メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bymayo_iwamoto

七夕とカルピスと天の川

    7月7日と聞けば、多くの人は織姫と彦星を思い浮かべるだろう。短冊に願い事を書き、笹に飾った記憶がある人も少なくないのでは?

    けれど、7月7日は「カルピスの日」でもある。

    私も今回調べてみるまで、そんな記念日があることを知らなかった。

    カルピスが発売されたのは1919年(大正8年)7月7日。

    生みの親である三島海雲は、若い頃に中国を訪れた際、内モンゴルで体調を崩してしまったという。そのとき遊牧民から勧められた発酵乳「酸乳」を飲んだことで健康を取り戻し、その体験がカルピス誕生の原点になったそうだ。

    「この飲み物を日本の人たちにも届けたい。」

    そんな思いから生まれたカルピスは、縁起の良い七夕の日に発売された。

    さらに興味深いのは、子どもの頃から見慣れてきたカルピスの水玉模様だった。あの青と白の水玉は、夜空に流れる天の川をイメージしたデザインなのだという。

    そこまで知ると、カルピスは単なる夏の飲み物ではなく、七夕という物語と一緒に歩んできた飲み物だったのだと、初めて気づかされたわけです。

    そういえば、私はもうずいぶん長いことカルピスを口にしていない。

    子どもの頃の夏になると、お中元でカルピスの詰め合わせが届くのが楽しみだった。白いカルピスももちろん飲んだが、本当のお目当てはオレンジ味だった。グレープ味もあったような気がするのだが、こちらは少し記憶が曖昧である。

    冷蔵庫から瓶を取り出し、冷たい水で少しずつ薄め、ガラスのコップに氷を浮かべながら、自分の好きな濃さを探すようにして飲んでいた。少し濃い目が好きな人もいれば、さっぱり飲めるように薄める人もいて、同じカルピスなのに、作る人によって味が微妙に違っていた。その違いもまた、カルピスという飲み物の楽しさだったように思う。

    やがてカルピスウォーターが発売される。

    あれは本当に画期的だった。

    自分で薄めなくても、開ければすぐにカルピスが飲める。当時はずいぶん便利になったものだと思った。

    けれど今振り返ると、カルピスウォーターが登場したことで、「カルピスを作る」という夏の風景は、少しずつ暮らしの中から姿を消していったのかもしれない。

    今年の今は、まだ梅雨空が広がっていて、昨年のような酷暑はまだ始まっていない。

    それでも、もうすぐ本格的な夏がやって来る。その最初の日には、久しぶりに冷えたオレンジ味のカルピスを口にしてみようか。

    あの頃と同じ味がするのか、それとも夏の記憶のほうが少し甘かったのか。久しぶりに飲んでみれば、分かるのだろう。


    <ちょっとした補足>
    今回の記事を書くにあたり、カルピスの歴史や誕生の経緯を調べてみた。思っていた以上に物語のある飲み物だったことを知り、七夕との意外なつながりにも驚かされた。

    <参考資料>
    ・カルピスブランドサイト「カルピスの歴史・豆知識」

    #カルピス
    #カルピスの日
    #七夕
    #天の川
    #夏
    #夏の思い出
    #記憶
    #昭和
    #創作大賞2026
    #エッセイ部門

    この記事が参加している募集

     
     
     
    56歳|地域・暮らし・時間をテーマに文章を書いています(地域・人物・記録系)|写真×ことば|心が揺れた瞬間を記録しています|古いクルマは愛|毎日 自分を走らせるガソリンはコーヒー|取材・構成・編集のご相談を受けています

    あなたへのおすすめ