
【詩のようなもの】 The coal mining town 《3つのお題に空想のひらめきを第54回》

かつて炭鉱の町には
運搬専用の
駅と列車があった
随分と
栄えていたよ
町には学校も病院も
商店も映画館もあった
終業時間になると
夕陽に染まった
茜色の自転車で
父親を駅まで
迎えに行ったりしてね
炭鉱夫は
給料もよかったが
常に危険と
隣り合わせだった
実際
私がいた町でも
事故があった
大規模な崩落で
30名が坑内に
取り残されたが
爆発の危険性があったため
生死不明のまま
封鎖された
運搬線の駅には
ロッカーなどもあって
下駄箱の手紙には
励ましや追悼のものが
届けられた
私の父親は
帰ってきたが
同級生の父親は
戻らなかった
数時間違えば
数十分違えば
私がその立場になっていても
何もおかしくはなかった
彼は伝言板に
大きく
バカヤロウ
とだけ書いて
町を去っていった
もうとっくに
閉山となった
消えた炭鉱
消えた町
消えた人
消えた駅
消えた列車
消えたロッカーに
消えた下駄箱
消えた伝言板
だが
町が消えても
物が消えても
文字が消えても
消せない物語というのが
あるんだよ
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
お題
消えた伝言版
下駄箱の手紙
茜色の自転車
Memo
1899年〜1985年までの国内炭鉱事故死亡者は5397名を数える