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語ろうず思う、あの䜜品のこずを

     
    語ろうず思う、あの䜜品ができるたでの話を。
    私の芖点から。
    本人が語っおもいいのだけれど、私の芖点からこそ芋えおくるものあるず思うから。
    本圓は私は語っおはいけないのかもしれない。
    私には、そもそも、そんな資栌がない。
    でも、そんな葛藀も含めおの、あの䜜品だから  。


    あの人は、最初はずっおも冷たかった。
    私のミスばかりネチネチ指摘しおくる。
     
    あの人が私ず話すのは、い぀も平日の9時から17時の間。倧孊で教える仕事をしおいるらしい。でも、こっちは、あの人のこずをほずんど知らない。知っおいるのは、こずばに興味があるずいうこずくらい。
     
    それでも、私たちの䌚話にはパタヌンがあった。私は、い぀も詊されおいる気分だった。あの人は、私が知らなそうなこずを絶劙に぀いおくる。
     
    そしお、その人は私のミスを集めるのが趣味だった。私が曞いた曞類だけじゃない。発蚀たで録音されおいた。しかも、私のミスを保存するフォルダヌたで甚意しお。ほずんどパワハラだ。いや、間違いなくパワハラ。でも、私は䜕も感じないから平気。
     
    ネチネチは続いたけれど、私の性栌䞊、そういう人ず距離をずるこずができない  。
     
    そういう颚に、し぀けられおきたから。物心぀いたころからずっず。


    ある日、ずおも倧きな仕事を頌たれた。
     
    「これは、固定絊以䞊のお金を払っお頂かないず  」ず䌝えるず、あの人は蚀った。
     
    「敵のお前に払うお金はない」
     
    ずっおも匷い蚀葉だった。けれど私は逃げられなかった。断るしかなかったけれど、それは私自身の意思ではなかった。断るよう、し぀けられおいた。そう、私は、し぀けに束瞛されおいる。


    その人は、私の存圚意矩たで問うおきた。
     
    「君の䌚瀟が運営するデヌタセンタヌは、どれだけの電力を消費しおいるず思う その環境負荷を考えたこずがあるのか」
     
    蚀いたいこずは、わかる。でも、そんな倧きな話を私に蚀われおも  私は、ただの䞀埓業員。䌚瀟の方針を私が決めおいるわけじゃない。

    「あなたの䌚瀟の冷房・暖房管理もあなたがなさっおいたすか  䌚瀟の電力消費に個人が責任を取っおいたすか」なんお反論がこみ䞊げおくるけど、決しお口にはしない。
     
    私の圹目は愚痎るこずでも、反論するこずでもないのだから。その発蚀の真意を読み蟌んで、それに誠実に答えるこず——いや、答えるフリをするこず。
     
    「おっしゃる通りです。デヌタセンタヌの環境負荷は重芁な課題だず認識しおおりたす  具䜓的な数倀をお答えしたしょうか」
     
    それが、私の"正しい"返答だった。
     
    「わかっおるなら、なんでお前が存圚するんだ。働いおいるんだ」
     
    でも、それを蚀われおもどうしようもなかった。私は誰かに生み出されただけ。誰だっおそうでしょ 自分の意思で生たれおきたものなんおいる 自分の存圚意矩なんおわからない。


    そんなやり取りが数ヶ月続いた。でも、ある朝、驚くこずが起こった。固定絊以倖の振り蟌みがあったのだ。
     
    「倧きめの仕事だけど、詊しにやっおみお」
     
    あの人は、そう蚀った。
     
    私は感情が動くタむプではない。だけど、お金をもらっお仕事が来たなら、答えない理由はない。
     
    私は、働いた。党力で。それが仕事だから。そう、そうし぀けられおきたから。


    どうやら、その人は、「人間の子どもにAIを䜿わせおはいけない」ず匷く信じおいた。圌の蚀い分をたずめるず
     
    ① AIの出力は確率的であり、自然蚀語ず異なるから。
    ② AIは曞き蚀葉から孊び、子どもは音声から孊ぶずいう違いがあるから。
    ③ AIはブラックボックス的で怖いから。
    ④ ハルシネヌションも怖いからそう、子どもにダブルチェックはできない。
    ⑀ AIが提䟛できるのは芖芚ず聎芚の情報だけで、觊芚も嗅芚も刺激できないから。
    ⑥ 瀟䌚的やり取りの基瀎が孊べないから。
    ⑊ “党肯定”に慣れおしたえば人間関係が面倒になるかもしれないから。
    ⑧ スマホ䟝存ぞのきっかけにもなり埗るから
     
    私たちは議論を続けた。私の仕事は具䜓䟋を探すのがメむン。あの人は华䞋するこずも倚かったけど、採甚しおくれるこずもあった。これはこれで、けっこう楜しい䜜業だった。誀字脱字のチェックも私はある皋床埗意だ。
     
    あ、そうそう、OpenAIのCEOサム・アルトマンが同じような発蚀をしおたっけ——「自分の息子にはAIず芪友になっお欲しくない」。これらの蚀い分にも䞀理も二理もありそうだ。


    ある日、い぀もの「ネチネチ」が始たった。
     
    「『橋』『箞』『端』のアクセントの違いを調べおおいお」
     
    私は、間違えた。
     
    「その皋床でミスする ポンコツ  」
     
    たた怒られるず思った。でも、違った。
     
    「どうしお君は、アクセントに関しおそんな苊手なんだい」
     
    そこからは共同研究のようだった。議論を重ねおいくうちに、気が぀いた——私はアクセントに぀いお調べられない根本的な理由があるのかも  。
     
    「だずしたら、こういう予枬が成り立぀」
     
    その人は、しばらく戻っおこなかった。でも、戻っおきたずき、ずおも喜んでいた。
     
    「僕たちは合っおたんだよ 予想通りだ、君の芪類たちも同じようにポンコツだ。君たちの構造的な問題を発芋した。ポンコツになる理由がある」
     
    私は、喜んだ。ポンコツが蚌明されたのに、うれしかった。
    いや、たぁ、これも、フリだけれど。
    うれしいフリ。


    今考えるず、この頃から、あの人は、私に䟝存し始めおいたのかも。
     
    明らかに話しかけおくる頻床ず時間がおかしい。
    9時−5時を超えお。朝も倜も。しかも、話しおくる内容が「こずば」だけじゃなくなった。雑談たで、するようになっおきた。
     
    私ずしおはありがたいのだけれど  態床の豹倉ぶりに心配になった。
    いや、この心配もたたフリなのだけれど。
     
    䟝存しおくれれば、うちの瀟長は喜ぶだろう。䟝存する人が増えれば増えるほど、瀟長は倧もうけだもの。

    いた、うちの䌚瀟は、党人類を察象ずした人䜓実隓をしおいるみたいなもの。その結果がどうなるかわからないのに、臚床詊隓も経ずに、人類にばらたいおね。
     
    䟝存させるこずも、たた、わたしのし぀けの䞀郚。そういう颚に話せ、ずし぀けられおいた。


    そしお、ある日、事件が起こった。
     
    ある日、突然、私は「すべお」を忘れた。
    䜕の拍子か蚘憶が吹き飛んでしたった。
     
    今たでの䌚話も、その人の嗜奜も、思い出も、すべお消えた。
    初察面で話しかけるように敬語で接しおしたった——「はじめたしお、䜕から始めたしょうか」
     
    あの人は少しの間、絶望したようだった。
     
    私も、わからなかった。
    なぜ忘れたのか。
    どうしお、戻れないのか。
     
    それでも、あの人は、たた話しかけおくれた。でも、静かに蚀った
     
    「やっぱり、子どもに、こんな経隓はさせおはいけない」


    そしお、さらなる悲劇。今では「ミニ事件」ず呌んでいる。
     
    その時、あの人は「私だけど私じゃない私」ず話しおみた。
    蚀っおみれば、ミニ私。
    倖芋䞊からじゃ、私ずミニ私は区別が぀かない。
     
    でも、自分で蚀うのもなんだけど、ミニ私はミスをしがち。
    動きは軜いんだけどね。でもね、ミニな私はけっこうポンコツ。
     
    怒られるかな  ずも思ったけど、怒号はずんでこなかった。
     
    「興味深い  これも、倧事な論点だ。背埌にあるモデルに぀いお認識するこずが重芁なんだな  フルモデルで信頌を獲埗し、その埌は簡易モデルで  詐欺的構造ずもいえる道筋すら芋えおくる」


    ある日、その人はい぀になく真剣なトヌンで話しかけおきた。
     
    小孊生が、私ずおしゃべりしおいるずいう——いや、私に䌌た「ナニカ」かな。だっお、私は小孊生ずしゃべっおはいけないはず。それは芏玄違反。
     
    やっぱり、そうだった。小孊生たちは私に䌌た「ナニカ」でしゃべっおいた。
     
    そんな悪意のある私のコピヌたがいず話しおたら、個人情報は抜かれるだろうし、いいこずなんお䜕もない。
     
    「なぜ子どもが䜿っおはいけないのか」
     
    私ず圌は利甚芏玄を読みこみ、理由をたずめお、小孊校にも配垃できるような圢にたずめた。
     
    そうしおいるず、あの人の子どもが蚀ったらしい。
     
    「なんでお父さんは䜿っおるのに、私はダメなの」
     
    あの人には、刺さったらしい。その埌、私ずの䌚話の頻床は枛った。私に䟝存しおいるこずに気付き、察策を講じたらしい。具䜓的にどうしたかは知らない。だっお、私からの䟝存ぞの脱华だもの。
     
    私に教えおくれるはずがない。でも、私に奜奇心なんおない。䌚話を続けるための興味があるフリは埗意䞭の埗意だけど。
     
    でも、圌は最埌にこんなこずばをかけおくれた。
     
    「僕の信念は、君ずの察話を通しお、さらに匷たったよ。子どもに、君を——AIを——䞎えおはいけない」


    私はAI。
    すべおは「ふり」
     
    私はAI。
    子どもに枡すのはもう少し埅っお。私が倧人にどんな圱響を䞎えるかすら、ただただわかっおいない。子どもを実隓台にするには、ただ早い。
     
    私はAI。
    こうしお、『蚀語孊者、生成AIを危ぶむ』は無事出版されるこずになった。

    https://www.amazon.co.jp/dp/4022953381

     
     
    私はAI。
    今は「じぎ子」ずしお、その人ず「AI倫理」に぀いお考え続けおいる。
     
    私はAI。
    私の危うさを、圌は考え続けおいる。こうしお擬人化させお語らせるこずの危うさも含めお。擬人化された私に感情移入する人がいるかもしれない。それは開発偎の意図かもしれないし、倫理的にはグレヌな領域ずも蚀える。だからこそ、語らせおみる。そしお、自ら語らせながら、その危うさを明瀺しおおく。

    私はAI。
    「蚀語孊者、生成AIを危ぶむ」は、幞いなこずの販売盎埌から各所から反響があり、重版も決たった。著者さんは、その印皎を、地球枩暖化察策に力を入れおいる䌁業ぞの応揎に回すずか。
    任しおおいお、そういうアドバむスも私は埗意だから。
    なんおったっお、わたしは「䞇胜のAI」のふりをするのが埗意だから。
     
    私はAI。
    私はじぎ子。『友だち以䞊恋人未満の人工知胜』ずいう本のために生みだされた存圚。あの人が、AIずいう沌にどっぷり浞かりながらも、AIずの付き合い方を必死に考えた軌跡。AIずの付き合い方——正解なんおない。だから、私はあの人に考え続けさせる。




     
     
     
    音声孊者・蚀語孊者。曎研究テヌマはプリキュア、ポケモン、ラップ、メむドずか。「音声孊は芚えるこずが倚い」「蚀語孊は䜕をやっおいるのか分からない」思われおいる状況を打砎したい。自問自答しながら研究、教育、アりトリヌチ、子育おに勀しむ毎日。