
製造業のためのOpenSourceまとめ
1.概要
転職が当たり前になった昨今において、Open Sourceを使いこなすのは重要なスキルです。本記事では便利なツールを紹介します。
※競合ツールを全抽出していませんので、より優れたツールは存在する可能性があります。
ライセンスについて
Open Source≠「無料で自由」ではありません。ルールはライセンスで規定されます。上から寛容順であり、
特徴: 最も自由でシンプル。
義務: 著作権とライセンスの全文を表示するだけ。
可否: 商用利用、改変、再配布、ソースコード非公開が可能
特徴: MITとほぼ同
義務: 著作権表示に加え、「作者の名前を使って製品を宣伝してはいけない」。
可否: 基本的にMITと同様
特徴: 企業利用向けの「特許安心パック」付き
義務: 著作権表示に加え、変更箇所の明示が必要
可否: MITと同様に何でも可能だが、特許権の訴訟を起こさないという許諾が自動的に付与され
LGPL(LESSER GENERAL PUBLIC LICENSE)
特徴: ライブラリとしての利用に特化した、GPLの緩和版
義務: 改変した場合は公開が必要だが、動的リンク(ライブラリとして呼ぶだけ)なら、自社アプリのソースは公開しなくて良い
注意: 静的リンク(組み込み)にするとGPL同様に汚染されるリスクあり
GPL (GNU General Public License)
特徴: 「自由の感染力」を持つ厳格ライセンス
義務: このコードを利用(リンク・改変)して配布する場合、自社アプリの全ソースコードもGPLとして公開が必要
注意: 社内利用のみなら公開義務はないが、受託開発や販売は注意
AGPL(GNU Affero General Public License)
特徴: クラウド・SaaS時代の最強・厳格ライセンス
義務: 配布しなくても、「サーバー上で動かして利用者に使わせる(SaaS)」だけで、全ソースコードの公開義務が発生する
注意: 自社Webサービスにうっかり混ぜると致命傷になる

2.ドキュメント
スライド
Marp
Slidev
文章
Quartro
Typst
3.プログラミング
python
4.AI関係
AIプラットフォーム
Hugging face
AIモデル
Stable Diffusion
gpt-oss
OpenAIが2025年8月5日にリリースしたオープンソースモデル「gpt-oss」を公開しました。ChatGPTの開発元であるOpenAIが、設計図と「脳の中身(重み)」を一般公開しました。
特徴は「ローカル環境(自社内)で利用可」のため、「ChatGPTクラスの性能を持つAIを、インターネットに接続せず、自社のPCやサーバーの中で安全に動かせること」にあります。
5.2D/3D
3D CAD
Blender
FreeCAD
Open3D
Open3Dは、点群(ポイントクラウド)や3Dメッシュなどの3Dデータを、Pythonを使って軽快に処理・可視化できるライブラリです。

OpenSCAD
OpenSCADは、OpenSCAD独自のプログラミング言語(OpenSCAD Language)により3Dモデルを構築します。多くのCADソフトはGUIベースですが、OpenSCADはCLI(キーボードのみ)ベースです。
CadQuery
プログラミング言語「Python」を使用して3Dモデルを生成するためのライブラリ(スクリプト言語)です。
OpenSCADでは困難だった『産業用標準フォーマット(STEP形式)』での書き出しが可能で、かつPythonの豊富なライブラリ(科学計算やAI)と連携した自動設計ができることが特徴です。
3Dデータ生成
Meshroom
Meshroomとは写真から3Dモデルを自動生成する技術「フォトグラメトリ」の主要ソフトウェアです。
3D開発プラットフォーム
Unity
Unityは、3D空間を構築し、物理法則(重力や衝突)をシミュレーションし、それを映像として出力するための統合開発環境(ゲームエンジン)です。
注意点として、Unityは商用ソフトウェアです。 しかし、一定の売上規模以下の個人や企業は「Personalプラン」を無料で使用できます。
6.CAE
PrePoMax
試作品を作る前に強度検証向けのCAE(Computer Aided Engineering)について、有限要素法(FEM)を用いた構造解析を行うためのWindows用ソフトウェアです。
なお、PrePoMax自体は計算を行わず、実際に計算しているのは裏側に搭載された別のオープンソースエンジン「CalculiX」です。
メッシュ作成が簡単、商用ソフト(特にAbaqus)に似た操作フロー、計算エンジンもメッシュツールも全て同梱されているため、導入のハードルが極めて低いなどの特徴があります。
Code_Aster
Code_Asterは、高機能・高品質なオープンソースCAEソフトウェアの構造解析ソルバーです。 熱・構造・音響など多岐にわたる物理現象を有限要素法(FEM)解析エンジンでシミュレーションできます。
ご利用ライセンス数に関係なく使用料無料のため、CAEを用いた製品開発や教育のコスト削減や、研究開発現場の高効率化に大きく貢献することができます。
基板設計
KiCad
KiCadは、電気回路図とプリント基板(PCB: Printed Circuit Board)を作成するためのオープンソースのソフトウェア ツールです。
7.数値解析
数値計算・データ解析
MATLAB/Simulink
数値計算・データ解析を行うプログラミング環境「MATLAB」と、ブロック線図を用いてシステムの挙動をシミュレーションする「Simulink」からなる統合開発プラットフォームです。
非常に高額な商用ソフトウェアですが、有名なため記載しておきます。
流体力学
OpenFOAM (Open source Field Operation And Manipulation)は、流体力学シミュレーション(CFD)の分野で事実上のオープンソース標準となっているツールです。
熱、流体、化学反応などの複雑な物理現象を計算・予測するためのC++ライブラリ群(ツールボックス)です。
関連する可視化ツール(Opensource)としてParaView(pyevtk)があります。
OpenFOAMの結果をblenderで可視化することもできます。
8.化学
プラットフォーム
Open Catalyst Project
MetaのFundamental AI Research (FAIR)とカーネギーメロン大学(CMU)化学工学科による共同研究プロジェクトです。目的は、AIを活用して新しい触媒をモデリングし、発見することです。
Materials Projectからデータ取得はPythonライブラリのpymatgenを利用できます。
CADS(Catalyst Acquisition by Data Science)
CADSは、北海道大学理学研究院(髙橋啓介准教授ら)が開発した、触媒インフォマティクスのためのWebプラットフォームです。ツールはWebサービスとして公開されており、登録ユーザーは無料で利用可能です。
RDKit
Anacondaでのインストールは下記の通り。
[Terminal]
conda install -y -c conda-forge rdkitインストール後の確認は下記でVersionを確認します。
[IN]
from rdkit import rdBase
print(f'RDKit version: {rdBase.rdkitVersion}')
[OUT]
LinChemIn
合成経路予測のpythonツールキット。
— 横山トモヤス|計算材料科学者 (@yoko_materialDX) November 22, 2022
スイスの殺虫剤メーカーSyngentaさんが、分子のさまざまな合成経路予測手法を比較できるpythonツールを開発したとのこと。
数行のコードで合成経路が予測できるようなので、pythonの勉強のきっかけに使ってみてもいいかもしれません。https://t.co/OMnObZAihl pic.twitter.com/9lLpLPpuz6
EquiFold
We open sourced our EquiFold code for the community's use! https://t.co/ojvD56sL7Y
— Jae Hyeon Lee (@jaehyeon_lee_ml) December 2, 2022
(1/N) https://t.co/CZcpNEpZWf
9.プロセスシミュレータ
化学プロセスシミュレータ
DWSIM
DWSIMはブラジルの化学エンジニアDaniel Medeiros氏によって開発された、オープンソースの化学プロセスシミュレータです。
COCO/ChemSep
化学工学設計向けのプロセスシミュレータ「COCO」と、その中で動く蒸留塔専用シミュレータ「ChemSep」です。COCOは化学プロセス全体の「流れ」を計算するプラットフォーム(無料)であり、ChemSepはその中で「蒸留(液体を分離する工程)」を高度に計算するための専門ソフト(無料版あり)です。
化学業界のデファクトスタンダードである商用ソフト「Aspen Plus」や「Aspen HYSYS」と比較すると、安価であり、計算の中身(相関式やパラメータ)が公開されていることがメリットです。(サポートは有償の方が上)
10.Robot Operating System (ROS)
ROS2
「ROS2」は名前にOSと入っているものの、いわゆるOSはありません。その実態は通信やシミュレーションなどの機能を含むロボット開発のためのフレームワークです( 公式のドキュメント)。
参考資料
自分用
改定履歴
2022年12月3日:初版発行(追って追加予定)
2025年11月30日:途中まで更新