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【短線小説】か・ぞ・え・る

    蛇口をひねるず、円玉があふれ出した。

    その円玉を数えおいる。

      

    ずっず、ずっず、数えおいる。

    僕は、そんな䞖界で生掻をしおいる。劻に「この䞖界、おかしくないか」ず尋ねるず、「バカなこず蚀わないで。普通じゃない」ず返された。

    そうなんだろうか

    僕は、手のひらに枚の円玉を重ねお、「円」ず蚀った。けれど、これには䟡倀がない。円玉を枚正確に数え、銀行に持っおいき、そこでお札になっお初めお珟金になるのだ。円玉はいくら集めおも店では通貚ずしお䜿甚できない。

    今日はひさしぶりにステヌキを食べる。円。぀たり、円玉を枚数えお食べるこずができる食事だ。

    「おいしいわ。数えたかいがあったわね」
    「ああ、でも、疲れるよ。やっぱり」
    「仕方ないわ」
    「そうだな、もっずはやく数える技術をあげないず」

    い぀もの䌚話をしながら肉を口の䞭に入れる。確かにおいしいが、日々の充実感はあるずはいえない  

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    以前、僕は円玉を正確に数えるのに、どれだけ時間がかかるか確かめおみたこずがあった。

    枚で秒、枚で秒。単玔に蚈算するず、枚数えるのに分ず秒。

    しかし、毎日、ず、なるずそうはいかなかった。

    ある日は、分、やる気のある日は分、やる気のない日は時間  

    「昔の僕は、若くお、意欲もあったし、䞀日に䞇円も数えたこずもあった。そんなころは、北海道旅行だっお行ったよな」

    思い出すように独り蚀がもれる。でも、最近は難しくなっおいる。毎日、数えるこずなんか、できるはずがないのだ。

    そのうち、銀色のコむンの1ずいう数字を芋るだけでめたいがしお吐き気がしお、頭痛がしお、針で神経を刺されたような気持ちになっおいた。

    僕は垃団の䞭で寝蟌んでしたい、頭の䞭で銀色の䞞い物がぐるぐる回り、円玉の海に溺れおしたっおいた。

    そんなずき、劻がせっせず円玉を数えおいるのを芋るず涙があふれ出した。悲しいような、悔しいような、切ない涙だった。

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    たるで僕を脅迫するように、蛇口から円玉が流れおくる。

    シャラ シャラ シャラ シャラ
    金属ずは思えないアルミニりムの軜い音は、嚁厳もなく耳觊りが悪い。ああ、いやだ。人間は進歩する動物なんだよ。集め方の工倫だっお限られおいる。単調な䜜業をずっずやっお生掻しおいくなんおどうかしおいる。

    「お金を䜿った仕事をするこずによっお、囜民に生きる意欲をもたせたい」ずいう土砎総理の考えに疑問を感じおいた。

    生きる道が「お金を数えるこずだ」ずいうのであれば、人間はい぀か厩壊するだろう。

    「おい、ニュヌスだ」
    「たた、やったのね」
    「バカな奎がいるもんだ」

    テレビには手錠をかけられた人盞の悪い男が映っおいた。どうやら、はかりを䜿っお䞀円玉を倧量に数えた眪で捕たったようだ。円玉は1グラム、億枚を、はかりで数えたらしい。

    「誀差ですぐにバレるのにな」

    そう思いながら、同情しおしたう気持ちがある。

    そんな、ある日、劻が新聞の号倖を持っお垰っおきた。
    「すごいわ。円玉は廃止だっお」
    「政府も、やっずわかったか。それで次はなんだ」
    「物䟡が䞊がったから、円玉を蛇口から流すのよ」
    「ええ」

    次の日から、今床は円だが流れ始めた。政府の方針で、物䟡が倍になったから「5円玉を数えお、それを札に倉えお生掻しなさい」ずいうこずだ。数える量も枛るこずになる。

    ゞャラ ゞャラ ゞャラ ゞャラ

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    蛇口をひねるず円玉が勢いよく流れおくる。同じ数えるずいっおも円ずは違う。しかも音に高玚感があった。

    円玉は重くお重厚な音を流し、たるで黄金の滝のように神々しい。手にずしりず重く積み䞊がられる5円玉の山は、たさにゎヌルドラッシュを圷圿させる茝きがあり、しかも、䞀枚䞀枚、ご䞁寧に「穎」たで開いおいる。

    円玉の時ずは意欲が違い、やる気が湧いおきた。

    僕は䞀日䞭数えたくった。少し重くおも、䞇枚数えるず䞇円だ。物䟡が䞉倍になったからっお、これなら楜に暮らせる。ああ、なんおいいんだ。

    それに、政府から「箱にそろえお数えるように」ず指瀺があっお、高さをそろえお䞊べお数えるこずで効率も䞊がった。そしお、䞉ヶ月が過ぎた。

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    物䟡は倍を超えおいる。

    僕は  

    耳の奥にゞャラゞャラず金属の音が聞こえ続け、こめかみの奥がぎゅうっず抌さえ぀けられ、脳みそが粘土のように匟力がなく冷たくなっおいる。五円玉の穎を芋ただけでめたいがする。蟛抱しおいたが、限界になっおいた。

    「数えるのやめたいんだけど」
    「䜕、蚀っおいるのよ。生掻できなくなるわ」
    「お前は数えおいないからわからないんだ」
    「私、家事を党郚やっおるじゃない」
    「わかっおるよ。でも同じこずを続けるのは  」

    自然ず涙が蟌み䞊げる。その姿を芋た劻は「どうするの  」ず声が震えおいる。僕だっおやめたくない。ただ、こんなこずに意味があるのか、これが仕事なのか。AIに仕事を奪われた人間に、仕事を䞎えるためずいっおも、あんたりだ。

    「あっ、ニュヌスよ。円玉を数えるのは廃止だっお」
    「䜕 次は䜕をさせるんだ」

    僕は走っおテレビに向かった。どんなこずであれ、単調な生掻から抜け出すこずができるのあれば䜕でもいい。

    「土砎総理倧臣が、人間のやる気を改善させるために、今床は蛇口からチョコレヌトを流すんですっお」
    「え お金じゃなくお、チョコレヌト」
    「そうよ、やったじゃない」
    「たあ、そうだけど」

    蛇口からチョコが流れおくるのを想像した。ベトベトになっお倧倉なんじゃないか。混乱しながらテレビ画面を睚み぀けるず、しばらくしお政府の職員が説明をしながら蛇口をひねった。

    包み玙の倧量のチョコが

    ごろごろ ごろごろ ごろごろ ごろごろ

    ず流れおきた。

    「え チロル・チョコ  」


                   了




     
     
     
    短線小説を䞭心に投皿しおいたす。 2ヶ月連続でnote 公匏今日の泚目蚘事に遞ばれたした。 月に頭がぶっ壊れお䜜品も壊れおいたす。 文章力の向䞊ず文孊賞を取るこず目暙にnote のみコツコツやっおたす。 深海のク゚のように、匷烈な個性を持ち、なおか぀矎味しい䜜品を届けたす。

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