
妻でも母でもなく、女として見られたかった。
私はかつて、五人の男性と不倫をした。
けれど、それは世間が想像するような、激しい恋や泥沼の関係ではなかった。
今でもどうしているかは大体知ってはいるが、極力会わないようにしていた事もあって、実際に二人きりで会った回数は、数えるほどしかない人が殆どだ。
それでも私は、確かに何かを求めていた。
妻でも母でもなく、一人の女として見られること。
たぶん私は、それが欲しかったのだと思う。
けれど私は、出会いそのものを欲していたわけではなかった。
若い男性から自分がどう見られ、どう扱われるのかは、その前から何となく分かっていた。
通っていた接骨院では、私はかなり特別扱いをされていたと思う。
先生たちは、最初は苗字さえ教えないほどプライベートを閉ざしていたのに、私には仕事以外の話もしてくれた。
夏祭りに誘われ、先生たちと一緒に神社へ行ったこともあった。
専属だった先生とは、二人で居酒屋に行ったこともある。
もう一軒の接骨院でも、仕事が終わった後、先生と二人でお酒を飲みながら、いろいろな話をした。
だから私は、自分が女としてどう扱われるかを、まったく知らなかったわけではない。
大きかったのは、SNSという存在だった。
もともと私は、中学時代の同窓生と繋がるためにSNSを始めていた。
だから最初は、地元の友達でもない男性と繋がることには迷いがあった。
最初に私へ連絡してきた人は、長野県に住む十五才年下の、遠く離れた男性だった。
その人は突然、お見合い写真のようにスーツを着て、真正面から撮った写真を送ってきた。
私は驚いて、そのまま放っておいた。
すると一週間ほどして、今度はもっとアップの顔写真が送られてきた。
その時私は、少し面白い人だなと思った。
私のプロフィール写真が、かなり彼の好みだったらしい。
それで私は、初めて地元の同級生ではない男性を友達承認した。
それからは、地元の友達でなくても、いかがわしいアカウントでなければ、すんなり友達承認するようになっていった。
五人との不倫と言っても、すべてが同じ始まり方だったわけではない。
最初の四人はSNSを通じてだったが、それぞれ違う形で、私の心の中に入って来たのである。