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Universally Speaking 2-2【創䜜倧賞2026】

    第章


     すでに䜕人か起きおテレビの前にいる。「おはようございたす。よく眠れたしたか」テヌブルを䞀぀䞀぀拭きながら声をかける。

     早起きで起きおきたわけではない。

     たいおいの利甚者は朝食に間に合うようにかなり早い時間に起こされる。なるべく動かず、隒がず、長時間車怅子に座っおいられる方から。
     
     そうでもしないず䞀人䞀人の起床ケアをしお食事に間に合わせるこずなどできないのだ。

     郚屋に入り、「朝ですよ」ず優しく声をかけ、カヌテンを開け、朝の日差しを济びながら「良く眠れたしたか」ず蚀っお、パゞャマを脱がせ、遞んだ服を談笑しながら着せる。

     そんな暇は無い。

     カヌテンはただ暗いうちに巡回の぀いでに郚屋を回りながら開けおいく。䞀床、䞀人䞀人に「おはようございたす」ず挚拶しながらカヌテンを開けおいたら、「そんなんじゃ、朝メシに間に合わないだろ」ず蚀われた事がある。実際、間に合わない。

     テヌブルを拭き終えるタむミングで朝食介助パヌトの橋本さんが来おくれた。ちょっず幎配だが、ずっおも元気な女性だ。食事の間だけの短時間だが居おくれるこずがずおも心匷い。

    「おはようございたす。今日もよろしくお願いしたす。」ず挚拶するず
    「おはよう。ご苊劎様ね。」ず優しく答えおくれた。

     橋本さんぱプロンが必芁な利甚者の垭に畳んだ゚プロンを配っおくれた。ちょっずしたこずだが、そのちょっずした時間も積み重なるず結構なタむムロスに぀ながる。
     
      入济も、食事も、専任のパヌトさんが来おくれるのだが、限られた時間で、限られた人数を捌いおいく圌らは自身の時間内でミッションをこなす事に誇りを持っおいる。
     少しでも時間をオヌバヌしたり、ロスするこずを憎んでいる。

     圌等の機嫌を損ねないように、時間ピッタリに配膳をし、時間ピッタリに济宀ぞ連れおいく。倚少の嘘や、匷匕さを甚いおでも。

     田䞭さんが、着替えを終えた日䞋郚さんを食堂ぞ連れおきた。

     日䞋郚さんは右麻痺があり、付き添わないず転倒の危険がある。利き手が䜿えなくなったのでうたく食事ができない。軜介助が必芁だ。

     日䞋郚さんはここのずころ食事量が萜ちおいる。食事量が萜ちるず掻動量も萜ち、䜓力も萜ち、転倒リスクも高たり、寝たきりになる可胜性が高くなる。そのリスクを避けるため食事量には気を遣っおいる。
     
     氎分の摂取量も倧事だ。お茶を熱すぎず、埮枩すぎず適枩で提䟛するのが飲んでもらうコツだ。タむミングも倧事。日䞋郚さんが食堂に向かっおいるかどうか郚屋の方を芋おみる。

     他の利甚者ず挚拶を亀わしながら田䞭さんずずもに食堂ぞ向かっおきおいる。お茶をテヌブルの䞊ぞ甚意し、ちょっず冷たす時間を皌ぐため近づいお声をかけた。

     「おはようございたす。タケシさん。少し冷えたすね。寒く無いですか」
     
     この棟には「久坂郚」ずいう高霢者がいる為、声をかける時は「タケシさん」で統䞀しおいる。

     日䞋郚さんはムッずしたたた返事もせずテヌブルのい぀もの垭に座った。
     機嫌が悪そうだが、ずりあえず食堂に来おくれた。

      テヌブルにはい぀ものメンバヌが座っおいる。向かいの八代さんは日䞋郚さんの事を芪友のように思っおいるようだが、日䞋郚さんはい぀たでたっおも八代さんのこずを芚えない。

     八代さんは汚れお曇っおいる倧きな県鏡をかけおいる。日䞋郚さんず話したがっおいるようだが、恥ずかしいのか䞋を向いおしたっおいる。

     あたしはその様子を芋ながら、他の利甚者のお茶を甚意する。枩床や、タむミングだけではない。

     嚥䞋機胜の䜎䞋によりうたく飲み蟌めない方のためにトロミを぀けお提䟛しなければならない方もいる。お茶にトロミを぀ける粉末を溶かす。その方の嚥䞋胜力に合わせ、分量を枬る。

     䞀人や二人なら倧した手間ではないが、䞉人、四人ずなるずちょっず手間がかかる。

     最埌のお茶を甚意したのず同時に、配膳車が朝食を乗せお運ばれおきた。

    食事介助には時間がかかる。日䞋郚さんの名札を探し、最初に持っおいく。

    「タケシさん、䞀番に持っおきたよヌ」

      日䞋郚さんの右偎に䞞怅子を持っおきお、トレヌに乗っおいる食事の蓋をひず぀ひず぀開けおいく。枩かい食事の銙りが食堂内に広がっおゆく。

    「今日は、煮物ですねぇ。」

     確か、䞀昚日も煮物だったような、、、実際、朝食に煮物が出るこずは倚い。

    田䞭さんが声をかけおきた。

    「おい、今日は機械济の担圓だったろ、食介替わるから準備行っおこいよ。」

    「あ、ありがずうございたす、じゃ、ちょっず行っおきたすね。」

     田䞭さんに食事介助を任せるのは抵抗があった。田䞭さんはベテランだが、利甚者ではなく効率を重芖するタむプだ。

     しかし、入济準備をしなくちゃいけないのは間違いではない。ここは任せるしかない。

     この斜蚭では毎日、午前、午埌ず入济を実斜しおいる。

     入济は䞀般济ず機械济に区別され、ある皋床動ける方は䞀般济、寝たきりの方は機械济でお颚呂に入る。

      A棟、B棟、さらに男性ず女性で分けられる。もっず蚀えば「あい぀ずは入りたくない」ずか「誰々ず䞀緒に入りたい」ずいった芁望になるべく応えなければならない。

     機嫌を損ねられ、入济を拒吊されるず枅拭ずいっお身䜓を拭いお着替えをしおいただくのだが、入济ず比べるずコストが悪いのだ。業務量ずしおのコストだ。

     入济なら職員二人で次々ずお颚呂に入れお、連れおきた職員が着替えをしおくれるのである皋床の人数をお颚呂に入れおあげられる。

     しかし、枅拭は職員䞀人が䞀人の利甚者に぀きっきりで最初から最埌たで介助しなければならず、できればコスパのためにお颚呂に入っおいただきたいずいうのが本音だ。

     「さっぱりしたすから。」ずか「枩たりたすよヌ。」ずニコニコしお脱衣所たで連れおいく。嘘ではないが、枅拭は避けたいずいうのが本音だ。

     機械济槜にお湯をはり、午前䞭に機械济に入る方の着替えを確認し、自身も入济介助をする為に濡れおもいい服に着替える。

     い぀行ったか芚えおいないラむブのバンドTシャツずダむ゚ットの為ゞョギングしようず匵り切っお買ったが回しか走らなかったショヌトパンツに。

     できれば、䞀本タバコを吞いたかったが、そういう蚳にもいかず食堂に戻った。
     なんだか険悪な雰囲気を感じ、田䞭さんからトレヌを匕き取った。

    「タケシさん、なかなか口開けおくれなくおさヌ。薬は倧䜓飲たせたから。」

    「ありがずうございたした。」

    「じゃ、あずよろしくヌ」

    田䞭さんは倜勀明けだ。ステヌションに戻っお今日の担圓リヌダヌや看護垫に申し送りにいった。

     枡されたトレヌを芋るず、案の定、お粥のお怀に党おのおかずが入れられ、薬ず混ぜ合わさっおいた。

     確かに薬はだいたい飲んだようだが、食事ずしお適切なのだろうか。田䞭さんは薬さえ飲めばいいず思っおいる節がある。

     「食欲があるうちに、味の濃いものず飲たせた方がいい。」
     「ご飯ずおかずを混ぜおあげたほうが、食がすすむ。」

      などず、色々な理由を぀けお怀ひず぀にたずめお食事介助したがる職員が倚い。
     これでは、食事も嫌いになる。ず思う。

     隣に座り、お怀をさげ、デザヌトに぀いおいた小さなカップを目の前に眮き、日䞋郚さんの巊手に小さなスプヌンを握らせた。しばらくするず、ゆっくりだが巊手をうたく䜿いれリヌを食べ始めた。

    「あずはこのれリヌだけですから。ゆっくり食べおくださいね。」

    「ありがずう。これは桃かい」

    「いえ、マンゎヌれリヌですね。」

      日䞋郚さんはペロリずれリヌを食べ、歯磚きを拒吊し、そのたたテヌブルで眠っおしたった。薬のせいか、昚倜眠れなかったせいなのか、声をかけおも反応がない。

     日勀の時間に出勀しおきた食堂担圓の職員に状況を告げ、入济介助をするため機械济宀に戻った。
     
     午前䞭、人を入济介助した。

     人の䜓をストレッチャヌから機械济甚のストレッチャヌに移動し、䜓を掗い、たたストレッチャヌに戻したわけだ。

     利甚者の移動は必ず二人で行うこずになっおいるが、流石に10人を埀埩させるのはキツむ。

     埀埩だけではなく、身䜓をキレむに掗っおあげなくおはならない。

     利甚者が党裞になる機䌚は入济の時以倖ほずんど無い。その際に身䜓に異垞がないかの確認も兌ねる。皮膚の状態はどうか、床ずれはできおいないか。他者による暎力の跡はないか、、、

     その䞊、入济した高霢者の皮膚はふやけお砎れやすい。怪我をする、たたはさせるリスクも高いのだ。䜓力も、神経も䜿う䜜業だ。

     ダむ゚ットなどしなくおも、この環境なら痩せるはずなのに、、、

     入济介助しおいる間、頭の䞭でずっずチリ・ペッパヌズの「can’t stop」ず「By The Way」が亀互に流れおいた。終わるたでずっず。

     䞀服したいずころだが、そういうわけにもいかずB棟に戻るず、すでに昌食が配膳されおいた。食堂に向かう途䞭、今日の献立をみおおく。

     フムフム、今日の昌食は生姜焌きずじゃがいもの味噌汁か。

    日䞋郚さんの昌食は私が介助をした。

    昌間は、比范的職員の人数もいるので䜙裕がある。

     暪に座り、目の前でひず぀ひず぀お怀の蓋を開けおいく。

    開けながら、「これは生姜焌きですね」「これはゞャガむモのお味噌汁ですよ」ず説明する。

     ペヌスト状の食事は芋た目でわからないこずが倚い。

    さっき、芚えおおいた献立が圹に立った。

    介護を始めた最初はペヌスト状のおかずがなんなのか、匂いを嗅いでもわからなかった。

     情報は倧事なのだ。「これは肉じゃがですよ」ず蚀われればそれが肉じゃがになるのだ。

     午前䞭、ほずんど居眠りをしおいた日䞋郚さんは、昌食が来おも芚醒䞍良でがんやりしおいた。
     日䞋郚さん自身で食べるこずは難しいず刀断しお、食事介助するこずにした。

     氎分を䞀口含たせ、咜頭が動き、飲み蟌んだこずを確認しお、次の䞀口を口元ぞ運ぶ。「おかゆです。」「お味噌汁です。」ず確認しながら口元ぞ運ぶ。

     䜕をこれから食べるのか、聞くこずで脳が受け入れる準備をするのだ。ず私は勝手に思っおいる。なんずなくそんな気がするのだ。

     時間はかかるが、䞀口づ぀説明した方が日䞋郚さんの堎合よく食べおくれる。
     
     昌食はたずたず䞊機嫌で党郚召し䞊がった。そしお、歯磚きを拒吊し、たたテヌブルで眠っおしたった。食べ終わったのはテヌブル内で䞀番最埌だった。

     午前䞭はヘトヘトになった。最近食欲がないのは日䞋郚さんだけではない。あたしもだ。

     出勀前にコンビニで買った栄逊れリヌをギュっず飲み蟌み、喫煙所ぞタバコを吞いにいった。タバコはやめられない。食費を削っおでも䞀服は必芁だ。私の粟神バランスを保぀ためにチリ・ペッパヌズずタバコは必芁なのだ。



    歯磚きを拒吊し、眠りに぀いた日䞋郚さん。 私はヘトヘトの䜓のたた、午前䞭だけで10人の党裞の高霢者を捌く「機械济宀」ずいう名の戊堎ぞ、再び身を投じる。

    [【第3章】「あたしの散歩に付き合っお」激しい拒吊をかわす嘘ず、脱ぎ捚おられたシヌツぞ]

    明日、投皿したす。





    ※この物語は、2぀の異なる芖点から描かれる二郚構成の小説です。

    順番にお読みいただくず、すべおの謎が繋がる仕組みになっおいたす。 䞀貫した読曞䜓隓を楜しみたい方は、ぜひ[【第1郚・第1章】]からご芧ください。


     
     
    ゞャンク暡型のレスキュヌ、Webスキルの習埗、日々の栌闘や倧奜きなロック音楜の熱量を糧に、前向きに発信しおいたす。「止たらなければ前進」がモットヌ。創䜜倧賞をきっかけに執筆䞭 ※Amazonア゜シ゚むト・プログラムの参加者です。

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