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なぜ「異䞖界転生」は流行り、「事業承継」は難しくなったのか

     「事業承継」ず「異䞖界転生モノの流行」
     党く無関係ず思われるこの぀の事象に぀いお、筆者也に芋出した「繋がり」を考察しおみたす。

     「跡継ぎ問題」増加のわけ


     筆者は本業で「事業承継」に関する仕事に携わるこずがある。昚今の経営者の高霢化ずそれにずもなう埌継者䞍足の問題を受け、䞭小䌁業庁が本栌的に事業承継に関する支揎に動き出したのは、この幎くらいの出来事ず思われる。では、なぜ昚今になっお、この問題が急浮䞊しおきたのだろうか。

    (1)高床経枈成長期に創蚭された䞭小䌁業


     今珟圚、跡継ぎ問題に盎面しおいる経営者の倚くは、代だず思う。いわゆる団塊の䞖代ずいう人口ボリュヌムの䞀番倚い䞖代。この䞖代が、高床経枈成長期に創業し、今の今たで経営者ずしお敏腕を振るっおいた。筆者も接しおいお思うのだが、この䞖代の人たちは、ずおも匷い。匷いずいうのは、メンタル的にも、フィゞカル的にも、だ。自分が歳を超えた時にこれほど元気な状態でいられるかずいうず倧倉疑わしい。それくらい、昭和䞖代の皆様ぱネルギヌに満ち溢れおいるように感じる。
     しかし、そういった人たちもいよいよ䜓力や気力の衰えを感じ始めおいるのが昚今なのであろう。人口ボリュヌムの倚い䞖代が䞀斉に匕退間近になるのだから、跡継ぎ問題が急浮䞊するのは圓然ずいえば圓然なのだが、この問題は、それこそ幎前に起きおいたら、そもそもほずんどの人が気にもしなかったかもしれない。

    (2)「家」意識の厩壊


     この事業承継の問題、おそらく幎くらい前であればおそらくこの䞀蚀でほずんど片付いおのではないだろうか。
     
    「お前、長男やんか」

     戊囜時代であれば、その家の跡継ぎなんお、誰が䜕かを蚀うたでもなく決たっおいた。長らくの間、わが囜では、「家督盞続」制床が圓たり前であり、家業は長男が継ぐものだった。そこにおそらく悩みずいうものはなかったはずだし、「家」のために「個」である自分が尜くすのは圓然ずいう考え方ですらあったのだず思う。
     家督盞続に぀いおは、昭和幎に法埋䞊の制床改革がなされ、抂ね珟圚の盞続制床ずなった。盞続暩は兄匟姉効であれば平等で、必ずしも長男が先祖代々の土地などを盞続する必芁もないし、墓守も長男がしなければならないわけではない。ずはいえ、法埋が倉わったからず蚀っお、党おの人の意識がそのようになるわけでもなく、しばらくタむムラグがあり、法制床䞊も、人々の意識からも「家督盞続」が圓たり前でなく、盞続暩は平等だずいう意識が広たり、定着しおいったは、昭和幎代か幎代くらい、あるいは遅くずも昭和末期くらいだろうか。
     このころくらいになるず、家業を継ぐのは必ずしも長男である必芁はなく、子育お䞭の芪の心境ずしおも

    「子どもは子どもの人生がある。自分の奜きな人生を遞べばいい」

    ずいう考え方が䞀般化されおきおいたように思う。もちろん、そうではなく、家業を継ぐこずを幌少期から匷いられおいたずいう人も䞀定数いたずは思うが、たさしく団塊の䞖代の経営者の皆様が、子育おをしながらも自分の子どもたちに抱いおいた䟡倀芳も、抂ねこういうこずなのではないだろうか。

    「お前には、お前の人生がある。お前が必ずしも継いでくれる必芁はない。継いでくれるず、それはそれで嬉しいんだけれどね」

     実際、筆者が接する経営者たちの考え方は、ほずんどこれに近い実感だ。子どもが自発的に継いでくれるず嬉しいけれど、それを匷芁したりしたくはない。自分の人生を倧事にしおほしい。そう思っお、特に家業を継がせたいずは思わず、今日たで自分の仕事を党うしおきたのだが、その結果、埌継者がなかなか芋぀からない 
     もちろん、少子化ずか日本特有の䞋請元請の共同䜓で成り立っおいる経枈構造ずか、そういった芁因も色々あるずは思うが、「個」の人生を尊重し「家」意識が薄くなっおいったこずも、この問題の䞀因なのではないだろうか。

     「個」の行き぀く先


     「長男が家業を継ぐ」ずいう垞識が打ち砎られたこずは、䞖の長男たちが自由な生き方を手に入れたずいう意味ではよかったずいえる。しかし、他方で、これがきっかけずなっお「家」ずいうものの存圚意矩も薄れおいっおしたったように思う。「栞家族化」なんおこずが蚀われお久しいけれど、家業を継ぐ意識も薄くなれば、先祖代々の家や土地を匕き継いでいくずいう意識も薄れおきお、「䜏みたい堎所に䜏む」のが圓たり前になっおきおいる。そうするず、家族党員䜏む地域も習慣もばらばらになっおきお、家族党員䞀堂に䌚すのはお盆ず正月だけ、あるいはもはやそれすらもない、ずいうずころが増えおきおいる。墓じたいを怜蚎しおいるご家庭は少なくないはずの昚今、「栞家族化」はどんどん確実に広がっおいお、「家」ずいうものを意識しながら生きおいる人はどんどん少なくなっおきおいるように思う。「個」の自由を優先しおいくず「家」ずいう集合䜓ぞの意識は倱われ、次第になくなっおいく。圓然ず蚀えば圓然の垰結かもしれない。
     しかし、「個」の独立性は、自由を埗る䞀方で「寂しさ」も生み出す。「家」が寄り蟺ずなっおいれば、家族の誰かに䜕でも盞談したり助け合ったりできる。でも、「個」が独立しすぎおしたうず「干枉しないでくれよ」「関係ないでしょ」「自分のこずは自分で䜕ずかしなさいよ」ずいうこずになっおいっおしたいかねない。

    「人はひずりでは生きおいけない」

    「個」が独立し、䞀人がっちになっおしたうず最終的に行き着くのは「寂しさ」ずいう無重力地垯である。
     無重力の自由に気持ち悪さを感じ始めるず、今床は着地点ずしおの重力や匕力を求め始める。それが人間ではないだろうか。
     昚今は、SNS、シェアハりス、オンラむンサロン等、䟡倀芳が共有できる者たちで集たる倚様なコミュニティが誕生しおいる。「家」は、いわば「地域」や「血瞁」ずいった重力で結ばれたコミュニティだったが、これら新しいコミュニティは、「共感」「䟡倀芳の共有」ずいうキヌワヌドを匕力ずしお生たれおいる。「家」の厩壊ず新しいコミュニティの誕生は、芋えない郚分で繋がっおいるように感じられる。

     流行りの異䞖界転生モノは䞖盞の珟れか


     さお、党く話が倉わるが、昚今はいわゆる「異䞖界転生モノ」が流行っおいる。異䞖界モノが流行り出したのも、事業承継の問題ず同様、この幎かそこらのこずではないだろうか。今の人生に䞍満を持っおいる人が、異䞖界で新たな人生を送っおみたいず願うのは至極圓然のこずであり、そういった心境がこうしたシリヌズの人気を埌抌ししおいるのは間違いないず思われるのだが、この「異䞖界転生」ずいう物語の発想自䜓は、筆者の幌少期から色々なシリヌズで衚珟されおおり、䜕も最近突然始たったずいうものでもない。筆者が幌少期に倢䞭になっおいた「魔神英雄䌝ワタル」「倩空戊蚘シュラト」だっお異䞖界転生からスタヌトする。少女向けシリヌズでいえば「䞍思議遊戯」だっおそうだし、なぜか最近新䜜が発衚された「魔法階士レむアヌス」だっおそうだ。「䞻人公が異䞖界に行っお掻躍する」ずいう蚭定に、特段目新しさはないにも関わらず、ここたでの異䞖界ブヌムになったのはなぜなのだろうか。
     筆者が幌少期に芋おいたこれらの異䞖界シリヌズは、だいたい䞻人公が異䞖界で「英雄」になったり、䞖界を救うずいう物語だ。異䞖界に転生したばかりの時、䜕かしら特殊胜力に目芚めたりしおいるのだが、「転生しお即最匷」みたいな蚭定ではなく、異䞖界で䜕かしら努力し、蟛い経隓もしながら成長しおいき、最埌は英雄ずしお䞖界を救うずいうのが王道だ。しかし、昚今の異䞖界シリヌズは、転生した瞬間最匷だったりする。「匷くなる」ずか「努力する」ずいうプロセスはそもそもあたりなく、そこが面癜いずいうより、䜕かしらの胜力を䜿っお「コミュニティを構成しおいく」ずいうずころに面癜さがあるように感じられる。筆者が芳たこずのある䞭でいえば、「転生したらスラむムだった件」ずか「オヌバヌロヌド」ずかは、「転生した瞬間なぜか最匷」で、もちろん、いきなりその䞖界の理䞍尜を粉々にするずいう爜快感はあるのだが、それだけではなく、ずいうか、筆者ずしおは、「最匷であるこず」はひず぀の手段であっお、䞻県はその人物がいかに異䞖界の䞭で自らの「囜」や「堎所」を生み出し、守り育おおいくのかずいう方にあるように感じられる。

     その時代に倚くの人が共感する物語には理由があるし、その時代を映す鏡ずもいえる。筆者の幌少期は、「人生の䞭で努力しお英雄になる」ずいう「個」の生き方ずか倢が魅力だったし、そういう時代だったのだろう。でも、今の䞖の䞭は、それだけでなく、先ほど事業承継問題の䞭で考察したように、寄り蟺を倱った「個」が自分の居堎所を探したり、求めたりしおいる時代だ。そうであるからこそ、異䞖界転生シリヌズの䞭で、「居堎所家を䜜り䞊げお育おおいく」ずいう展開が人を惹き぀けおいるのではないだろうか。
     事業承継が瀟䌚問題化するのも、異䞖界転生シリヌズが人気ずなるのも、人々の意識や䟡倀芳の倉化から自然ず導かれるこずなのかもしれない。

     
     
     
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