
それでも山に行く理由 vol.37 200年後の私たち
10:39
「Ross — Tasmania’s Finest Heritage Village」
タスマニア随一の歴史的な村。
そう書かれた看板が立っていた。
ここには、
19世紀初頭の面影を残す街並みが
今も大切に残されている。
今から約200年前。
まだスマートフォンも、
インターネットも、
自動車さえなかった時代の町だ。
日本でも、
古い町並みは多くの観光客を惹きつける。
昔ながらの建物や石畳を歩きながら、
「昔は良かった。」
そんな気持ちになる人も
少なくないのだろう。
ふと思った。
200年後の誰かが、
今、私たちが暮らしている
街や家を見たら、
いったい何を感じるのだろう。
「懐かしい。」
「美しい。」
「こんな時代に生きてみたかった。」
そう思うのだろうか。
正直、
私はあまりそうは思えない。
どうして私たちは、
200年も前の暮らしに
これほど魅力を感じるのだろう。
きっと、
当時は合理性だけを
追い求めていなかったからだ。
少し不便でも、
少し手間がかかっても、
人が暮らすことそのものを
大切にしていた時代だったのかもしれない。
だったら、
今を生きている私たちも、
何十年後かの自分が
「いい人生だったな。」
と羨ましく思えるような
毎日にしてしまった方が豊かだ。
そんなことを、
初秋の美しい町、Rossで感じた。
本当は、
もう少しゆっくり歩きたかった。
だけど、
次の目的地が待っている。
ここから約110km北へ。
Deloraine。
私は再び、
Fordの少しドロッとした音を響かせる
ディーゼルエンジンをかけた。
山への旅は、
まだ続いていく。
この山の自然の空気を、
服として纏える場所があります。
北タイの手仕事から生まれた
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