
わたしは、パズルのピース。〜凸凹のままで〜

「ありのままの形で、お互いを支え合おうね」
それが、わたしたちピースの合言葉でした。
みんながそれぞれの形でピタッとはまり、
少しずつ綺麗な絵ができていきます。
その時のみんなの顔は、誇らしげで、
キラキラと輝いていました。
もちろん、わたしもその中の一人でした。
---------------------------

パズルの真ん中には、いつもまばゆい輝きを放つ
「センターのピース」がいました。
そこにずっと憧れを抱いていました。
みんながため息まじりに見つめる、特別な場所。
それなのに、
わたしの場所はパズルのいちばんすみっこ。
地味な背景の、グレーのグラデーション。
わかってたはずなのに、、、
少しずつ違う感情が芽生え始めていました。
---------------------------

「あのピースの凸はすごいな、
わたしもあんな風にならなきゃ」
「わたしの凹はかっこ悪いから、
あのピースみたいな形に変えたい」
わたしも、周りに負けないように、
一生懸命カタチを変えようと努力しました。
でも、ちっとも他のピースのようにはなれません。
頑張れば頑張るほど、
苦しくなっていきました。
そして、わたしは少しずつ、
自分のことが嫌いになっていったのです。
---------------------------
「ねぇ、目立たなくて、嫌じゃないの?」
イライラしていたわたしは、
すみっこのピースちゃんに、
思わず意地悪な質問をしてしまいました。
すると彼女は、穏やかに笑ったのです。
「ううん。私はここが好きだよ。
目立つの嫌だし、
ここが一番落ち着くの」

「それにね.....
わたし、あなたのその場所と形、
あなたらしくて
ずっと素敵だなって思っていたの」
思いがけない言葉でした。
目立たなくて地味で、
ちっとも良さを感じられなかったわたしを、
誰かが「素敵だ」と思ってくれていたなんて。
胸の奥が、
ほわん……と温かくなりました。
でも、それでもまだ、
わたしの心のモヤモヤは、
完全には消えていませんでした。
---------------------------
そんな悶々とした日々を送っていた頃、
思いがけないことに、
センターのピースさんのほうから、
声をかけてきたのです。
驚いて固まるわたしに、
彼女は、はにかみながら続けました。
「わたし、
あなたと、ずっと話してみたかったの」

みんなの注目の的であるはずの彼女は、
ちっとも威張っていなくて。
それどころか、
"周りのみんなと笑い合って、
ぶつかり合える"
当たり前すぎて、見向きもしてなかった
「わたし」というピースそのものを
素敵だと言ってくれていました。
なのに、
わたしは、何してたんだろう…
周りの持っているものばかりを羨んで、
自分のカタチを無理やり変えようとしていたのです。
---------------------------

少しだけ、
自分自身を認められるようになってきた頃、
昔からずっと張り合ってきた、
自分とそっくりな形のピースと、
思いがけず
鉢合わせしてしまったのです。
似ているからこそ、
「負けたくない!」という気持ちが
止まりません。
気づけば、
わたしたちは激しくぶつかり合っていました。
別れたあと、ひとりになっても、
胸のモヤモヤは、
なかなか消えてくれません。
悔しい。
イライラする。
「もぉーーーー!!!っ」
---------------------------
「うわっ!
ビックリしたー!!」
イライラしたわたしが出してしまった大きな声に、
びっくりしたのは、
たまに喧嘩もするけれど、
困った時に的確なアドバイスをくれるピースでした。
似ているからこそ、
どうしても張り合ってしまうピースのことを話すと、
意外そうな顔で、
こう言ったのです。
「え?俺には、
全く違って見えるけどな。」

「キミはさ、
もっと、みんなと笑ったり、
ふざけたり、
一緒にいるだけで、
楽しい場所にしてくれるピースだろ?」
わたしは、
思わず黙り込みました。
「それは、
キミだけのものなんだよ。
見た目が似ていたって、
誰も、
キミの代わりには
なれないんだから。」
そんなふうに言ってもらえて、
正直、嬉しかった。
…でも。
また会ったら、
張り合ってしまいそう。
---------------------------