Nadir(天底)がつねにわたしたちの下にあるように、Orangestar楽曲の根底にはこうした後ろ暗い感情と葛藤があります。だから、逆にいえばこの曲を「暗い」「ネガティブ」と形容すること自体が的を外しているともいえます。もとからそうした二項対立を超越したところにいるのですから。
「ASH」ライブツアーでやったと知って、わたしも聴きたかったな、と思えど、でもやっぱりこういう曲はひとりで家で/散歩しながら聴くのがいちばん合っているよな、とも思います。
「何も変わらなくたって、
僕たちは歩いて行くんだろう」
この最後の詞がカッコで括られていること、その意味と非意味に思いを馳せながら、これからも聴いていくのでしょう。「聴いていくんだろう」
6位:シンクロナイザー
『未完成エイトビーツ』に収録されてアルバム限定曲のまま行くかと思いきや、1年後の2016年夏に、ルワンさんをギターに加えたアレンジver.が唐突に投稿されました。
アレンジver.もいいのですが、『エイトビーツ』で聴き込んだアルバム版を選出させて下さい。とはいえ、この堤防に清涼飲料水が置かれているMV絵もまた思い入れ深いです。投稿された直後に、初音ミクが大きく描かれた堤防スポットに行き、ポカリを置いて写真を撮ったからです。

さらに、この曲は自分でIAカバーを投稿した思い出もあります。

現在は非公開。もっとうまいカバーがたくさんあります
さて、そんなシンクロナイザーですが、ここ数年でますます良い曲だな~と思って好きになってきています。
……なんというのでしょうか、この曲には、Orangestarにしか表現できない、この曲でしか表現されていない、独特の爽やかさと抒情と、そして達観があるように思うのです。ミクの歌声の質感もあり、幼くピュアな達観がある。まだ世界が真実に満ちて輝いていた子供の頃へのノスタルジーがあります。
「いち、にっ、せーのっ!」はかわいいし、カットアップが好きなので間奏もお気に入りです。
つまんないね!
じゃもっと楽しい話をしよう
ここ人生
5位:Still-GATE
「ピアノ」を主軸にして構成された2ndアルバム『SEASIDE SOLILOQUIES』には、すばらしいアルバム限定曲がたくさんあります。「水星」「Trash Day」「Uz」「White Landscape」「RIP」「八十八鍵の宇宙」……。(※UzはのちにMVが投稿されています)
これら名ピアノ曲ぞろいのなかでも、わたしがこのアルバムの「核」だと、真髄だと、最深部だと思っているのが「Still-GATE」です。一聴したときから、完全に打ち抜かれました。
静かなピアノソロから始まりドラムが入り、「塞ぐ 声 まだ 僕ら」と単語をひとつひとつ虚空に吐いていくようなAメロ、そして間奏までは、かなりダウナーな曲調です。しかしこのあとのサビで一気にキーが上がる。
泣かないで まだいかないで
君の心を世界が閉ざしても
今は負けないでって
僕はただ願うまま
つま先立ちで明日を待っていた
いつか君を幸せにするから
そのための僕だって
僕はまだ信じられぬから
この1サビがとにかく最高。出だしの「泣かないで まだいかないで」からもう優勝している。
後半の「つま先立ちで明日を待っていた」がどうしても「つま先立ちでうずくまっていた」に聞こえるのはわたしだけでしょうか。そして実際にやってみたのはわたしだけでしょうか……(身体に悪いのでやめましょう)。
それはともかく、ここからまた長い間奏が入ります。
「Still-GATE」の間奏の長さ・歌メロの割合の少なさに関しては以前定量的に調べたことがあります(↓)。
この曲(Still-GATE)は、歌メロ部分が全体の約30%しかなく、Orangestarの曲のなかでもとりわけ尖った構成をしている。
基本的にピアノなどのオケがずっと繰りかえしのフレーズを奏でているダウナーで単調ななかに、きらめくような歌がときおり入ってくる。やはり非常に攻めた構成だと思います。
最高なのは最初のサビだけではありません。二度目のサビ(ラスサビ)ではまた全然違ったメロディが歌われます。Orangestarあるあるではありますが、この曲に関しては「別々の2曲を繋げたから」だと解説されています。
6. Still-GATE
— Orangestar (@MikanseiP) January 25, 2017
いつだったかある人にプレゼントした曲。本人から許可を貰ったので収録。後半英詞の入ってくるところからは新しく作ってたOverseas Highwayっていう別の曲だったけど最終的に繋げて一つにした2部構成。https://t.co/GAQkfxKrP7
たしかに、これまで取り上げてきたマイナーチェンジのサビとは一線を画すほどに違っています。このラスサビがまた言葉を失うほどすばらしい。
Please keep taking me anywhere
Why still, what are you waiting for?
Just going That's all right
We can never against the stream, I know
1サビも高音でしたが、さらに上を行く、IAの崇高な歌声が響き渡ります。
特に最後の「We can never against the stream, I know」という詞には感嘆させられ、何度も言及してきました。「the stream」には逆らえないさ、と諦観のようなものを最後に吐き出して、またピアノの単調な繰り返しに戻って終わってゆくことで、一筋縄ではいかない曲になっています。
この曲の真髄を掴める日は来るのでしょうか。まだとうぶんは来そうにありません。それだけ奥行きのある曲だと思います。
IAさんに無茶振りしてる pic.twitter.com/jEtCwUbZC6
— Orangestar (@MikanseiP) November 17, 2016
ちなみに、アルバム発売数か月前のこのツイートによると、この英詞部分は当初もっと低かったようですね。(これが「overseas-highway」?)
ツイートの「無茶振り」とは(たしか当時日本語ライブラリしか発売されていない)IAさんに英語を歌わせていることだと思いますが(調声が上手すぎる)、完成した「Still-GATE」では超高音という無茶振りも乗っかっているのがおもしろいです(IAさんなら余裕ですが…)。
4位:Wreath(Vo.版)
Orangestarで4番目に好きな曲は…… ここにきて、明確な音源が存在しない、どマイナーな「Wreath」の歌唱ありバージョンです!
「Wreath」は、2017年のコミケにて頒布された自主制作アルバム『UNDEVELOPED FLOWER-PLANET』に収録されているインスト曲です。
こないだまたデータの整理をしてたら恐らく2nd制作中に生まれた何やかんやとか気分転換に作ったインストやらが色々出てきたのでせっかくだからって程のものでもないけどCDにまとめました。8/11 C92東-あ63a めありーの姉貴のサークルに置いてもらいますよかったら🌸9割インストです pic.twitter.com/vgJ5i5a7AI
— Orangestar (@MikanseiP) August 7, 2017
このインストの時点でかなり好みではありますが(検索すれば非公式アップロード版で聴けます)、これに歌が乗ったバージョンがひそやかに流通しており、めちゃくちゃ好きです。Orangestarの隠れた最高の一曲といっていい。
なんでインストに歌詞があるのかといえば、ツイキャスで弾き語られているからです(元はインストだったのか、初めから歌詞がついていてインスト版をアルバム収録したのかは不明)。
そうして、ファン有志がそれを耳コピしてカバー版を投稿し出す流れは、完全に「ノクティルーカ」のときとおんなじです。
ノクティルーカとは違って公式音源がないため、カバーを貼ります。
後ろでずっと鳴っている謎のコール音(?)を除けば、かなり正統派(?)なカバー。(公式音源がないのに「正統派」とはこれ如何に)
ギターロック調のアレンジをしているカバー
公式投稿がないため正式な歌詞は分からないのですが、とにかく歌メロがずっと最高です。
4つの和音をひたすら繰り返すピアノに合わせて、歌も決まったメロディが繰り返されるシンプルな構成です。これが癖になる。やはりOrangestarは、派手で重厚なオケなどいらず、研ぎ澄まされた簡潔なメロディフレーズを繰り返しているときが最も才能を発揮できると思います。
今嫌いじゃないけど
嫌う嫌う嫌う 声
今好きじゃなくても
わかるわかるわかる そうね
1Aメロ後半のこの辺とかいいですよね。最後の「そぅね」が特に好き。
I like それ
何?どれ
Was I love? Sorry.
走れ 橇
淡色に 紛れぬように
溶け出す夜に 呑まれぬように
サビの歌詞なんかかなり意味不明ですごいです。ひたすら自問自答しているし、語感だけで選んでいる感じもある。「Sorry」と「橇(そり)」を掛けるなんて失笑ものでもありますが、それを不思議と成立させてしまっているからやばい。
半分非公式な曲ではありますが、これをOrangestarのベストソングに挙げる人もそこそこ見るくらいには名曲なので、知らなかった方はぜひ聴いてみて下さい!
……あと、Orangestarははやく「Wreath」の歌唱版を公式に投稿してください! よろしくおねがいします。ほんとうに。
いよいよベスト3の発表です!!!
3位:Alice in 冷凍庫
第3位は2016年2月に投稿された「Alice in 冷凍庫」。のちに発売される2ndアルバムでは一曲目に置かれているリード曲です。
個人的には、大学受験の二次試験の直前に投稿されたので、前乗りして泊まっているホテルや会場に向かう飛行機・バスのなかでひたすら聴いていた思い出があります。したがって、いまだにこの曲を聴くと受験のことを思い出す。
新曲です。軽くて意味の無い曲を作りました。素敵なイラストはたいそす(@si_3 )さん!! Alice in 冷凍庫 / feat.IA (5:44) https://t.co/Dklm1t7l7M #sm28242091 pic.twitter.com/sE7MsecM6X
— Orangestar (@MikanseiP) February 17, 2016
ナンセンス文学って言葉がかっこよかったので、それっぽく、またその象徴としてのAliceでした
— Orangestar (@MikanseiP) February 17, 2016
1. Alice in 冷凍庫
— Orangestar (@MikanseiP) January 24, 2017
学校が忙しかった時期息抜きに何も考えずに作った意味の無い曲。アルバムのプロローグ。『そこに何も無いからこそそこに現れる』という意味で今回星空は無の象徴。似非ナンセンス文学。 https://t.co/cAsd4wKBj3
「軽くて意味のない曲」「何も考えずに作った」と本人が言うように、特に前向きでも後ろ向きでもなく、メッセージ性もない、ただ単に「良い曲」です。学校生活の息抜きにこんな大名曲を作れてしまうなら、永遠に通っていてほしいですね(非道)。
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』Alice's adventures in Wonderland を元ネタにした自称「似非ナンセンス文学」ですが、『アリス』をモチーフにしてこの質感の作品を生み出せるなんて、ちょっと理解しがたいくらいセンスに溢れています。一般に、意味がある名曲よりも、意味のない名曲を作る方が大変です。
まずそもそも、「Alice in 冷凍庫」というヘンテコな題名からして常人では生み出せません。 "ダサい" 領域に片足どころでなく足を突っ込んでいながらも、曲の中身を聴くと納得してしまう。英語と日本語が無理やりチグハグに共存している感じもOrangestarらしい(人生遍歴としても、歌詞の傾向としても)。
本人が大好きなアジカンの「Re:Re:」を彷彿とさせるクソ長い最高の四つ打ちイントロに、踊るように歌うIAのボーカルが入ってくる。意味が無いからこそ、歌詞はすべて完璧です。
「るらったったった」と歌うサビの最後「踏み出すままに汚せ 今は凍えぬように」が好きです。「汚せ」という単語が驚きと納得感のあるかたちで使われているので。
いきなり3拍子(6拍子?)に変わる2Bメロがみんな大好きなことは言うまでもないですが、そこから徐々にギアを上げて高揚していく間奏(IAさんのハミング最高にかわいい)そして超高音のラスサビがこの曲の白眉なのは間違いありません。
わたしはかつて「すべてはこのラスサビを成立させるための周到な前フリ・事前準備だったことがわかる構成」だという風に書いたことがあります。
朝靄を空に裂いた
君のその柔い手が
白銀製の帳を
たやすく浚ってゆく
この言語センスどうなってるんでしょうね。まったく。
知らぬまま大人になるほど
懐かしさは残るけど
それも全部かき混ぜて
廻り出す今日は綺麗だ
こんなに美しい歌詞を他に知りません。特に好きなのが「かき混ぜて」の部分です。[ka][ki]とk音が連続することによる硬質なかんじが冷凍庫っぽくていい。
詞の意味をとっても泣きたくなるほど美しいのですが、「似非ナンセンス文学」を語るだけ野暮なのでやめておきます。意味らしきものを取れてしまうところが「似非」なのかもしれませんね。
紡ぎ出した言葉通りの
想い 熱を放て
そしてこの「熱を放て」というフレーズで締めくくられているのが本当に完璧。言われてみればそうか、そうだよな、これしかないよな、と納得してしまうような。冷凍庫を題名に冠した楽曲はどんな言葉に着地すべきか、という大喜利への百点満点の回答。CITRUSの「実を成せ」にも通じますが、こういうところで絶対に外さないセンスに惚れます。
総じて「Alice in 冷凍庫」は、「シンクロナイザー」にも少し似ていますが、あどけなさと軽やかさで構成された、Orangestar独特の曲になっているのが好きです。
意味や物語や思想がなにも存在しないところで、音と歌だけで、こんなにも純粋に良い曲を作ってしまえるということ。Orangestarの天性の才がもっとも遺憾なく発揮された楽曲だと思います。
2位:Ifの世界設定
1位は殿堂入りしているので、この「Ifの世界設定」こそがいちばん好きなOrangestar楽曲だと言ってもいいくらいです。
『未完成エイトビーツ』のアルバム限定曲ながら、今でも多くのファンを魅了し続けている一曲。
「Still-GATE」が『SEASIDE SOLILOQUIES』の最深部だと語ったように、「Ifの世界設定」が『未完成エイトビーツ』でもっともディープな、Orangestarの比類なき世界観と才能が具現化した曲だといつも思っています。
まずイントロが最高ですよね。「CITRUS」やこの曲のような電子音を前面に押し出した打ち込みポップス(エレクトロニカやダンスミュージックではない)が好き過ぎる。
しかし、歌詞はかなり意味不明です。
この世から牛が消え
何年時が経ったのだろうか
豚に飽いて
最近代用は豆乳ばっかで
牛が消えた? 代用は豆乳?? そういう「Ifの世界設定」の話をしていることはなんとなくわかりますが、だからなんなんだ、というかんじ。ストーリーものにしては説明が足りなさすぎです。
それでいて、「Alice in 冷凍庫」のようにナンセンスではなく、また意味不明さをことさらに主張しているわけでもない。ヘンテコとしかいいようのない歌詞です。
何もそんな真相を
確かめるまでもない
現の世の感想文でも
書いておけ おk?
「おk」というネットスラングが使われている曲など相当珍しい……いや、ボカロには結構ありそうですが、このトーンで使っている曲はないと思います。っていうか、どんなトーン? わっかんねぇ……
変なのは歌詞だけではありません。曲構成もです。「花と記憶」とか以上に、絶えず新しいメロディが展開され続ける異様な構成の曲です。
1A→1B→間奏→2A→2B→大サビ
2つのBメロ「何もそんな真相を…」「話しかけるの こんばんはって…」はサビとしてもいいかもしれません。
そして、1Aと2Aのメロディ、1Bと2Bのメロディはまったく異なります。よって、
前奏→A→B→間奏→C→D→E
と書いてもいいくらいです。本当に、いくらでも良いメロディラインを生み出せるんだなと笑ってしまうくらいの構成です。
この2番の「C→D」の部分が特に好きです。「明日の自分はまた 過去にこうやってね」の早口から、キーが一気に上がるパート
話しかけるの
こんばんはって。
星の消えた世界で一人
ただ正に今も
感情列挙の最中で。
真っ最中で。
が来るのがたまりません。(ここもパート間で一文が越境していますね)
「話しかけるの」「ただまさにぃまも」の7音の並びが最高。
そして同じメロディで続く次のパート
あれもこれらも
持っていこって
抱えきれないくらいになって。
でも中に要らない物は無くて。
やることも無いから泣いて。
ここの詞には、意味がわからないながらに泣きそうになります。なんなんすかね。この、すごく切なさを湛えた言葉の連なりは。
この先も、ラストの大サビで「なんで光んのよ一等星!」というキラーフレーズがあり、そして
こんな世界 本当の世界
扉の向こうには誰も
居なくても
という意味深なフレーズで締めくくられる。
まったく説明はできないんだけど、好きです。
ところで、そんな理解の難しい「Ifの世界設定」の魅力を端的に述べた本人談があります。
イヤホンと蝉時雨が爽快感なら
— Orangestar (@MikanseiP) August 7, 2014
アスノヨゾラ哨戒班は疾走感、
ifの世界設定は高揚感かな。
どれも凄く気に入ってる曲。

同じ時期に制作したのであろう「イヤホンと蝉時雨」や「アスノヨゾラ哨戒班」と並んで、それぞれを三字熟語で簡潔に表現しています。
イヤホンと蝉時雨が爽快感で、アスノヨゾラが疾走感だというのもなるほどドンピシャな形容ですが、Ifの世界設定には「高揚感」という言葉が当てられています。
高揚感。・・・まさに、としかいいようがありません。
全体的に、何を歌っているのかよく分からない曲ではありますが、高揚感を志向しているのだと捉えれば、途端にしっくりきます。イントロからして高揚感をこれ以上なく煽ってきますからね。
高揚感、つまりある種の感情・気分を見事に「音楽」に落とし込んだのが「Ifの世界設定」である。と、するならば、聴いている際のワクワクした感覚だけでよくて、歌詞で何を言っているのかなど些末なことなのかもしれません。
ちなみに、アルバム限定曲となっている「Ifの世界設定」は実はMV付きで投稿予定だった、という裏話があります。(詳しくはM.Bさんの画集を参照)
だから「Ifの世界設定」には公式のイラストが存在しています。
#これを見た人は青色の画像を貼れ
— Orangestar (@MikanseiP) June 7, 2015
Ifの世界設定 pic.twitter.com/nFm5qMsuRE
「Ifの世界設定」のMVが投稿されて爆伸びするifの世界をよく妄想しますが、実際に投稿されたらそんなにヒットしない気もして、でも大名曲なんだよなぁ……とそのたびに強く強く思います。
また、MVが見られれば、この曲の「世界観」や歌詞への理解も深まるのかもしれません。しかしながら、やっぱり「Ifの世界設定」は、意味がわからない今のままで大切に聴き続けたいな、という気持ちもあります。
それでは、栄えある第1位の発表です!
□ □ □
1位:アスノヨゾラ哨戒班
予定調和です。名誉の殿堂入り枠として除外しようかとも思いましたが……
とくにあらためて語ることはありません。
7年前からわたしが書いてきたnoteをどうぞ。
最近は逆に、あんまり聴いてすらいません。
思うのは、バンドアレンジ版がなまじ「キミノヨゾラ哨戒班」という別の立派な名称を与えられているおかげで、ライブの時に生演奏されると「アスノヨゾラ」ではなく実質「キミノヨゾラ」になるため、本物の「アスノヨゾラ」はライブでも滅多に聴けない特別な曲であり続けているのがなんか良いな、ということくらいです。
語り残しているとすれば、イントロが存在せず「歌始まり」であること、そしてアウトロまで伸びてゆく「Ah..」というコーラスを含めて、Orangestarの「歌」と「音」の関係を再考したいな……ということです。
(ぱてさんの「残響論」を読んでいないんですが、このへんと関連するのでしょうか)
4年前の投稿7周年記念に、書けるnoteがなくて土壇場でこんなネタ動画を作りました。
大好きで大切な曲だからこそ言いますが、「アスノヨゾラ哨戒班」ってネタにされなすぎじゃあないですか? もっと下らない二次創作とかでイジられまくったほうが新たな味が出てくるようにも思います。
まぁ、なんだか感動的かつ生真面目すぎて、ボカロにしては異様にイジりにくい雰囲気をまとっている崇高なかんじが良くも悪くもOrangestarってかんじで愛おしいのですが……)
この動画ではアスノヨゾラがネタ的に(?)使われていて「おっ」となった覚えがあります。8月20日(アスノヨゾラの投稿日の翌日、Orangestarの誕生日)にアップロードされてるのが笑います。
今井さんの純粋で天衣無縫なかんじはOrangestar感がある(?)。同い年ですし…… もしや同一人物!?(爆
「Orangestarさんをイジるなんて許せない!」という方もいるでしょうから、そうした人には視聴非推奨です。
以上、20曲が暫定、Orangestarで特に好きな曲です!
20位:からっぽの街月夜の下
19位:快晴 (Live Edit)
18位:白南風
17位:悪性新生物
16位:イヤホンと蝉時雨
15位:Postscript
14位:DEYBREAK FRONTLINE
13位:未完成タイムリミッター
12位:牆壁
11位:空奏列車
10位:花と記憶
9位:CITRUS
8位:ノクティルーカ ASH ver.
7位:Nadir
6位:シンクロナイザー
5位:Still-GATE
4位:Wreath(Vo.版)
3位:Alice in 冷凍庫
2位:Ifの世界設定
1位:アスノヨゾラ哨戒班
『柑橘類収穫記念祭』1曲、『未完成エイトビーツ』8曲、『未完成OSC』1曲、『SEASIDE SOLILOQUIES』3曲、『And So Henceforth,』2曲……ということで、やっぱり『エイトビーツ』が多いですね。初期衝動ののめり込みと想い入れはデカい。
しかし懐古一辺倒というわけでもなく、『ASH』の2曲(白南風、ノクティルーカ)のほか、「Nadir」や「Postscript」などの新しめの曲も入っていてバランスはいいランキングだと我ながら思います。
これからも、このランキングが入れ替わるくらい良い曲をたくさん聴かせてほしいですね。
みなさんのランキングも……見たいなぁ(チラッ
それでは次回は「いよわの好きな曲10選」「n-buna/ヨルシカでいちばん好きな曲ランキング」「アジカンで好きな曲ランキング」「宇多田ヒカルで~」「Perfumeで~」……あたりのどれかでお会いしましょう!
あ~つかれた! おなかすいた!
コンビニ行ってきます。おやすみなさい……
これまでに書いたOrangestar関連のnoteは↑にまとまっています。
拙論が入っている『ボーカロイド文化の現在地』をぜひよろしくお願いします!
この本じたいは売れているようだけれど、今のところリアクションが主催者以外から届かない…… 誰にも読まれていない疑惑がある。
(でも、Orangestarファンって中高生・若年層が多いから、こういうお堅い評論に興味ないのは当然だよな……とも思います。健全かつ解釈一致)
ボーカロイド文化の現在地 | Async Voice asyncvoice.booth.pm/items/5230389 2つ目は、ネットで読める文章ではないんだけど、『ボーカロイド文化の現在地』にかくしかさんが寄稿していた 「ボカロは歌を忘れることができるか──Orangestarの言葉と音について──」 というOrangestar論。 かくしかさん自身がこの記事についてnoteで紹介してくれています note.com/kksk/n/n27b1...
— highland @Async Voice (@highland.bsky.social) 2024-11-16T08:35:24.074Z
highlandさんいつもありがとうございます
