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「あなたの目はママ似だね」"You have your mom's eyes."


    ーーコウ君は、中学で隣の席だった。

    ぽっちゃりしてて、おっとりしていた。
    漫画の話をよくしたっけ。
    ジャンプこっそり持っていってさ。
    帰りの会のあと、後ろ手に彼に、漫画を渡す。

    「おい、コウ~。まちがえたトコ、和美に教えてもらェ~。」
    「ふへへへェ~ィ」
    「コウは可愛いなァ~ふへへェ~じゃないよッ!」

    よく、彼とセットで、いじられた。

    不思議と、悪い気はしなかった。

    「コウ君。今週のジャンプだけど…」
    「和美さん。このシール、変なのォ~。」
    「ちょっと!勝手に貼らないでよ!」


    「ねえネ、隣のクラスのXXXXが好きだってよ。ヒュウ~」
    「…」

    その男子とは、一言だって話したことはない。
    ジャイアンみたいなヤツを使い、私へ好意をほのめかす。

    どういうつもり、なんだろう…

    家に電話がかかってきた。
    いったい誰から聞いたのか。
    「かずちゃん、でんわ~!XXXX君だってよ!」

    ーー出なかった。

    顔も、別に、タイプじゃ、なかった。

    暫く、電話線を抜いていた。
    母にこっぴどく、しかられた。

    XXXX君じゃないの?
    付き合ってるの?
    喧嘩したの?

    ただの、一言だって、交わしたことは「ない」。

    ーー中学に入学して騒がれ始めた。

    「あいつ、遠足の和さんの写真買ったってよ」
    「どうするの?どうするの?」

    べつに、どうも、しなかった。


    ある男子が、ケガをして、暫く学校を休んでいた。
    また別の男子と、私を巡って?

    ーー喧嘩した?

    意味が、分からない。

    皆とお見舞いに、彼の家へ。
    包帯をした痛々しい姿。
    彼らとは割とよく、話すけど。

    私を巡ってなんて、嘘だよね?

    なんで、誰も、直接、言ってこないんですか?


    「ーーずっと、好きだった。」

    中2の時、クラスのお調子者に告白された。
    「ーーはははははははは!」
    思わず笑ってしまってた。

    ぜんぜん、全然、タイプじゃァ、ない!

    「え?」
    「いや、ごめんね(笑)。えっと、ごめん。」
    「…………」
    泣かせてしまった。

    まるで、『若草物語』の、ジョーとローリーだね…
    だけど、ローリーだったら、OKしてた。

    わたしの理想は高いんだよ。


    中学の卒業式。
    コウ君に、また、読み終わったジャンプを渡す。
    「ん」
    そっけなく受け取る彼。
    彼は、別の高校へ。
    別れの挨拶も、しなかった。

    高校2年の時。
    ばったり道で彼に会った。
    その場は急いでいたもんだから、携帯の連絡先を交換した。

    声が、低く、背も高く、なっていた。

    何度かメールを交わす。
    プリクラ送信。
    友達と撮ったヤツ。

    「相変わらず、可愛いね。」

    ーー頭を殴られたような衝撃。

    なんだって、なんて書いてる、このテキストは?
    何度も何度も確かめる。
    中学の時、そんな素振り見せなかったくせ。
    そんな風に、思っていたの?

    ーーそれで、終わり。

    返信は、できなかった。

    彼は、追いメールはしてこなかった。

    私は、彼が、好きだった。

    今でも、
    二人の子供が、
    大きくなったこの歳になっても。

    たまに、彼の夢を見る。

    彼も、私を夢に見るのか。
    結局一言も話さなかった、電話の彼も。
    私が、残酷に振った彼も。
    喧嘩をした、あの彼らも。

    私の夢を、見るのだろうか。


    上の息子が、私と同じような目に遭いだす。
    スマホに鬼電、かかってくる。
    〇マタ疑惑を、かけられる。

    「だれとも、二人きりに、なってはだめ」
    そう、彼には言っていたけど。

    だんだん、仕事で忙しくなり。
    そんなこと、殆ど、言わなくなる…
    いつも気にしていたら、心が辛い。

    彼なら、きっと大丈夫。



    僕は、仮死状態で生まれてきた。
    母は言う。

    「カリメロちゃん、みたいだった」

    難産で、どうにかこうにか、引っ張り出され。
    頭が、少し伸びていた。

    「カリメロちゃん、みたいだった」

    「僕は、一度、死んだんだ。」

    母子手帳に、刻まれた、「仮死」

    〇で囲まれた、走り書き。

    「仮死」。


    一度死んだなら、何度死んだってへいちゃらさ。

    「仮死」は僕を、勇気づける。

    変だよって。
    何考えてんの?って。
    言われたって、何ともない。

    僕は
    「黒いひよっこ、カリメロちゃん」

    そして、今は、

    ーー暗黒羊ーー

    おかあさん。

    悪い奴と、

    二人きりになってしまって、

    ーーごめんなさい。


    "I am so sorry…Always, it's *my* fault…"

    Kenny



    Extreme hurricane
    Sleepless childhood
    Blooming flowers
    Proudly and beautiful

    Everything is a dream
    Like an abandoned old film
    I'm already getting tired of this toy
    I'll destroy it
    I came back home now

    How beautiful
    How beautiful the world is

    I'm so sorry
    All is my fault

    -- 出典:matryoshka "February Lifesaver"
    (アルバム『zatracenie』収録)

    ………………
    私の本アカでは、こういったマジック・リアリスモ的なシリアス目なものを投稿していきますが、陽キャの双子の弟の方はハジケてますので、笑いたいかたはぜひ。⏬













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