
第4章 結果を出しても、理不尽はなくならない
「お前の対応メモはわからない」
社内からバッシングを受けてしまった。
お客様のスマホを修理に出す際に、大切な写真をSDカードのどこへコピーしたか、受付の記録に記載していた。
../user/pic/スマホを扱っている携帯屋さんなら誰でもわかる表現だと思ってた。
現実は、そんなことはなかった。
何度見返しても、私の記述に誤りはなかった。
じゃあ、みんなが知らない表現を使ったから叩かれた・・?
勉強不足な人に怒られないといけない・・?
スマホに備わっている機能を活用しただけなのに・・。
初めて、社会の理不尽に衝突した。
マニュアルを作ってレクチャーを試みたが、
入社したての私の声は届かなかった。
「何が正しい」のかわからなかったが、
職場では「誰が正しい」のかは明確だった。
辛かった。
自分は正しい事をしただけなのに。
これが「出る杭は打たれるってやつなのか」とも思った。
こんな事で仕事を辞めようだなんて思わなかったが、悲しかった。
当時、OJT担当の先輩をシスターと呼んでいた。
シスターからは「あなたは何も悪い事してないよ。でもスキルが特出し過ぎて組織から完全にはみ出ちゃったね。店舗ってチームだからさ、自分が休んでても回る仕事の仕方は必要だよね」
いつもはミスると後ろからボールペンで何度も刺す怖いシスターだったが、
この瞬間は完全に頼れるお姉様だった。
数か月後。
ドコモ純正のバックアップアプリが配信された。
私がやっていた作業は、誰でもボタン一つでできるようになった。
でも心のモヤモヤは収束しなかった。
自分は悪くないはずなのに。
自分を正当化するだけでなく、ネガティブな思考が生まれだした。
そんな話をゲーム上でしていたら、尊敬する人生の先輩であるGentooさんから輪ゴムを紹介された。
「毎日手首に輪ゴムを付けるように」
「ネガティブな事を考えたら輪ゴムを弾くんだ」
「ネガティブな思考は何も産み出さないから、そんな時間は0にしよう」
いつだって私のことを理解してくれて、正しい道へ導いてくれたGentooさん。
でも、輪ゴム・・?
1個1円にも満たないもので、何が変わるんだろ。
最初は輪ゴムの存在すら忘れていた。
お風呂に入るたびに気付き、ネガティブなことを考えるたびに弾いた。
ふと思い出して、後から弾くことも何度もあった。
二ヶ月も続ける頃には、輪ゴムを弾く事はほとんどなくなっていた。
私の中から、
「あいつが悪い」
「会社が悪い」
そんな考え方だけが、静かに消えていった。
そして「どうしたらよくなるんだろう」「どう説明したら伝わるかな」
とポジティブな思考をする時間が増えた。
仕事は何も変わっていない。
会社も変わっていない。
周りの人も変わっていない。
変わったのは、自分だけだった。
この時初めて気づいた。
人生を変えるのは、環境よりも考え方なのかもしれない。