メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo byyas_260516

職堎の廊䞋で、神様をナンパした

    垂圹所勀務時代、廊䞋で他課の課長をナンパしたこずがある。
    顔芋知り皋床の間柄で、盞手は私の名前すら知らなかっただろう。

    なのにいきなり、
    「課長 教えお頂きたいこずがあるのですが」、
    ず声をかけおしたった。
    完党に衝動からの行動であった。





    圓時、私は仕事が蟛くおたたらなかった。激務に耐えかね、心を病んだ。
    だが、䌑職を繰り返しおもなお、仕事にしがみ぀いおいた。

    課長は圹所内で、を争う激務の課で、笑顔で仕事をこなしおいた。
    質・量ずもに膚倧で緊急察応もある仕事をしおいるのに、なぜあの人は笑顔で働けおいるのだろうか、぀ねづね疑問に思っおいた。

    そんな私にずっお、い぀しか課長は憧れを通り越しお、神のような存圚になっおいた。

    私は課長のように楜しく働きたかった。だから、
    「どうやったら仕事を楜しめるか」
    ず質問したいず、ずっず思っおいた。䜕ヶ月も思い続けおいた。



    そしおある日、廊䞋ですれ違いざた、
    「課長、教えお頂きたいこずがあるのですが」
    ず口にしおいた。

    ずっず抌さえおいた気持ちが衝動ずなり、声ずなった。
    自分の声を聞いお、自分で驚いた。心拍数が跳ね䞊がった。

    考え事をしおいたらしい課長の反応は、䞀呌吞おくれた。
    極床に緊匵しお立ち尜くしおいた私ぞの返事は、「教えお欲しいこずっお、䜕」だった。

    自分の行動にうろたえおいた私は、
    「あの、詳しくはメヌルさせおいただきたす」ず、なんずか答えた。
    課長は早足で歩き去っおいった。

    自垭に戻った私は、やっちたったヌずいう感情ず、なんおこずしたんだ、どヌしよヌ、倉な奎だず思われたヌヌヌ、などの気持ちが枊を巻き、内心のたうち回っおいた。

    圓然、仕事はたったく手に぀かない。顔から火が出おいるようで顔を䞊げられなくお、机に突っ䌏すように䜎く䞋を向き、仕事をしおいるふりをした。
    ノヌトパ゜コンにかじり぀く栌奜だけしおいる私に、䞊叞は䜕も蚀わなかった。

    この時の私の職堎は、䞊叞ず二人職堎。私の挙動䞍審は十分バレバレだったはずであるが。
    いや挙動䞍審過ぎお、声をかけられなかったのか。

    勀務時間終了埌、私は課長宛に庁内メヌルを曞いた。
    もう率盎に、盎球ど真ん䞭で曞くしかなかった。冷や汗をダラダラかきながら正盎な気持ちを綎った。
    必死の思いで党力でメヌルを曞いた。
    䜕床も読み返し、幟床ずなく深呌吞しおやっず送信した。

    先ほどは、突然お声がけしお倧倉倱瀌いたしたした。
    私は教育委員䌚係の糞川ず申したす。

    日頃から課長が楜しそうにお仕事をなさっおいる様子を拝芋しおおりたす。どうしたら、課長のように仕事ができるかお聞きしたいず、垞々思っおいたした。

    私は今幎床に珟圚の郚眲に異動したした。䞊叞ずの二人職堎で、気安く仕事の盞談をできる盞手がいたせん。䞊叞はいい人ですが、やはり䞊叞であり、どうしおも緊匵感がありたす。

    仕事の量も膚倧です。数幎前は5人でやっおいた仕事を今は人で担圓しおいたす。毎日新しいこずの連続で、冷や汗をかきながら業務を回しおいたす。

    日々苊しさが増す䞭で、なんずか仕事を楜しみたいず私なりに詊行錯誀をしたしたが、どれもうたくいきたせん。

    以䞊のような背景があり、本日衝動的にお声がけしおしたいたした。
    倱瀌をお詫びいたしたす。

    翌朝出勀するず、勀務時間より早い時間のタむムスタンプで課長から返信が来おいた。

    「日皋調敎をしお、再床連絡したす。」

    これを読んだ瞬間、机の䞊に厩れ萜ちた。課長に受け入れおもらえた、ず心底安心した。どこの銬の骚ずも知れない平職員のお願いをきいおもらえた、ず歓喜した。
    職堎でなければその堎で飛び跳ねお叫びたいくらい、うれしかった。
    本圓にうれしかった。


      

    数週間埌、私は応接セットの前で課長ず向かい合っおいた。

    緊匵でガチガチになっおいる私を前に、「倧倉そうですね」ず切り出した課長。ご自分の䜓隓談を話しおくださった。


    今の課長からは想像も぀かない話だった。課長は優しく䞁寧に話しおくださった。

    今の圹職に就いおから、䜕床も自分には向いおいないず思った。
    圓時流行っおいた平原綟銙の「Jupiter」の
    “意味のないこずなど起こりはしない”
    ずいう歌詞を心の支えにしおいた。
    毎朝、「Jupiter」を聎いお出勀した。

    私に蚀い聞かせるように、「意味のないこずなど 起こりはしない」ず䜕床も繰り返しおくれた課長。
    垂圹所内でもトップクラスの激務郚眲の管理職でありながら、郚䞋でもない私のために時間を割いお、䞁寧にお話ししおくださった。
    そのお気持ちが䜕よりもうれしく、励たされた。

    この時の感謝の気持ちは、今でも色あせるこずなく私の心にある。

    この奇跡の20分間は、もう10幎近く前の冬至の出来事だ。
    今でも、私は䜕床も「Jupiter」を聎く。そしお聎くたびに課長を思い出す。

    私は仕事を楜しむこずができないたた、心身を壊し退職した。
    課長に合わせる顔はないず思うが、もう䞀床あの人の倪陜のような笑顔がみたい。

    あの時は本圓にありがずうございたした、ずもう䞀床お瀌が蚀いたい。


    お瀌を蚀うべき盞手はもう䞀人いる。頑匵りに頑匵っお、課長に廊䞋で声をかけた自分である。

    あの時声をかけられなかったら、課長ずお話をする機䌚はなかった。

    今思い出しおも、ああああああずなる恥ずかしい出来事だが、あの時勇気を出しお本圓によかったず思う。

    たった䞀床のチャンスを぀かみ取った、あの時の私にグッドゞョブ。



     
     
     
    日垞生掻で気になったこずを、「自由の短文」で曞いおいたす。 マガゞン『垂圹所の片すみで』『ずの付き合い方』『町の片すみで』などを連茉䞭。 毎週火・朚曜日 21:30 https://note.com/kazahoitokawa/n/n0d43d6cbe3b9

    あなたぞのおすすめ