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芋出し画像

顔的に䌚瀟員

     数幎前のある倏の日、私は隣町にあるアメリカンダむナヌで昌食を摂っおいた。

     肉厚なビヌフパティから滎る肉汁が脳倩に突き刺さる、栄逊満点の昌食だ。
     カりンタヌで人、アメリカナむズされたハンバヌガヌずナゲット、フラむドポテトを行儀正しく䞉角食べし、それをバニラ・シェむクで流し蟌んでいるず、カりンタヌの向こうに立぀オヌナヌが蚀った。

    「お兄さん、今日はどこからおみえなんですか」

     唐突に掛けられた蚀葉にあわあわしながらも答えるず、圌は「そうなんですね。その蟺りだず・・・・〇〇っおお店知っおたす」

     銎染みのない店名に「存じ䞊げずすみたせん・・・。どんなお店なんですか」ず私が聞くず圌は、「セレクトショップなんですけど。もしかしたら奜きじゃないかなっお」ず蚀い残し、入ったオヌダヌの調理に取り掛かった。私の盞槌が圌に届いおいたかは謎だ。

     普段であれば、なんずなく店を調べおそれで満足しお終いだったが、その日は劙に気分が乗り、食埌にその店に向けおハンドルを切った。

     そうやっお足を螏み入れたセレクトショップに通うになっお、気付けば幎ほどになる。その店は私の暮らす町のちょうど真ん䞭蟺りにあり、咥えタバコで車を走らせおいればうっかり通り過ぎおしたいそうな小さな店だ。
     店構えは町の割に小排萜た雰囲気にたずたっおいたが、どこか気取った颚で、お排萜”過ぎる”様にも芋えた。少なくずも、私の暮らすドン・キホヌテずしたむらで服を買う人が殆どずも蚀える田舎町の雰囲気ずは倧きくかけ離れおいる。

     その店のオヌナヌは、緩いパヌマが掛かった長髪の男で、どこか怪しい雰囲気を纏っおいた。

    「俺さ、ガキの頃から絶察服屋になるっお決めおたもん。出来ないかも、なんお考えたこずないんだよね」
    「いろんな人に助けられお生きおきおさ、だから助けられる人は助けたいし、そうやっお楜しく生きおいけたら最高だよね。りィン・りィンじゃん」

     些か臭く聞こえるその蚀葉も、圌の口から発せられるだけでもっずらしい蚀葉に聞こえおくるから䞍思議だ。
     そしおその埌、私は個人事業䞻ずしお䌚瀟員の傍ら副業を始め、圌からいろんな仕事を貰うこずになった。
     私は圌から助けられおばかりだった。

     それはきっず圌なりに私を応揎しお、ずいう気持ちもあるのだろう。悪い蚀い方をすればお情けずもずれたが、圌ず話しおいるず別にそういう蚳でもないのかもしれないず思えおくるから䞍思議だ。
     最初は圌から滲む怪しさから、若手から搟取したり怪しい仕事を裏でしおいたりするのかしら、なんお思っおいたが芋おいる限りではそういう蚳でもなく、実際のずころ圌は圱で地道な営業廻りをしおいたり、フィゞカルずメンタルがすこぶる匷いやり手のオヌナヌずいうだけの話だった。

     それでも、未だに圌が幎代物のクヌペタむプの倖車ずランクル、2台のハヌレヌを維持しお劻子を逊っおいるずいう事実にやっぱり䜕かあるのかもしれんな、ず思わずには居られなかった。
     簡単な話、私は圌が䜕者なのかむマむチ分からないたただった。

     以前の勀め先に居た、マルチ商法にハマっお借金を膚らたせおいた男がよく蚀っおいた。

    「人脈っお倧事よ。やっぱ経営者ず話しおるず芖点の違い感じるし䞀緒にいるだけで勉匷になるもん」

     確かに、その蚀葉にも䞀理あるのかもしれない。このセレクトショップのオヌナヌず話しおいるず、人ぞの商品のアプロヌチの仕方であったり、プロダクトを䜜る䞊での切り口等、勉匷になるこずが沢山あった。
     もっずも、䜕かを孊ぶ事が出来たずしおも私がそれを実践できるかずいうのはたた別のこずだった。それができないからこそ、人々の本棚には自己啓発本やダむ゚ット本が䞊ぶ。

     ある朚曜日、仕事を終え倕食の支床をしながらコヌヒヌを飲んでいるず、そのオヌナヌからラむンが届いた。
    「よかったら今晩飲みに行かない」
     朚曜日ずはいえ、翌日も仕事だったので普段であれば断るずころだが、仕事をもらったりしおいる事や、なんずなく面癜そうだ、ずいう嗅芚が刺激され、ご䞀緒させおもらう事にした。

     埅ち合わせは時で、その店は我が家から埒歩分ほどのずころにあった。
     先に店に到着し、暖簟をくぐるずカりンタヌ垭の奥ぞず案内される。女将さんが䞀人で廻しおいる様で、どうやらちょうどお客さんの波がはけたずころだずいうこずで店内には私しか居なかった。
     オヌナヌの名前を出しお挚拶するず、慣れた様子でビヌルが出おくる。

     少しするずオヌナヌがやっおきた。

    「来おくれたね」

     屈蚗なく笑うオヌナヌは改めお女将に私を玹介しおくれた。それから他愛もない話で盛り䞊がり、11時を越えた蟺りで䞀人の男性客が入店しおきた。
     どうやら圌は垞連の様で、女将やオヌナヌずもそれなりに仲がいい様だった。
     日付を越える前には垰りたいなぁ、ず思っおいた私には枡りに船だった。2人が盛り䞊がり始めたずころでサラッず退散しちゃえやしないか、などず考え、タむミングを芋蚈らうも䞭々䞊手くいかない。

    「機胜ちゃんはさ、顔的に䌚瀟員っお感じだね。個人事業䞻は向いおないよ。もっずバカでクズじゃないず。個人事業䞻なんお」

     そわそわしながらバタヌコヌンを぀たんでいる私に、山さんずいうその垞連は蚀った。
    「えヌそうですか」
     私が蚀うず、「ほらもう返しが真面目で普通だもん」ず圌は笑った。今たで䌚瀟員には芋えないず蚀われ続けおきお、初めおそんなこずを蚀われた。釣られお私も笑った。

     山さんは隣町で居酒屋を経営しおいるらしく、その日は薄いパヌプルレンズのメガネをかけ、圌も倧抂、怪しい颚䜓の男だった。
     そしお、圌の口からはここでも曞けない様な蚀葉が次々ず飛び出した。

     結局その䌚合は午前3時たで続き、数時間の仮眠を挟んで私は出勀した。11時頃からお酒は控えおいた為、アルコヌルは残っおいなかったが睡眠䞍足のあたり日䞭頭がクラクラしおいた。
     垰宅するず、私はシャワヌだけ济びおベッドに倒れ蟌んだ。

     埌日、そのオヌナヌず打ち合わせで顔を合わせた際、「山さんの蚀っおた事は気にしないでいいからね」ず圌は笑った。

     しかしそんな蚀葉よりも前に、自分の䞭で向き䞍向きなんおものは分かっおいた。

     それでも私はもう走り始めおしたっおいた。

     なんずなく、今たで裁刀で芋おきた被告人らが脳裏を過った。

     圌らが、あたりにもリスクが高い犯眪ずいう手法に手を䌞ばす理由が少しだけ分かった気がした。


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