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#6.1

    月草

    6–⑤と6–⑦で書いた内容について、もう少し詳しく説明します。

    ◆

    まず6–⑤の冪集合から。

    ある集合の要素数がnである場合その部分集合の個数は2ⁿになります。
    例えば集合{abc}の部分集合は
    {}無無無
    {a}有無無
    {b}無有無
    {c}無無有
    {ab}有有無
    {ac}有無有
    {bc}無有有
    {abc}有有有
    要素数3で部分集合の個数が8です。
    各要素が有るか無いかの2択なので「2の要素数乗」になるわけですね。

    このとき、nが0以上の有限数なら常にn<2ⁿが成り立ちます。
    カントールはこの大小関係を無限集合にも適用できると考えたのです。

    ところが、nが∞だと2ⁿも∞なので、n<2ⁿではなくn=2ⁿ。
    「2の無限乗」は2⁰,2¹,2²,2³,=1,2,4,8,…という数列ですがこれは1+1+2+4+…という無限和としても表せます。
    この無限和の各項は有限数ですから、全ての項の平均値もまた有限数。
    この平均値を「絶対値を決めない正の有限量」μとおくと1+1+2+4+…=μ(1+1+1+…)=∞。
    2^∞=∞となりました。

    仮に1つ1つの部分集合に番号を付けて(部分集合の番号, 部分集合の個数)のような2次元の集合を作ったとすると(∞,∞)の濃度は∞²になります。
    しかしただ単に「部分集合の個数」を数えただけでは∞¹の可算無限のまま。
    結局、冪集合で無限集合の順序を定義するのは間違いだったのです。

    ◆

    次に6–⑥の連続体濃度の数え方。

    「10進法でn桁の数」は0から9まで10種類の記号がn個並ぶのですから10ⁿ種類。
    N進法でn桁ならNⁿ種類となります。
    このうちNが最小となるのが2なのですが、少々問題が発生。
    例えば10進法の小数部分は1/10,1/10²,1/10³,…という区切りですから、3進法の小数部分1/3,1/3²,1/3³,…とは永遠に重なることがありません。
    1種類のN進法では足りないのです。

    まあ、これは「連続体は数で隙間なく埋まる」というモデルを採用している前提で、無限まで考えたときに何とかなるということにしておきましょう。
    (ホントはダメですが)

    すると全ての数は2進法の可算無限桁で表記できるはずなので、2^∞個。
    でもこれだと「自然数」の可算無限を数えるのと同じ式じゃないですか。
    「実数」を数えているはずだったのにどこで間違えたのでしょう。

    実数(無限小数)は、可視部分と小数の不可視部分で構成されます。
    N進法ならNⁿを掛けることで小数点の位置を移動させることができますが、不可視部分を消すことはできません。
    可視部分の濃度が∞¹で、不可視部分の濃度が∞¹。
    これらは独立しているので、実数全体の濃度は∞¹×∞¹=∞²になります。

    「数の濃度」の章で、複素数の表記法を変えても濃度は変わらないという例を示しましたが、実数の捉え方も色々あって、どの捉え方で考えても濃度は
    ∞²となります。。

    予想される反論は「負の整数の濃度が∞¹、正の整数の濃度が∞¹、整数全体の濃度が∞¹+∞¹=∞¹。それなら無限小数の可視部分と不可視部分も掛け算でなく足し算になるのでは?」というもの。

    しかし、負の整数の濃度と正の整数の濃度は独立とはいえないのです。
    左端が–∞、右端が+∞という数直線を右に∞だけずらしてみます。
    右端の位置は∞+∞=+∞の1通り。
    左端は–∞+∞=+∞,–∞,0の3通り。
    0の場合が「0から+∞までの半直線」ということになります。
    数直線の負数部分が消えました。

    つまり、正と負は独立ではないということです。∞–∞の定義がこんなところで役に立ったのは予想外でしたが。

    原点の位置をずらせば正負のどちらかを消すことができるが、小数点の位置を動かしても不可視部分を消すことはできない。これが両者の違い。

    結局、連続体上の数の数え方も間違いでした。

    ◆

    オリジナルの「連続体仮説」の仮定は2つとも間違っていました。
    しかし「可算無限の次の大きさの無限は連続体の無限」というカントールの直観は間違っていなかったのです。

     
     
     

    月草

     
     
    noteを始める際に用意した話は『アリス』『源氏物語』『無限』の3つ。 興味があれば覗いてみて下さい。 ツユクサは自分の誕生花ですが、オジギソウの花も好きです。

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