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【小説】カケガワカザグルマ 第2話

    第二話錆び぀いた翌ず、鳎り響く詩

    「――この颚車を、党郚回したいんです。あなたの䜜ったモヌタヌで」
    掛川の茶畑を芋䞋ろす䞘の䞊。志村詩子が指差したのは、無残に矜根を止め、錆び぀いた䞉基の小型颚車だった。
    出井亜門むデアは、手元のドロヌン甚コントロヌラヌを操䜜しながら、錻で笑った。
    「無理だ。あれは五幎前、圓時の自治䜓が補助金目圓おで蚭眮した、パワヌズ補の旧型機だ。掛川の埮颚じゃ採算が合わないっお、圓のメヌカヌが保守を投げ出した『鉄のゎミ箱』だよ」
    「メヌカヌが投げ出したからこそ、チャンスなんです」
    詩子は䞀歩も匕かない。その瞳は、午埌の陜光を反射しお䞍気味なほどキラキラずしおいる。
    「パワヌズの特蚱網は完璧に芋えたす。でも、圌らは『効率』を重芖しすぎるあたり、この地域特有の『匱すぎる颚』ず『極端な匷颚』を切り捚おおいる。そこだけが、圌らの垝囜に空いた唯䞀の穎なんです」
    むデアはドロヌンを急降䞋させ、詩子の足元スレスレでホバリングさせた。颚圧で圌女のスヌツがバタバタず音を立おる。
    「  あんた、自分が䜕を蚀っおるか分かっおるのか モヌタヌの蚭蚈は魔法じゃない。トルクを䞊げれば重くなり、軜くすれば回らない。知財の壁を越える以前に、物理の壁があるんだよ」
    「その壁を壊すのが、゚ンゞニアの仕事でしょ」
    詩子が叫ぶ。
    「私は昚日、あなたの郚屋のゎミ箱から拟った蚭蚈図を芋たした。  いえ、正確には、あなたが『無駄だ』ず蚀っお砎り捚おた、あの遊星歯車の蚈算曞を」
    むデアの指が、䞀瞬止たった。
    「あの蚈算、ただ続きがありたすよね 摩擊損倱を極限たで枛らしたギダず、䜎回転でも磁束密床を維持できる特殊なコむル配眮。あれが圢になれば、そよ颚で回り始め、台颚でも壊れずに発電し続ける『究極の心臓』になる」
    「  黙れよ。玠人が知った颚なこずを」
    むデアはプロポのスむッチを切り、地面に降りたドロヌンを無造䜜に拟い䞊げた。
    「技術なんお、盗られたら終わりなんだ。どんなに玠晎らしい図面を曞いたずころで、資本力のある奎らが法務郚を総動員しお『これは我々の特蚱の範囲内だ』ず曞き換えれば、俺たちの努力は䞀瞬で玙屑になる。芪父はそれで  出井粟機は、それで死んだんだ」
    吐き捚おるように蚀っお背を向けるむデア。だが、背埌から詩子の凛ずした声が远いかけおきた。
    「なら、今床は私が『盟』になりたす」
    むデアが足を止める。
    「私は元ベンチャヌキャピタリストです。倧手がどうやっお小さな芜を摘むか、その汚いやり方を嫌ずいうほど芋おきた。だからこそ、守り方も知っおいたす。特蚱を出すタむミング、あえお出さずにノりハりずしお秘匿する範囲、そしお  パワヌズが手出しできない『倧手』を味方に぀ける亀枉術も」
    詩子はむデアの前に回り蟌み、その泥の぀いた䜜業着の袖を掎んだ。
    「出井さん。あなたの頭の䞭にある『むデア理想』を、この掛川の空に解き攟っおください。盗たせたせん。今床は、䞀歩も匕かせない」
    その時だった。
    遠くから、地響きのような重䜎音が響いおきた。
    東海道新幹線が、掛川駅を通過しおいく。
    䞀瞬の閃光のようなスピヌド。そしお、通過した埌に残る、暎力的なたでの「颚圧」。
    詩子の髪が激しく乱れる。圌女はその颚に目を现めながら、䞍敵に笑った。
    「芋お。あんなに倧きな゚ネルギヌが、誰にも䜿われずに捚おられおいる。  これ、ワクワクしたせんか」
    むデアは、遠ざかる新幹線の癜い機䜓を芋぀めた。
    錆び぀いおいた脳内の歯車が、異音を立おながら、ほんの数ミリだけ動いた。
    パワヌズの理論を真っ向から吊定し、圌らが「ノむズ」ずしお切り捚おた颚を党お「力」に倉える。そのための回路図が、暗闇の䞭で䞀瞬だけ発光した。
    「  勘違いするなよ」
    むデアは詩子の手を振り払い、足早に䞘を降り始めた。
    「茶化しに来るなら、他を圓たれ。  ただし、あの颚車のギダボックスの寞法、明日たでに党郚枬っおこい。コンマ5ミリでもズレおたら、その時点で解散だ」
    「――了解です、パヌトナヌ」
    背埌で詩子が䞊げた歓喜の声を聞き流しながら、むデアはポケットの䞭で拳を握りしめた。
    埩讐じゃない。これは、蚌明だ。
    町工堎の技術が、巚倧䌁業の傲慢を食いちぎるための、反撃の始たりだった。

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