
深夜3時の卵焼き
眠れない日曜日の夜。
深夜3時、卵焼きを作り始めた。
何もできなかった休日を誤魔化すために、何かを成したかったらしい。
卵を2つ割って、白だしを入れ、フライパンをあたためる。
ある程度あたたまった頃に、卵を少し流しいれ、かき混ぜる。
本来ここで気泡が生じるくらいフライパンが熱せられているのが理想なのだが、今日もまた失敗した。卵を入れるのが早すぎたようだ。
しょうがないから、それらしくかき混ぜる。混ぜすぎてスクランブルエッグもどきのような姿になってしまった。
ミスを挽回する気持ちで、もう一度卵をいれる。
一回目がうまくまとまっていないせいで、卵がいびつに形崩れる。
もう、どうにもならないかもしれない。
それでも諦めきれず、残っていた最後の卵を流しいれた。
懸命に崩れた形を整える。
時間との勝負だ。卵が固まらないうちに、でも確実に火は通しながら。
慎重かつ大胆に、くるくる巻いていく。
卵焼きを作っている間、私はとても集中していた。
頭にあるのは、卵のかたまり具合や、鼻孔をくすぐる白だしのにおいばかりで、まるで精神統一を図っているかのようだった。
結局卵焼きは、崩れてしまった。
1つの美しいかたまりにすることはもはや不可能で、半分くらいに割れた形になった。
腑に落ちなさを感じながら、いくつかに切り分け、端のものを味見した。
それはいつも通りの優しい味で、ようやく少し満足した。
不格好な卵焼きは私自身を映しているかのように思えた。
がたがたと崩れながらも、あきらめきれず、しかし結局理想通りにはいかない。
ただそこにあるのは、誰かに与えられた優しい甘さと、後処理だけ。
いつかこの卵焼きが完璧な姿になる日はくるのだろうか。
ぼんやり考え事をしながら、寝ころんだ。このまま眠ってしまいたい。
しかし頭には憂鬱な後処理が居座っている。このままでは気になって眠れなさそうだ。
重い体を起こして、洗い場へ向かう。
早く後処理を済ませねば。もうすぐ朝が来てしまう。