
1年間のフランス生活が終わる【フランスワーホリ完結】
雨が降ると、肌にまとわりつくような湿気を感じる。
普段の乾燥したパリの空気は、この雨で一変する。
パリの中心部を東西に貫く地下鉄1号線。
通勤と観光。目的の違う人たちを一緒に運んでいる。
その主要駅の一つでパリの西の拠点となるのが、シャルル・ド・ゴール=エトワール駅。
出口の階段を上ると、目の前に巨大な白い建造物が現れる。
エトワール凱旋門。
この大きな門は、今日も変わらぬ表情でパリの街を見守っている。
その奥には、小さくきらめくエッフェル塔が見える。
湿った空気と霞がかった視界の中では、いつもより曖昧に、それでも確かに光を放ち続けている。
Bonjour!
2024年6月から、ワーキングホリデーでフランスに滞在しています。
パリの日本食レストランでの仕事も終わり、いよいよ帰国が目前に迫ってきました。
パリはまだ夏になりきれない日が続いています。
暑くなったかと思えば、翌日には急に冷え込んだりと、天気の変化が激しい毎日です。
そのたびに天気予報を確認し、上着を持っていくべきか悩んでいます。
そんな日々の暮らしも、いよいよ終わりが見えてきました。
終わりがあるからこそ頑張れるし、充実できる。
僕自身がかつてより抱いていたこの感覚は、大人になると少し感じるのが難しくなると思います。
たとえば高校生であれば、3年間という期間が決まっています。
その間に勉強や遊びを頑張りつつ充実した時間を過ごし、最後には涙のお別れがあります。
でも大人は、学生の頃とは違って、終わりが見えない道を歩いていくことになります。
今から8年前、僕は大学を卒業して社会人になりました。
最初の会社に入ってしばらくした頃、ふとした違和感を覚えました。
それは、季節が変わっても身の回りに変化がなく、一年経っても景色がまったく変わらなかったこと。
「出会いと別れがあって、フェーズが変わり、新しい環境に揉まれる」
そんな当たり前のことが、自分にとってとても大切なことだったと気づいたのです。
そこから僕は、自ら終わりを作って環境を変えるようになりました。
会社を変えたり留学をしたり、ノープランで未知の国へ行ったり。
そして今回は、ワーキングホリデーに挑戦したり。
日本も海外も関係なく、自分から動き続けてきました。
同じ場所に長くいると視野が狭くなり、モチベーションも下がってマンネリ化してしまうことがあります。
それを防ぎたい気持ちはもちろんあります。
でもそれ以上に、僕にとっては終わりを作ることによって、定期的に新鮮な刺激を受け、アウェーの環境で戦うことが必要だったのです。
自分で緊張感を作り出し、コンフォートゾーンを壊してきました。
そのせいで僕のキャリアは、一筋を貫くエリート街道から大きく逸れてしまいました。
しかし、その代わりにどこでも生きていける強さが身についたと思っています。
そうは言っても、終わりが近づくと急に焦りが湧いてくるものです。
フランスでの生活がもうすぐ終わると思うと、あれこれと考え始めてしまいます。
「何かやり残したことはないかな?」「フランスで最後にやっておきたいことって何だろう?」
しかし、頭をひねっても何も思いつきません。
後から「あれをやっておけばよかったな」と思う感覚。
いわゆる「後悔」。
本当は後悔なんて絶対にしたくない。
なのに、なぜか気づいたらいつもしてしまうものです。
だから、もう考え方を変えてみることにしました。
後悔するのは当たり前。
後悔しないなんて絶対にない。
後悔なく終わるなんて無理。
そういった割り切りも大事だと思いました。
むしろ「また行く理由ができた!」と前向きに考えればいい。
結局、物事はすべて自分の捉え方次第ですから。
フランスに来てから、僕の考え方はいろいろ変わりました。
「もっと自分らしく、もっと楽しく、見栄なんていらない」。
フランスは日本とは大きく異なる環境で、国民性も文化も全然違います。
刺激的な毎日を送る中で、僕は新しい感覚を手に入れた気がします。
そして今では、生き方そのものが変わったんじゃないかと思っています。
「楽しいオーラを振りまいて生きたい」
今、僕は心の底からそう思っています。
根っこの部分はまだネガティブだけど、それでも人にポジティブな影響を与えられたらいいなと願っています。
これまで、より良い生き方についてずっと考えてきました。
理想と現実のギャップにいつも苦しんできたけれど、ようやく本質的な部分が見えてきた気がします。
それは、やりたいことはやればいいということ。
たくさん仕事してたくさんお金を稼ぎたいなら、そうすればいい。
朝起きてずっと布団の中にいたいと思ったら、そうすればいい。
やりたくないことはやらなければいい。それなりに生きればいい。
理想の生き方を求め、いろんな人に話を聞いてきたし、いろんな本を読んできました。
答えはそれぞれ異なるものの、僕にとってはどの人のどの意見も正しそうに思えました。
だからこそ、自分がやりたいことをやっていればいいんだ、という結論に至りました。
不器用な僕でも、なんとか小さな気持ちに従いながら社会の中で生きることができています。
だからちゃんと自分の人生を考えている人は、どんな性格だろうが、たぶんどうにかなるでしょう。
かっこよく生きたっていいし、ダサく生きたっていい。
必ずなるようになるし、周りの人はそんな人に冷たくはしないものです。
だから思うんです。
コスパだのタイパだの言われる時代だけど、お金も時間も無駄遣いをしていいんだなって。
その無駄遣いが、いずれその人の個性になると思います。
遠回りしても、せいぜいちょっとした損でしかないじゃん。
ちょっとした損なら、した方が面白いじゃん。
面白い方が絶対楽しいじゃん。
そのポジティブな小さい破滅こそ、純度100%の人間ですから。
「バリバリ働いて、お金をたくさん稼ぎ、地位や名声を手に入れる」。
学生の頃に思い描いたそんな人生は、今この瞬間でも憧れを抱きます。
でもそれ以上に、「誰もが選ばないユニークな道を進んで、悠々自適に生きていく」。
そんな人生にもっと強く憧れます。
だからこそ、僕は人のためにできることをしながら、自分らしく生きていきたいと思っています。
最近、自分が理想とする姿が少しずつ見えてきました。
それは「一緒にいるだけで、自然と動き出したくなるような人」です。
やりたいことをやりながら、楽しいオーラを振りまいて生きる。
その中で、僕を通じて、誰かの眠っていた意欲が目覚め、何か行動を起こすきっかけになれたらいいな。
もしそんな後押しができたら、これ以上の喜びはありません。
僕自身がこれまで経験してきたこと、考えてきたこと。
もしかしたら、いつかそれが誰かの役に立つ日が来るかもしれません。
それを目的に生きているわけではありませんが、何かしら人の役に立てるということは、とても大きな喜びです。
だからこそ、僕はこれからも発信を続けるし、動き続けていきたいと思います。
「幸せ」という角度で物事を考えるのは、僕にとってとても難しいこと。
だから、今は「楽しさ」や「ワクワク」という角度から物事を考えるようにしています。
フランスに来る前は不安でいっぱいでした。
けれど、そこには不安を超えるワクワク感がありました。
そして、実際にフランスに来てからは、楽しいことが山のようにありました。
だから僕にとってフランスに来たことは大成功だったと思うし、そんなことができている自分は幸せなんだと思います。
一人で心細いこともたくさんありました。
けれど、それらはどれもこれも、一人だったからこそ得られた貴重な経験だと感じています。
このフランスでの経験が、これからの僕の人生でどのように役に立っていくのか。
これから時間をかけて、その答え合わせをしていきます。
今後はまた日本での生活が始まります。
けれど、安定に入るつもりはさらさらありません。
また次の「終わり」の日まで、頑張るし充実させるし。
また次にワクワクするものが見つかったら、すぐに動き出そうと思います。
そして、その考えや経験が、誰かのためになれれば、これ以上の幸せはないな、なんて思います。
フランスの生活は終わっても、僕の人生はこれからも続きます。
↓ワーホリのきっかけなどはこちらに書いてます。