
たった一日の非日常で変わった街の見え方【がもよんフェス2025】
思いは違えど、みんなポジティブな何かを受け取っているように見えた。
そんな意見を聞くたびに、僕もポジティブな気持ちになれた。
こんにちは!
ITエンジニア兼Webデザイナーとしてフリーランスで活動しているケントです。
フランスでのワーキングホリデー生活や、大阪のゲストハウス「君彩家」で住み込みスタッフ(フリアコ)生活をしてきましたが、現在は引き続き大阪に滞在しつつ、のんびりと暮らしています。
すっかり秋から冬へと移り変わる季節になりました。
日が沈むのも早くなり、一日が短く感じます。
朝起きるのがとってもつらい日々。
僕は寒いのがとても苦手なので、これからの季節は少しペースを落として、ゆっくり休みながら過ごしていきたいと思っています。
それでも、スッキリとした乾いた朝の冷たい空気には、どこか心地よさも感じています。
ここ数ヶ月間、準備に関わってきたイベント「がもよんフェス」が、ついに当日を迎えました。
今年で10周年を迎える地域活性化イベントで、僕は準備段階からボランティアスタッフとして参加していました。
公式インスタグラムの投稿や、公式Webサイトの制作・公開対応など、主に広報寄りの役割を担当しました。
イベントは大成功。
当日は寒くなり始めたこの季節には珍しく、少し汗ばむくらいの秋の陽気でした。
天気にも恵まれ、多くのお客さんが足を運んでくれました。
がもよんフェスを主催しているのは、僕が9月まで住み込みヘルパースタッフとして滞在していた「ゲストハウス君彩家」のオーナー・おさやさん。
自らバンド活動をしつつ、蒲生四丁目でバー「鐘の音」を経営したのをきっかけに、音楽を楽しめる地域イベント「がもよんフェス」を立ち上げました。
それ以降、ここ大阪市城東区に根差した活動を10年以上続けています。
僕はそのご縁で、ヘルパーとして滞在していた頃から少しずつフェスの準備を手伝うようになりました。
パソコン作業や文章を書くことが得意だったこともあり、次第に仕事の幅が広がり、やがて広報周りの作業を手伝わせてもらうようになりました。
ちょうどおさやさんと話す機会も多く、イベントに込められた思いやこれまでの苦労をたくさん聞かせてもらいました。
そのうち、僕自身もこのイベントへの思いが少しずつ大きくなっていったのを覚えています。
今回でちょうど10回目という節目の開催。
これまでで一番大きな規模になると聞き、ある日「自分にできることをもっとやりたい」と、僕なりのプランを伝えました。
おさやさんは僕の提案を快く受け入れてくださり、SNS更新に加え、公式Webサイトの制作も行うことに。
もちろんイベント当日のボランティアスタッフも担当することになりました。
ただ、実はイベント当日スタッフをやるという決断には少し迷いがありました。
というのも、僕はイベントと全く同じ日にある試験を受ける予定だったからです。
これまでいくつかの投稿に書いてきたように、ずっと目標にしてきたフランス語の資格試験「DELF」。
まさか、試験日程がドンピシャでかぶってしまうなんて。
悩みに悩んだ末、僕は試験をキャンセルして、がもよんフェスに全力で関わることにしました。
いろんな作業に関わるうちにイベントに対する楽しみが大きくなり、自分の手でもっと関わっていきたいという気持ちが強くなっていました。
そして、なにより資格よりも、自分の気持ち、そして人とのつながりを優先したい。
その思いに向き合わなければならないと思いました。
「類は友を呼ぶ」から。
自分の気持ちに正直だったり、義理や人情を優先したりする人の周りには、同じタイプの人が集まると思います。
人間関係を決めるのは、自分のひとつひとつの選択から。
僕は、この決断が自分の納得いく結果になると思ったから、この選択に後悔は一つもありません。
(ただ、その話をおさやさんに相談したことで、気にかけさせてしまった部分はあります)
かつて会社員としてバリバリ働いていた頃、あまりにも仕事が忙しすぎて、友人との約束を何度もキャンセルしてしまったことがあります。
その結果、関係がすれ違い、疎遠になってしまったこともあります。
もう、あのときのように思いに向き合わない自分には戻りたくない。
そんな反省の思いも、この選択の背景にはありました。
DELFは来年もあるし、まあいっか。
ちなみに、代わりに2週間後にある別のフランス語試験の「仏検2級」を受けることにしました。
これから突貫工事で試験勉強を進めていきます。
がもよんフェスは、大阪・城東区の蒲生四丁目を中心に地域一帯を巻き込んで開催する、「音×食×アート」がテーマの街フェスです。
2015年に始まり、今年で10回目。
大阪の中心・梅田から電車で30分足らずの距離にありながら、昔ながらの景観を残す商店街と個人経営の飲食店が並ぶ温かいエリアです。
街中のあらゆるお店がこの日限定でライブ会場になり、弾き語りやバンド演奏、DJなどの音楽を楽しめます。
また、イベント会場ではマルシェやギャラリーが行われ、アート作品を見たり買ったり体験したりできます。
来場者はパンフレット片手に街を歩きながら、音楽と食、アートを一度に味わうことができる。
そんな「回遊型」のイベントです。
ボランティアスタッフはイベント当日はもちろん、前日準備と翌日の片付けを含めた3日間、イベントのために作業を進めました。
当日はみんなでおそろいのTシャツを着て、それぞれの持ち場を担当しながら、全力で盛り上げました。
日本中からが集まった60人を超える人たちが、仕事をしながらも、イベント自体も楽しみました。
僕にとって嬉しかったのは、さまざまな場所で出会った友人たちが一緒にボランティアをしていたこと。
ジョージアのノマドニア経由で知り合った友達、フランスでのワーホリ中に知り合った友達、2年前にヘルパーをしていた沖縄のゲストハウス「結家」で知り合った友達。
まったく異なる土地で出会った仲間たちが同じTシャツを着て、一緒に働いている。
その光景に、感慨深い思いを覚えました。
ボランティアスタッフには、学生の「文化祭」の感覚があるのは否めません。
しかし、それは大人の本気の文化祭であるのも間違いありません。
がもよんフェスを一言で表すなら、「人の温度を感じられるイベント」。
当日、街を歩きながら感じたのは、そこに関わるすべての人が本気で楽しんでいるということでした。
お客さんも、飲食店の店員さんも、ライブの出演者も、マルシェの出店者も、ボランティアスタッフも、そして主催のおさやさんも。
どこを見ても笑顔が溢れ、一体感のあるようなエネルギーに満ちていたし、人の温かさをこれでもかと感じることができました。
そこにとても驚きを感じたし、その特別な空間に微力ながら貢献できたことへの嬉しい気持ちがあります。
僕は当日、公式インスタグラムの更新を担当していたため、各会場を回りながらイベントの様子を撮影・発信していました。
ライブが行われている飲食店では音楽があふれ、外を歩けばパンフレットを手に街を巡る人たちがいて、マルシェでは出店者の方々が想いを込めた商品を並べている。
どこに行っても「このイベントを楽しもう」という気持ちが伝わってきて、見ている僕のほうまで心が温かくなりました。
イベントの「規模」や「演出の派手さ」ではなく、人の手と想いでつくられているからこそ感じられるぬくもり。
それが、がもよんフェスの最大の魅力だと思います。
システマチックで効率的に動く大規模イベントでは決して味わえない、「非効率だけどあたたかい」独特の空気がそこにはありました。
その温度こそが、このイベントを唯一無二のものにしているのだと強く感じました。
とあるお客さんが、「噂には聞いていたけど、来てみたら想像以上に大きくてびっくりした」と話してくれました。
協賛していたお店の店主さんは、「パンフレットを見て初めて来てくれた人がたくさんいて、本当に嬉しかった」と笑顔で言っていました。
初めて参加したボランティアスタッフの一人は、「近くに住んでいたのに、今日初めてこの街の魅力を知った。この街の住民になれて嬉しい」と話していました。
一人ひとりがこのイベントを通じて何かを感じ、受け取っている。
そんな声を聞くたびに、僕自身も自然とポジティブな気持ちになりました。
そして何より、このイベントを10年間も続けてきた主催のおさやさんの存在が大きい。
行政でも企業でもなく、一人の個人が中心となってここまでの規模のイベントをつくり上げることは、並大抵のことではありません。
地域の人との信頼関係を築き、仲間を増やし、協力を得ながら少しずつ広げてきたからこそ、今年の10周年という節目を迎えられたのだと思います。
出演者・出店者やボランティアスタッフと共に、地元の人たちが一緒に盛り上げる。
そこにあるのは、ただ「この街を楽しみたい」「良いイベントにしたい」という純粋な思いだけ。
がもよんフェスは「音×食×アート」というテーマのもとに開かれているけれど、根っこにあるのは「人」だと思います。
音楽を奏でるのも人、料理をつくるのも人、作品を生み出すのも人、そしてそのすべてをつなげているのも人。
このイベントは、そんな「人の力と優しさ」でできている。
それを間近で感じられたことが、今回僕が関わって一番の収穫でした。
ところで、僕は大学生の頃、地理学を専攻していました。
卒論では地元・東京の桜新町商店街を舞台にまちづくりについて調査していました。
商店街の振興策や地域イベント、商店の人たちへの聞き込み調査、GISによるデータ分析まで行い、最終的には学科優秀賞をいただくことができました。
就職後はITエンジニアとして働き、地理やまちづくりとは全く縁のない日々を過ごしていました。
あれから8年が経ち、まさか再びまちづくりに関われるなんて。
思ってもいない展開に僕が一番驚いています。
人生って、思いがけないところで過去の経験とつながるものだと、今回改めて感じました。
僕が蒲生四丁目に住み始めて1ヶ月が経ちました。
見慣れてきた日常の街並みが一日だけ「がもよんフェス」という非日常に変わり、そして再び日常へ戻っていく様子を見届けました。
たった一日のイベントだったけれど、その前後で僕の「街の見え方」はまったく変わりました。
今では、顔の見えるお店ができ、知っている人もでき、この街にいることが単純に嬉しいと感じています。
東京出身で「標準語」の僕にとって、大阪は完全なアウェー。
けれど、義理と人情に厚い大阪の人たちは、東から来た僕を温かく迎えてくれました。
ここに来てよかった。
がもよんフェスに関われて、本当に良かった。
まだまだ伝えきれない思いはありますが、ひとまずこれが、僕の今の「気持ちの報告」です。
これからも大阪での生活は続きます。