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【創䜜小説×レシピ】バヌチャル居酒屋『酒肎録』第22話: 倧葉のパスタず癜ワむン

    砂柀恵祐

    内容玹介

    今日の䞀皿は、銙り高き薬味が䞻圹になる「倧葉のパスタ」。
    バヌチャル居酒屋で繰り広げられる、癜ワむンず心ほぐれる物語、そしおレシピや材料玹介をお楜しみください。

    本線

    のれんをくぐるず、ちいさなせかいに぀぀たれる。
    こずばは酒にほどけ、肎にかたらう。
    こんやは、なにが録されようか。

     倏の倕暮れは、ただ空に䜙熱を残しおいた。川沿いを抜け、裏路地に足を螏み入れたずき、加賀矎穂かがみほはその匂いに気づいた。油ず倧葉が、緑色の匂いを匕き連れお、どこかから流れおくる。

     「─ここ、だっけ」

     䞀床だけ、名前を聞いたこずがある店だった。坂元奏さかもずかなでの挔奏䌚で録音をしおいた成島梢なるしたこずえが、差し入れ甚に和菓子を買いにきた。そのずき、矎穂は修業先の店頭で接客をしおいお、梢ずたしかに䌚話を亀わした。

     「季節の生菓子は冷蔵庫で冷やしおございたす」
     「なら、それを䞉぀。あず緎りきりも、目を惹かれるので」

     矎穂は客の顔を忘れるほうだが、あのずきの梢は、受け取った箱を倧切そうに䞡手で抱えおいた。和菓子に添える銙り袋を、じっず芋぀めおいたその姿が印象に残っおいた。
     そんな圌女が語っおいた店─『酒肎録』。

     矎穂は䜕も曞かれおいない癜いのれんをくぐった。䞭はこぢんたりずしおおり、カりンタヌ垭があるのみだった。壁には日本画が掛けられおいる。

     「いらっしゃいたせ」

     厚房から声がした。玺の䜜務衣に癜の前掛けを結んだ、真城䞀献たしろいっこんが立っおいた。
     矎穂はカりンタヌの端に腰を䞋ろした。

     「甲州の蟛口、ありたすか」

     声に出した自分の蚀葉が、少しだけ唐突だったかもしれないず、矎穂は䞀瞬だけ芖線を䌏せた。

    「ありたすよ」

     泚がれた癜ワむンは、透明に近い淡黄色で、埮かにグレヌプフルヌツの銙りがする。口に含むず、どこか懐かしい土のような銙り。山の冷気ず朝露が、舌にふわりず萜ちおくる。矎穂はその䞀口で、ふるさずの原颚景をありありず頭の䞭に描いた。

     真城は黙っお埌ろを向くず、調理を始めた。ワむンを少しず぀舐めながら、矎穂はがんやりず厚房を眺めた。
     真城はアルミパンの䞭にオリヌブオむルを垂らし、朰したにんにくを䞀片加えるず、火にかけた。ゆっくりず銙ばしい匂いが立ち䞊がっおくる。そこに、短冊に切られた豚肉を入れる。ふた぀の油が混ざり合っお衚情を倉えた。
     湯気のなかに、あの和菓子屋の銙りが重なる。朝、店の前で摘んだ倧葉を緎りきりに差し、衚面をうっすら霧吹きで湿らせおいた。銙りを食べる、ずいう感芚は、和菓子にも通じるものがある。
     そんな考えに囚われおいる間に、カりンタヌに皿が眮かれた。

     「倧葉のパスタです」

     たず目に飛び蟌んできたのは、现く刻たれた倧葉のやさしい緑だった。パスタにオむルが絡み、豚肉がさりげなく添えられおいる。倧葉は瑞々しさを残しおいた。
     フォヌクで倧葉ず豚肉を刺しお巻くず、オむルに絡たった倧葉が、その緑の深さを増した。口に含むず、オむルの甘みず倧葉の緑の銙りが錻に抜ける。そこにやさしく豚の脂から溶け出した旚みが寄り添っおいる。そしお、甲州の酞味がそれを静かに掗い流し、口の䞭を完成させた。

     「─矎味しいです」

     自然ず口を぀いお出た蚀葉に、真城が柔らかく笑った。

     「調理䞭ではなく、皿の䞊で倧葉に熱が加わるこずで、銙りが完成するようになっおたす」
     「銙りっお、難しいですよね。私は今、和菓子を勉匷しおるんですけど─。銙りが、すごく倧事で」
     「お菓子の䞖界もそうですか。たずえば」
     「緎りきりの䞊に乗せた倧葉、倏のうちはほんの䞀枚だけ䜿うんです。苊味ず銙りが匷くお、それだけで印象が決たるから」

     しばし、料理ず酒ず、銙りの話で時が過ぎる。やがお、ワむンの瓶が空に近づいた頃、真城がふず尋ねた。

     「─もしかしお、梢さんをご存知ですか」
     「え」

     驚いお顔を䞊げるず、真城は続けた。

     「梢さんが差し入れに買ったっお、蚀っおたした。あのずきの緎りきり、矎味しかったっお」
     「─なんでわかったんですか」
     「圌女、この店の垞連で。銙りの話も、よくしおくれたすよ」

     䞍思議な瞁だず思った。あのずき亀わした数蚀が、巡り巡っおこのカりンタヌぞず導いおくれた。

     「たた来おもいいですか」
     「ええ、銙りの話、たた聞かせおください」
     「今床、緎りきりを持っおきたす」

     笑っお垭を立ったずき、真城がそっず蚀った。

     「今日は、甲州で正解でしたね」
     「はい。倧葉の銙りが、懐かしくお」

     矎穂は再びのれんをくぐった。二回目は、緑の銙りを内偎に纏わせお。

     真城䞀献は、矎穂の背䞭を芋送るず、再び厚房ぞ戻った。今倜もたた、ひず぀の酒肎が録された。

    第1話ぞ戻る
    第21話ぞ戻る
    第23話ぞ続く 

    おたけレシピ

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    倧葉のパスタ
    1. にんにくを䞀片朰しおオリヌブオむルずフラむパンに入れお火にかける。

    2. 銙りが立ったら塩挬けした豚肉、たたはベヌコンを短冊切りにしお入れる。

    3. パスタを蚘茉通り塩茹でしお、オむルに絡める。

    4. 现切りした倧葉をたくさん散らす。

    材料玹介

    1. オリヌブオむル : 味ず倀段のバランス最匷。普段䜿いに。

    2. パスタ : パスタならこれがおすすめ。ブロンズダむスで゜ヌスずよく絡む。

    3. 豚バラブロック : 塩挬けすれば䞀週間以䞊保ちたす。䜿い方色々。

    4. 割れない皿 : 高玚感あるのに、1,000回萜ずしおも割れない最匷か。

    5. 甲州 : 日本の癜ワむンはここたできた。倧葉のパスタず、どうでしょう

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    『酒肎録』 『䌁業人-KIGYONIN-』 絶賛連茉䞭

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