
離婚物語【旦那が盗撮で逮捕されました】●第14話【開かないドア】
マンションの中には、誰かいるのかもしれない。
そう思った瞬間、私の頭の中では最悪の想像が膨らみ始めました。
まさか知らない人が住み着いている?
浮浪者かもしれない。
外国人かもしれない。
一人じゃないかもしれない。
オートロックのマンションとはいえ、玄関の鍵が開いていたら入り込める可能性はあります。
私は勝手に事件をどんどん大きくしていました。
そんな私に警察官が言いました。
「鍵屋さんを呼んでください。」
えっ?
今、夜中ですよ?
しかも、それって自腹ですよね?
そう思いましたが、他に方法はありません。
私は慌ててネットで鍵屋さんを探し、来てもらうことにしました。
しばらくして到着した鍵屋さんは、さすがプロでした。
ガチャ。
あっという間に鍵を開けてくれたのです。
ところが――。
ガチャン。
チェーンが掛かっていました。
私はドアの隙間から叫びました。
「ドアを開けてー!」
「いるなら返事してー!」
けれど反応はありません。
すると警察官が淡々と言いました。
「チェーンも外してもらってください。」
私は鍵屋さんに聞きました。
「ちなみにチェーンまで外すと、おいくらですか?」
返ってきた答えは――。
「追加で8万円です。」
私は一瞬聞き間違えたのかと思いました。
「追加で?」
そう。
追加でです。
そもそも深夜料金や出張料金もあり、鍵を開けるだけで既に3万円近くかかっています。
そこへさらに8万円。
合計10万円オーバーです。
一気に現実へ引き戻されました。
私は慌ててドアの隙間に向かって叫びました。
「おーーーい!!」
「そこ開けないと追加で8万円かかるぞーーー!!」
「もう既に3万円払っとるんやぞーーー!!」
「誰が払うと思っとるんやーーー!!」
「いるなら今すぐ出てこーーーい!!」
さっきまで
「知らない人が立てこもってたらどうしよう」
と考えて怖くなっていたのに、
追加8万円で一気に怒りに変わりました。
続く。