[空き箱の中]
202X年 霧月 32日(木)
こんばんは。
あるいは、まだ目覚めていない方には「おやすみなさい」を。
今日の午後、近所の公園のベンチで、奇妙なものを見つけました。
それは、透明な瓶に入った「夕暮れの音」です。
蓋を開けると、遠くで鳴る踏切の音と、誰かがカレーを作っている匂いが、ほんの少しだけ混じって聞こえてきました。
持ち主の方は、きっと今頃、静かすぎる夜に困っているのではないでしょうか。
心当たりのある方は、三番目の角にあるポストの影に、そっと「明日の予感」を置いておいてください。交換しましょう。
そういえば、最近、街のあちこちで「階段の数」が合わないという噂を聞きます。
行きに12段あった階段が、帰りには11段になっている。
消えた一段は、どこへ行くのでしょうね。
私は、その「消えた一段」に座って、本を読んでいる人を知っています。
彼はいつも、ページのない本をめくりながら、存在しない言葉を口ずさんでいます。
もし彼を見かけたら、決して話しかけないでください。
話しかけてしまうと、あなたの家の階段も、一段ずつ減っていくことになりますから。
今夜は、窓の外に「青い月」が見えるかもしれません。
もし見えたら、すぐにカーテンを閉めてください。
あれは月ではなく、誰かの「まばたき」ですから。
それでは、また。
次の「昨日」でお会いしましょう。
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【コメント(3)】
通りすがり: 私の家の階段、今朝数えたら13段でした。昨日までは12段だったのに。
管理人: それは、誰かが落とした一段を拾ってしまったのですね。お気をつけて。
ななし: 瓶の音が聞こえます。でも、カレーじゃなくてシチューの匂いがします。