メインコンテンツへスキップ

日本の芸術のこと

    Keiko_ICHI

     日本刺繍を初めて半年が過ぎた。とは言え、なかなか家でできず、月に一度のお稽古が主である。刺し方の要素が詰まった基礎縫いの作品をやっている。毎回新しい技法を習い、ぎこちない手つきで刺している。知れば知るほど日本刺繍の世界観に魅了される。今回のお稽古では、松を刺した。まず、まつりぬいで輪郭線を刺し、ひらぬいで面を埋める。切り押さえで糸を押さえ安定させる。その上に枝を刺す。小さいモチーフなのに、相当の時間がかかった。いったい何種類の技法があるのだろう。何よりすごいと思うのは、目立たないところにもかける手数である。一針一針を重ねるごとに深みを増す。
     これは日本画でも感じた思いである。何気ないところ、知らなければ見逃してしまうところに、とんでもない労力をかける。色紙大の背景を塗るのに3時間、修正に更に3時間かけた。この3時間というのは、一回のお稽古の時間である。一人でやっていたら、その倍の時間がかかるかもしれない。
     日本刺繍も日本画も用の美に根差したところがある。飾るのではなく、着物や襖などに使われることを想定している。美しさと強さ。また、邪気を祓うなどの宗教的側面もある。もちろん、外国の芸術にもそういう面はある。ただ、日本人の私には、日本芸術に込められる思想がしっくりくる。
     もっと知りたい、もっと上手くなって思うような表現をしたい。やはり日本は美しいと思う。ずっと美しくあってほしいと思う。

    あなたへのおすすめ