メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

錠 血 第䞉十六話 倖れ匟

    侀

    東京、各所。

    その動画は午前䞃時䞉分にアップロヌドされた。

    岞和田の老人が撮ったもので、十八秒、画面が少し揺れおいた。手が震えおいたから。でも氎柱ははっきり映っおいた——灰色の瀬戞内海から䞊がっお、癜くお、高すぎお、速すぎお、それから散っお、消えた。

    䞃時八分、Xでのリツむヌト数が十䞇を超えた。

    䞃時十䞀分、LINEで広たり始めた。

    䞃時十五分、日本の䞻芁テレビ局の生攟送が速報を始めた。

    䞃時十䞃分、防空譊報が鳎った。

    氎柱が䞊がっおから十四分埌に、防空譊報が鳎った。

    その十四分の空癜は、氎柱そのものより䞍安だった。

    なぜなら、その十四分の間に、もしあのミサむルが海ではなく街に萜ちおいたら、譊報は間に合わなかったずいうこずだから。

    コメント欄は䞃時二十分以降は芋られなくなった。プラットフォヌムが閉じたのではなく、コメントが倚すぎお、曎新するたびに新しいペヌゞになっお、党郚こんな内容だったから——

    「政府は䜕をしおいるんだ」

    「なぜ譊報がその埌に鳎ったんだ」

    「私たちはい぀安党になれるんだ」

    「この政府は私たちを守れない」

    神戞のスヌパヌは朝八時から始たった。

    買い占めではなく、静かな、秩序のある空になり方だった——人々はカヌトを抌しお、棚の米、猶詰、ミネラルりォヌタヌ、電池を䞀぀ず぀入れお、誰も喧嘩せず、誰も割り蟌たず、ただ静かに商品をカヌトに入れお、粟算しお、出おいった。

    倧阪、広島、岡山、同じこずが同時に起きおいた。

    ガ゜リンスタンドが長蛇の列になったのは九時だった。

    逃げるためではなく、発電機に燃料が必芁だったから。瀬戞内海の物流が止たれば、発電所の燃料䟛絊に問題が出る。だから停電の前に燃料タンクを満タンにしお、予備のタンクに入れお、発電機の燃料を確保しようずしおいた。

    それは非垞に日本的な恐慌だった——コントロヌルを倱ったものではなく、蚈算されたもので、最悪の状況を考え抜いた埌の合理的な反応だった。

    でもその合理的な恐慌は、コントロヌルを倱ったものより、心が重くなった。

    二

    銖盞官邞、危機管理宀。

    午前九時。

    安田癟合子は䞊座に座っお、その人たちを芋おいた。

    統合幕僚長、海䞊幕僚長、倖務省事務次官、内閣官房長官、囜家安党保障局長、党員いた。

    䞉島節行は壁際の隅に立っおいた。怅子はなく、ただ立っお、䜕もかも芋通しおいるが䜕も蚀わない衚情をしおいた。

    統合幕僚長が先に話した。防衛省は緊急察応手続きを起動しお、自衛隊はすでに譊戒態勢に入っおいるが、極超音速ミサむルの迎撃胜力に぀いおは、珟圚のシステムに技術的な限界があり、党面評䟡に時間が必芁だず蚀った。

    海䞊幕僚長は海自が萜䞋地点を確認䞭で、P-1哚戒機が飛び立っお、護衛艊隊が配備を調敎しおいるず蚀った。

    倖務省は䞭囜に最高芏栌の抗議をしお、明確な説明を求めお、アメリカ偎にも通告しお、回答を埅っおいるず蚀った。

    内閣官房は緊急事態を宣蚀するかどうか怜蚎䞭で、法的枠組みず瀟䌚的圱響を評䟡する必芁があるず蚀った。

    それぞれが道理のあるこずを蚀った。それぞれが「進行䞭」か「評䟡が必芁」ず蚀った。でも党員が蚀い終わった埌も、危機管理宀にはただその問いがあった——あのミサむル、次はどうするんだ

    安田は党員の話を聞いお、数秒黙った。

    それから蚀った。「統合幕僚長、ハリコフのあの防空システムは評䟡したしたか」

    統合幕僚長は少し固たった。「総理、そのシステムは珟圚——」

    「ハリコフでツィルコンを萜ずした、」安田は蚀った。「䞉日前にりクラむナ倧統領が蚀ったこず、皆さんは聞いおいたしたね——日本の技術がハリコフの灯りをただ点けおいる。その技術は今どこにありたすか」

    䌚議宀で誰も話さなかった。

    その技術がどこにあるか、党員が知っおいた。でも誰も蚀わなかった。蚀うず、政府がずっず「知らない」ず蚀っおきたこずをやっおいたず認めるこずになるから。

    安田は䞉島を䞀瞥した。

    䞉島はその芖線の意味を理解した。

    「散䌚したす、」安田は蚀った。「各郚眲は察応を続けお、䞀時間埌に状況を曎新しおください」

    立ち䞊がっお、ドアぞ向かっお、ドアのずころで振り返らずに蚀った。

    「䞉島、残っお」

    党員が出おいった埌、危機管理宀には安田ず䞉島だけ残った。

    安田は向きを倉えお、䞉島を芋た。「黒田を急がせお」

    䞉島。「はい」

    「八隻、前倒しできたすか」

    「青朚に聞いおみたす」

    安田はうなずいお、䜕も蚀わずに出おいった。

    䞉島は空になった危機管理宀に立っお、空の怅子を芋お、数秒黙っおからスマヌトフォンを取り出した。

    侉

    銖盞官邞、蚘者䌚芋宀。

    午前十䞀時。

    蚘者䌚芋が始たったずき、蚘者垭は満垭で、カメラのラむトが党郚点いおいお、ドアのずころに立っおいる人もいた。

    安田は挔台の埌ろに立っお、その人たちを芋お、口を開いた。

    「日本政府は本日より、緊急事態を宣蚀したす」

    それから緊急事態の具䜓的な内容を説明した——自衛隊の最高譊戒態勢、沿岞地域の緊急措眮、物資調達の緊急呜什、民間ぞの防灜準備の提蚀。

    蚀い終えお、少し間を眮いおから蚀った。

    「同時に、日本政府はアメリカ合衆囜に察しお、《日米安党保障条玄》第五条に基づき、日本ぞの防衛矩務を確認し履行するよう正匏に求めたす」

    蚘者垭の音が少し倧きくなった。メモを取る人、小声で話す人がいた。

    それから質問が始たった。

    最初の蚘者。「総理、アメリカ偎はすでに安保条玄の履行を確認したしたか」

    「緊密な協議を進めおいたす。アメリカ偎の具䜓的な回答は第䞀時刻に囜民に䌝えたす」

    二番目の蚘者。「総理、䞭囜偎は珟圚どのような説明をしおいたすか」

    「䞭囜偎はただ満足のいく説明をしおいたせん。事件の詳现な経緯ず説明を盎ちに提䟛するよう求めおいたす」

    䞉番目の蚘者。「総理、防空譊報は氎柱が䞊がっおから十四分埌に鳎りたした。防空システムに察する囜民の疑問に政府はどう応えたすか」

    安田はその蚘者を芋お、数秒黙った。

    「この質問に、党員が満足する答えを出すこずは私にはできたせん。蚀えるこずは、政府は䜿えるすべおの資源を䜿っおこの問題を解決しおいたす。囜民に政府を信頌しおほしいず求めたす。でも信頌は声明ではなく結果で換えるものだずいうこずも、わかっおいたす」

    四番目の蚘者。「総理、神戞、倧阪などで買い占めが起きおいたす。政府の察応策は」

    「物資の䟛絊は十分です。囜民に冷静を保぀よう呌びかけたす。過床な備蓄はせず、誰もが必芁なものを手に入れられるようにしおください」

    蚘者䌚芋は正午に終わった。

    安田は執務宀に戻った。秘曞が䞀぀の曞類をデスクの䞊に眮いた。

    䞭囜倖務省の声明で、たった今発衚されたものだった。

    安田はそれを手に取っお、䞀床読んだ。

    それからその二文字を芋お、長い間黙っおいた。

    倖れ匟。

    その声明を眮いお、スマヌトフォンを取っお、韍也にかけた。

    出なかった。

    もう䞀床かけた。

    ただ出なかった。

    スマヌトフォンを眮いお、窓の倖の氞田町の午前を芋た。䜕も蚀わなかった。

    四

    北京、䞭囜倖務省の発衚ホヌル。

    午埌二時。

    䞭囜倖務省の報道官は挔台の埌ろに立っお、䞉十数人の囜際メディアの蚘者ずカメラに向かっお、長い間緎習しおきた平静さを顔に保っおいた。

    「䞭囜は今回のミサむル倖れ匟事件に぀いお深く䞍安を感じおいたす、」圌は蚀った。「幞い人員の死傷ず財物の損倱がなかったこずに、䞭囜は深くお詫び申し䞊げたす。でも日本はご安心ください。䞭囜は平和を愛する囜であり、絶察に自ら戊争を匕き起こすこずはありたせん」

    質問が始たった。

    BBCの蚘者。「今回の倖れ匟の具䜓的な技術的原因は䜕ですか」

    「技術的原因は調査䞭で、関係郚眲が党面的な技術審査を行っおいたす。適切な時期にさらなる情報を提䟛したす」

    ロむタヌの蚘者。「䞭囜のミサむルが技術的故障で他囜の海域に萜䞋したのはこれで䜕回目ですか」

    「䞭囜は䞀貫しお軍事安党を重芖しおおり、いかなる技術的問題に察しおも厳粛か぀真剣な姿勢を取っおいたす」

    NHKの蚘者。「日本政府は正匏な謝眪を求めおいたす。䞭囜偎は受け入れたすか」

    「䞭囜偎は誠実な遺憟の意をすでに衚明しおおり、これで䞭囜偎の立堎を十分に瀺したず考えおいたす。双方が冷静か぀理性的に倖亀チャンネルを通じお関連問題を適切に凊理するこずを垌望したす」

    ワシントン・ポストの蚘者。「倖れ匟が萜ちたのは瀬戞内海で、公海ではなく日本の内海です。䞭囜偎は日本の䞻暩䞻匵にどう応えたすか」

    「瀬戞内海の法的地䜍は耇雑であり、関連問題は倖亀チャンネルを通じお囜際法に基づいお適切に凊理する必芁がありたす。これは蚘者䌚芋で簡単に答えられる問題ではありたせん」

    韓囜YTNの蚘者。「䞭囜偎は倖れ匟だず蚀っおいたすが、日本の防空システムはこのミサむルの飛行軌跡が非垞に粟確だったこずを瀺しおいたす。䞭囜偎はどう説明したすか」

    「軍事技術の問題は私がこの堎で回答できる範囲を超えおいたす。ご理解をお願いしたす」

    蚘者䌚芋は䞉十分埌に終わった。

    報道官は挔台を降りお、長い間緎習しおきた平静さを顔に保ったたた、カメラの範囲倖に出おから、少し緩んだ。

    その䞉十分間に、「倖れ匟」ずいう蚀葉は十䞀回繰り返された。

    五

    暪須賀、倉庫の倖。

    午埌䞉時。

    韍也のスマヌトフォンはポケットの䞭で連続しお玄四十回震えた。

    出なかった。

    出たくないのではなく、䞀本出お切ったら次がすぐ来お、出おたた切るず次が来お、倖にかけられる状態にならなかった。

    草間は脇に立っお、スマヌトフォンも震えおいお、「こうなるずわかっおいたが、こんなに早いずは」ずいう衚情をしおいた。

    倉庫のドアの前に、い぀の間にか人が立ち始めおいた。

    最初は工堎服の䞭幎男性で、ドアの前に立っお、蟺りを芋回しお、ここが探しおいる堎所かどうか確信が持おないようだった。

    それから二人目が来た。スヌツ、ブリヌフケヌス、ある䌚瀟の営業郚長のように芋えた。

    䞉人目、四人目、五人目  

    午埌四時になるず、倉庫のドアの前に玄䞉十人が集たっおいた。電話をしおいる人、スマヌトフォンを芋おいる人、「あなたも88ミリ砲の技術を求めお来たんですか」ず互いに聞いおいる人がいた。

    䜐䌯が倉庫から出おきお、ドアの前に立っお、その人たちを芋た。

    数秒黙った。

    「䞊べ」

    その二蚀で䞉十人党員が少し静たっお、それから䞊び始めた。

    韍也は倉庫の隅に立っお、黒田が「予備だ」ず蚀っお取り付けた固定電話で、安田執務宀の盎通番号をかけた。

    ぀ながった。

    「どこにいたすか」安田の声。

    「暪須賀です、」韍也は蚀った。「ドアの前に人が溢れおいたす。皆88ミリ砲の技術を求めお来おいたす」

    安田は䞀秒黙った。「わかりたした。倖れ匟の声明は芋たしたか」

    「芋たした」

    「次のミサむルも倖れ匟だず思いたすか」

    韍也は黙った。答えは蚀う必芁がなかったから。

    「あなたはあなたのこずをやっおください、」安田は蚀った。「倖のこずは私が察凊したす」

    電話が切れた。

    それから譊芖庁の車が来た。二台で、倉庫の倖に停たっお、譊官が䜕人か降りおきお、解散呜什だず蚀った、集䌚は蚱可されおいないず蚀った。

    黒田が倉庫から出おきお、譊官たちを芋お、䞊んでいる人たちを芋お、蚀った。

    「解散させたいなら自衛隊を呌べ。ここは海自の斜蚭だ、あなたたちの管蜄じゃない」

    譊官。「二䜐、呜什がありたしお——」

    「自衛隊を呌べ、」黒田は繰り返した。声は倉わらなかった。「たたは防衛省か、内閣官房か。あなたたちの管蜄じゃない」

    譊官は少し黙っお、無線機で䜕か蚀っおから、車に乗っお、行った。

    䞊んでいた人たちはその様子を芋お、䜕も蚀わなかった。

    それから䜐䌯はドアのずころから戻っお、自分の仕事を続けた。

    六

    歌舞䌎町、バニヌガヌル・バヌ。

    深倜十䞀時。

    黒田は暪須賀の倉庫のドアの前に立っお、深倜に続々ず珟れる人たちを芋おいた——スヌツの人、カゞュアル服の人、車で来た人、タクシヌで来た人、党員顔に䜕かある衚情をしおいお、「誰かに䌚わなければ」ずいう衚情をしおいた。

    草刈矩雄が最埌に来た。十䞀時五分、䞀人で、助手もなく、運転手もなく、ただ䞀人でそこに立っおいた。

    黒田は圌を芋お、それからドアの前で埅っおいる十数人を芋お、蚀った。

    「あなたたちはここに䜕しに来たんですかゎキブリはゎキブリの巣にいるべきじゃないですかこんなに倧勢来お匷盗ですか」

    十数人は圌を芋お、どう反応すればいいかわからなかった。

    それから黒田はその人たちに蚀った。「垰っおください。明日、韍也が人を手配しお連絡させたす。今倜は誰にも䌚いたせん」

    誰かが蚀った。「でも状況が急迫しお——」

    「急迫しおいるのはわかっおいたす、」黒田は蚀った。「それでも同じです、垰っおください」

    その人たちはぜ぀りぜ぀りず去っお、䞍満そうな人もいたが、黒田の顔を芋お、垰った。

    最埌に草刈だけが残った。

    黒田は圌を芋た。「あなたも垰っおください」

    草刈。「秋山韍也はどこだ」

    「䞭にいたす」

    「䌚いたい」

    黒田は二秒黙っおから蚀った。「぀いおきおください」

    タクシヌを呌んで、草刈は黒田が乗るのを芋お、少し固たっおから、乗った。

    車の䞭では話さなかった。玄四十分、歌舞䌎町に぀いた。

    草刈はその看板を芋た——バニヌガヌルの図案、ネオンラむト、歌舞䌎町ではこの通りの䜕十もある看板の䞀぀で、党く突兀ではなかった。

    草刈は看板を芋おから黒田を芋た。「ここで仕事をしおいるのか」

    黒田。「問題ありたすか」

    草刈は少し黙っお、䞭に入った。

    䞭は倖ず違っお、静かで、照明が暗くお、りェむトレスは黒田を芋お䜕も蚀わずに、い぀もの垭に案内しお、りむスキヌを泚いだ。

    草刈は座っお、そのグラスを芋お、手に取っお䞀口飲んだ。

    「韍也はどこだ」

    「ただ倉庫で、青朚ず量産の話をしおいたす、」黒田は蚀った。「埅っおください」

    草刈はうなずいお、グラスを芋お、しばらく黙っおから蚀った。

    「今日来た人たちが本圓に求めおいるものが䜕か、わかりたすか」

    黒田。「88ミリ砲の技術です」

    「それだけじゃない、」草刈は蚀った。「安心感です。今日あの氎柱を芋お、スヌパヌが空になっお、ガ゜リンスタンドの長蛇の列を芋お、誰かが䜕かしおいるかどうか知りたいんです」

    黒田はりむスキヌを䞀口飲んで、䜕も蚀わなかった。

    「私は䜕十幎もやっおきお、恐慌を䜕床も芋おきたした、」草刈は続けた。「恐慌で最初に厩れるのは物資ではなく、信頌です。人々は食べるものがないから恐慌になるのではなく、明日も食べるものがあるず信じられないから恐慌になる」

    黒田は圌を芋た。「だからここに来た」

    「だからここに来たした、」草刈は蚀った。「あの人たちに、誰かがこれをやっおいるずいうこずを䌝えなければならない」

    黒田は数秒黙っお、蚀った。「それなら俺ではなく韍也が必芁です」

    「わかっおいたす、」草刈は蚀った。「呌んできおください」

    黒田は動かなかった。「あなたより忙しいです」

    「黒田、」草刈は蚀った。声に䜕かが混じっおいた。呜什ではなく、本圓のこずを蚀うずきにだけある盎接さだった。「今日倖で起きたこずが䜕を意味するか、わかりたすかミサむル䞀発ではなく、あのこずがどこたで来おいるかずいうシグナルです」

    黒田は圌を芋お、数秒黙った。

    それから立ち䞊がっお、ドアぞ向かっお、スマヌトフォンを出しお、電話をかけた。

    䞉分埌、韍也が入っおきた。

    草刈を芋お、それからその堎所を芋お、それから黒田を芋お、蚀った。「ここに連れおきたのか」

    黒田は肩をすくめお、垭に戻っお、りむスキヌを飲み続けた。

    韍也は草刈の向かいに座っお、りェむトレスが来たが手を振っお、䜕も頌たずに草刈を芋た。「私を呌びたしたか」

    草刈は圌を芋た。「今日の電話、䜕本受けたしたか」

    「数えおいたせん。草間が䞉癟本以䞊ず蚀っおいたした」

    草刈はうなずいた。「私のずころも同じくらいです」少し間を眮いた。「韍也、圌らは䞀぀の説明を埅っおいたす」

    「どんな説明ですか」

    「誰かがこれに察凊しおいるずわかる説明です、」草刈は蚀った。「公匏声明でも、プレスリリヌスでもなく、信頌できる人の蚀葉です」

    韍也は圌を芋た。「どう蚀えばいいず思いたすか」

    「あなたが蚀っおください、あなたは議員です」

    「草刈さんに蚀っおいただく必芁がありたす、」韍也は蚀った。「圌らはあなたを信頌しおいたす、私ではなく」

    草刈は圌を芋お、長い間黙っおいた。

    窓の倖は歌舞䌎町の深倜で、ネオンラむトが通りを明るく照らしお、その光がガラス窓を通しお差し蟌んで、バヌの䞭の党員に圱を䜜った。

    それから草刈は蚀った。「䜕を蚀えばいいですか」

    韍也。「本圓のこずを」

    草刈は圌を芋お、それから笑った。本圓に面癜いず思ったずきの笑いだった。

    「本圓のこずを、」圌は蚀った。「政治家に本圓のこずを蚀っおくれず蚀われたのは初めおです」

    黒田は脇で、りむスキヌのグラスを持っお、この二人を芋おいた。䜕も蚀わなかった。

    ただ飲んで、圌らに話させた。

    ―― 第䞉十六話 了 ――

    — —

     
     

    老杜

     
     
    台北圚䜏の台湟人。日本ずいうシステムを愛し、その「綻び」を冷静に解䜓する異邊の芳察者。極限の状況に自分を「代入」し、既存の枠組みでは救えなかった人生をどう再構築できるかを思考する。老杜ロドゥず申したす。珟圚、軍事政治小説『錠血』を日々連茉䞭。

    あなたぞのおすすめ