
最優秀を受賞した、わたしの武器は「調和力」かもしれない
私の武器は何だろうと考える。
私はアパレルフリーランスとして毎日違うブランド、複数の店舗で販売員として働いている。
自分の武器は、提案力だろうか、トーク力だろうか。
相手を惹きつける、コミュニケーション力だろうか。
どれも武器と呼べるほど、優れていないし、しっくりこない。
だから今でも、自分の武器は何だろうと考えることがある。
実は先日、全国に1万2千人にいるアパレルフリーランスの中から
関西エリアで2025年度の最優秀賞という大変名誉な賞をいただいた。
人生で一番たくさんのシャッター音を浴び、
新聞の取材も入り、他の受賞者の方と一緒に質問も受けた。
これまでのキャリアで一番注目された瞬間だったかもしれない。
仕事獲得の秘訣や、取引先との関係。
どうこの成績を収めたのかを聞かれ、
その後も、同業者の方々からは前回の受賞者という目で見られるようになった。
けれど、その質問たちに私は、誠心誠意を尽くしていますとしか返すことができなかった。
本当に、それしか言えないのだ。
おそらく多くの人が知りたいのは、そんな精神論ではない。
単価の決め方や、働く時間、取引先との関係づくり。
継続依頼に繋げるには、そういった具体的な工夫なのだと思う。
一方で私は、単価を頻繁に見直すことはほとんどないし、
働く時間も自分が働きやすい時間帯を選んでいるだけだった。
軌道に乗ったタイミングで単価を上げ、
そのあと仕事が途切れなかったのは、これまで仕事でよくしてくださる店長が、
外注予算を上げてほしいと上の方に掛け合ってくれたからだった。
そして、それを承諾できる環境が会社にあった。
新規の依頼は、ずっと取引のある方から紹介を受けたり、私の存在を知る統括マネージャーから推薦していただいたりすることもあった。
振り返ると、私ひとりの力で掴み取ったというより、見えないところで、たくさんの縁が繋がり、私に新たな出会いをもたらしてくれていた。
本当に人に恵まれてここまでやってくることができたのだ。
そう考えると、私の武器は数字でも、トークでもなく、人との間にあるように思う。
あえて名前をつけるなら、それは"調和力"なのかもしれない。
接客もそこそこ、
人付き合いもそこそこ、
ファッションセンスもそこそこ。
けれどそれは、逆を返せば、色々なお店に馴染む。
色でいうとベージュやグレーの合わせやすいと言われる色、白のような気をつかう緊張感はなく、黒のようにキリッと尖ってもいない。
なんにでも合わせられるから、
複数のブランドが使いやすいと思ってくれているのかもしれない。
そして、もうひとつ。
私は一歩引くことができる。
販売は数字の世界だ。
個人の売上を追いかける仕事でもある。
でも数字を追いかけているのは私だけではない。
そのお店で働く人みんながそうだ。
だからまず、周りを見る。
誰が今どのお客様と向き合っているのか。
それはロング接客になりそうか。
流れは今どこにきてるのか。
それらを踏まえ、私が取るべき最善の行動はどれかを常に考え、選んでいる。
もしも、私が個人売上ばかりを追いかける存在になってしまえば、それがどれだけお店に貢献したとしても、そこに歪みが生まれてしまう。
私はあくまで業務委託の立場で、そのお店にいる。
ずっと主役ではなく、サポートに回る姿勢も大事にしながら、数字で貢献できるタイミングも見計らっている。
今日はとにかく売上を目指す日だ。
そんな空気の時は、私もその時はここぞとばかりに全力でそこに向かう。
けれどそうでない場合は、周りとのバランスやフォロー、チームのひとりとして、歯車の一つとして働きかけている。
その日、そのお店がうまく回ること。
スタッフの方が気持ちよく働けること。
そしてお客様が満足して帰ること。
そこに貢献できる方が、私にはずっと大事なのだ。
提案力でも、トーク力でもなく、誰かと競い合い勝ち抜く力でもない。
私の武器は、人と人の間に入り、その場に馴染みながら前へ進む力なのだと思う。
決して目立つ色ではない。
けれどベージュやグレーのように、どんな場所にも自然と溶け込み、
誰かを引き立てることができる。
アパレルフリーランスは時に、数字で評価される世界だ。
けれど私は、数字だけでは測れないものに何度も助けられてきた。
取引先の方が動いてくれたこと。
紹介してくれた人がいたこと。
また一緒に働きたいと思ってもらえたこと。
だからこれからも、その日その場所で出会った人たちとの関係を大切にしていきたい。
そして、ここまで連れてきてくれた人たちへの感謝を忘れずにこれからもいたい。