
グリフォンの文字数~『不思議の国のアリス』物語後半のブラックジャック
日英希の「グリフォン」
日本語 グリフォン、グリフィンなど
英語 gryphon, griffinなど
ギリシャ語 γρυπαετός, γρύπαςなど
(grypaetós)
私はルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』は前半がポーカー、後半がブラックジャックのゲームに則っていると考えている。
後半のブラックジャックでは1人のキャラクターが1枚のカードの役を担う。
「スペードのエース」になったアリスが仲間を求めて各地を巡る一種のカドリールだ。
(4組の男女が四角形に並びパートナーを次々と替えて踊る社交ダンス)
数札のキャラクターのほとんどは名前の文字数とカードの星(pip)の数が一致する。
第9章の海岸に登場するグリフォンは本来なら「スペードの9」のはずだが、本文中の英語表記の名前(Gryphon)は7文字しかない。
そのため、挿絵を見て「eagle+lion」の計9文字にするのかと考えていた。
(グリフォンはワシとライオンの合成獣)
しかし、ギリシャ語の「γρυπαετός」なら単体で9文字になる。
グリフォンとモックタートル(※)が表すのはギリシャ語教師のヘンリー・リデル氏(アリスの父親)と考えられるので、ギリシャ語表記でグリフォンの文字数を数えれば良かったのだ。
(※Mock Turtle→海亀に似て非なる生物→陸亀→tortoise→taught us→教師)
⋯とりあえず、スッキリした。
◆
ブラックジャックの配役
(作中の文言よりカードは全部で1デッキ)
(第8章の行進の場面で♥♣♦は登場済み)
♠A アリス(頭文字A、赤ん坊からの引継ぎ)
♠2 カードの庭師「2」
♠3 帽子屋(Tea、隠された名前)
♠4 マーチヘア(Hare)
♠5 カードの庭師「5」
♠6 モックタートル(Turtle)
♠7 カードの庭師「7」
♠8 ドーマウス(Dormouse)
♠9 グリフォン(γρυπαετός)
♠10 料理人(多量のpepper→多量のpip)
♠J 法廷のジャック(「片目」の♥Jと誤認)
♠Q 公爵夫人(身分の高い女性)
♠K チェシャ猫(※)
※イギリス英語ではlook like~のlikeを省くことが多いので"A cat may look at a King."は"A cat may look like a King."に似る(アリスの記憶も曖昧)→「猫をキングと見做してもよい」
◆
ブラックジャックの進行
公爵夫人の屋敷
♠Q+♠10+♠K→30>21 アリス♠Aになる
3人の庭師
♠2+♠5+♠7+♠A→15<17 アリス加わらず
お茶会
♠3+♠4+♠8+♠A→16<17 アリス加わらず
海岸
♠6+♠9+♠A→16<17 アリス加わらず
法廷
♠J+♠A→21 ブラックジャック(勝利)
【補足】
ブラックジャックは、最初に裏向きのカードを1枚、表向きのカードを1枚配り、1枚ずつ追加していって合計21を目指すゲーム。
ディーラーと各プレイヤー(1人または複数)の間で勝敗を決め、賭け金をやり取りする。
数札の2~10は札の数、絵札のJQKはすべて10、エースは1か11のどちらかを任意で選べる。
合計が21を超えるとbustという失格。burstともいい、公爵夫人の屋敷の中の混沌とした状況に重なる。アリスは赤ん坊から♠Aの札を引継ぐが、屋敷に入る前からburst状態だったのだから彼女自身は手役に関係しない。
「合計が16以下だった場合はもう1枚引く」のは本来ディーラー側の縛りだが、プレイヤー側にも適用されるローカルルールかもしれない。
いずれにせよアリスは♥Qと♥Kのペア(何かのエースも加わるかも)に対抗できる仲間を探すしかない。♠Jと♠Aで作る「ブラックジャック」なら特別な役なので、他の21にも勝てる。
クローケーの途中で公爵夫人が現れてアリスとペアを組もうと試みているが屋敷の場面で既に失格となっているためハートの女王にインチキがばれて消滅処分になっている。
法廷のジャックは本文ではthe Knave of Heartsではなくthe Knaveとだけ書かれている。横顔が描かれた通称「片目のジャック」はスペードとハートの2種類があるが、作者直筆の『地下の国のアリス』の挿絵ではカツラの巻髪が2段になっており、スペードのJであると分かる。
アリスの巨大化はゲームで有利になった影響。物語前半のポーカーでも、手札の強弱に応じて身体のサイズが変化している。
モルモット(the guinea-pig)が制圧される場面は賭け金にギニー金貨を支払ったことを示す。
ブラックジャックにおけるstandはstayと同義で「カードの追加は不要」の意思表示。法廷内でアリスが立ち上がったのがstandに相当する。
【参考サイト】
月草 ルイス・キャロルの「アリス」
https://note.com/key102/m/m3d82036f2f02
#不思議の国のアリス
#ルイス・キャロル
#グリフォン
#ギリシャ語
#ブラックジャック
#創作大賞2026
#オールカテゴリ部門