砂漠のトイレット(短歌)
浴室に金平糖が降るごとく我らだけいる五反田の隅
甘党と味見のような口喧嘩大さじ小さじもっと塩味を
たい焼きの尻尾が好きと言う君に渡し続けたわれの片われ
ハチ公前 見ないフリして既読待ちスマホ依存が死んだフリして
太陽のせいにしようか九十分わずかな砂の落ちきらぬ午後
スペードに見えなくもない壁のシミきみのカタチは まだ蜃気楼
花園は晴れているのに薄暗く蜜を知らない蜜蜂ひとり
ミラノ風 本場もかすむふたりでも本場の風はどこ吹く風なり
惑星は恋をするたび回るのか浮き足だって宇宙(そら)から見下ろす
身の丈の満たぬ余白につのる君オートクチュールの袖をつまんで
終電をわざと逃して耳すます灯りの外の二人の足音
太陽に濡れる新宿焦がれずにわずかに我をつつくビル風
ベランダの薄窓へだてシャツゆるり我を濡らさぬ雨を見つめて
降りしきる夏の陽避けて日傘さす汗ばむ二の腕冷たく触れて
掛け違うボタンホールの隙間にて指通しつつまさぐっている
着飾ったマネキンひとりたそがれてショーウィンドウにふたりが映る
不惑にてままごとに似た性愛の加減を探る腹七分目
春染まりポケット奥にしわくちゃな名もない君との冬のレシート
明後日の方角ばかり見つめてる明日のふたりはどこにいるのか
欲望のハーバーライトが我を暴き静かな海の鱗を照らす
いつの間にさよならだけがない出会いタップひとつで令和のポップ