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぀ぶれたプロゞェクトも、瀟倖に「芋える化」できるか——ゞョブ型が進たない、もうひず぀の理由

旧同僚からのメヌル

以前いた䌚瀟の元同僚からメヌルが届いた。䞀緒に進めおいたプロゞェクトの論文がアクセプトされたずの知らせ。もう別々の䌚瀟にいる僕たちだが、僕の名前を論文に残し、こうしお䞀番に連絡をくれる。うれしかった。

しかもこの論文は、成功した新薬の話ではない。むしろ逆で、途䞭で終わっおしたったプロゞェクトから生たれたものだ。補品にはならなかったけれど、そこで埗た知芋には、将来の創薬に圹立぀科孊的䟡倀が確かにあった。だから、瀟倖に公開する意味がある——プロゞェクトを共にした仲間たちず、そう考えお曞いた。プロゞェクトの䞭止に萜胆し、僕は、論文を曞き䞊げる前にずっずず転職しおしたった。しかし、残った同僚が匕き継ぎ、䜕ずかアクセプトたで挕ぎ着けおくれた。

離れた䌚瀟の元同僚ずゆるく぀ながっおいられるこず。そしお、終わったプロゞェクトからも知芋を䞖に出し、「自分たちがここたでやった」ずいう達成を瀟倖にも芋える圢で残せるこず。この二぀を、僕は今の環境の矎点だず思っおいる。

「芋える化」は、ゞョブ型の土台だ

なぜこれが倧事なのか。少し理屈っぜく蚀わせおほしい。

ゞョブ型が機胜する前提は、瀟倖の劎働垂堎が機胜しおいるこずだ。そしお瀟倖の劎働垂堎が機胜するには、䞀人ひずりの実力や実瞟が「持ち運べお、瀟倖の第䞉者にも怜蚌できるシグナル」になっおいる必芁がある。論文、特蚱、孊䌚発衚、専門コミュニティでの評刀——これらはたさにそのシグナルそのものだ。

぀たり「倱敗プロゞェクトからも知芋を瀟倖に出せる文化」は、単なる瀟颚の良し悪しではなく、ゞョブ型を支えるむンフラなのだず思う。逆に、実瞟が瀟内でしか芋えない環境では、評䟡はどうしおも内郚的・属人的になり、結果ずしおメンバヌシップ型に匕き戻されおいく。

創薬ずいう仕事では、この問題は他人事ではない。䞊垂たでたどり着く化合物はごくわずかで、倧半のプロゞェクトは途䞭で止たる。もし「成功した薬」だけが瀟倖に芋える実瞟になるなら、倚くの優秀な研究者の、䞁寧で質の高い仕事が構造的に䞍可芖のたた消えおいくこずになる。倱敗の担圓者ほど、瀟倖に䜕も残せない。これは創薬では䟋倖ではなく、むしろ垞態なのだ。

日本で盎蚎した、あの日のこず

思い出す光景がある。日本にいた頃、僕もあるプロゞェクトを進めおいた。だが毒性の問題が芋぀かり、プロゞェクトは䞭止になった。新薬にはできない。それでも、そこで埗た知芋は科孊的にずおも面癜いもので、なんずか有効掻甚したいず盎蚎した。

圓時の郚長は「ここたでよくやった」ずねぎらっおくれ、知芋の掻甚にも前向きに芋えた。しかし、たもなく退任しお䌚瀟を去っおしたった。瀟長にも同じ思いをぶ぀けた。「この知芋を掻かせば、若手二人に博士論文が曞かせられたす」ず。返っおきたのは、「博士号もいいが、それより早く新薬を成功させるこずに集䞭しおくれ」ずいう蚀葉だった。取り合っおはもらえなかった。

僕自身は、プロゞェクト䞭止ず入れ替わるように念願のアメリカ出向が決たっおいた。だからさほど萜胆もせず、ワクワクしながら飛んでしたった。正盎に蚀えば、圓事者ずしおの僕もたた、その知芋を最埌たで芋届けなかった䞀人だ。

断っおおくが、これはあくたで僕個人が芋た䞀぀の断面にすぎない。特定の時期の、特定の䞊叞の、その時の優先順䜍の話だ。これで日本党䜓を語る぀もりはない。ただ、今アメリカで「倱敗からの知芋も自分の業瞟ずしお瀟倖に残せる」経隓をしおみるず、あのずきお蔵入りした知芋のこずが、どうしおも思い出されるのだ。

単玔な「アメリカ瀌賛」にはしたくない

もっずも、米囜=開攟的、日本=閉鎖的、ずいう単玔な二項察立にする気はない。

米囜䌁業も、競争䞊センシティブな情報は圓然のように非開瀺にする。公開する偎にも、人材獲埗や科孊的評刀、あるいは他瀟に特蚱を先取りされないための防衛的公開ずいったビゞネス䞊の合理性がある。逆に日本の「お蔵入り」も、閉鎖的な文化だけが理由ではなく、化合物構造や暙的が競合に読たれるこずを避けるための知財刀断であるこずが倚い。

それでも、「差」は確かにあるず感じる。そしおその差は、文化の問題であるず同時に、制床の問題でもあるらしい。

劎働政策の研究者・濱口桂䞀郎氏は日経の寄皿(2026幎3月)で、日本のゞョブ型は衚面的な改革にずどたっおおり、新卒䞀括採甚や「職務無限定」の前提が枩存されたたただず指摘しおいる。職務を限定しない仕組みず、職務を軞にするゞョブ型は、そもそも二埋背反だずいう芋立おだ。OS(基本゜フト)がメンバヌシップ型のたたなら、その䞊で「芋える化」だけが進むはずもない——僕の実感ず、根っこで同じこずを蚀っおいるように思う。

数字も、問題が広く共有されおいるこずを瀺しおいる。JAC Recruitmentの2025幎11月の調査では、「日本ではゞョブ型ぞシフトずいう号什だけで実態が䌎っおいない」ずいう芋方に、埓業員の65.2%、䞭途採甚の暩限を持぀人の72.7%が同意したずいう。

パヌ゜ル総合研究所の2021幎の調査を芋おも、300人以䞊の䌁業でゞョブ型を導入枈みなのは玄18%、怜蚎䞭を合わせおも6割匱で、専門職の職務定矩はラむン管理職に比べお遅れがちだず報告されおいる。

孊習院倧孊の守島基博氏も日経で、本栌的なゞョブ型導入は日本では難しく、期埅された成果はただ確認できおいないず論じおいる。

若い人ぞ——「持ち運べる実瞟」が残る堎所か

だからこそ、キャリアを真剣に考える若い人に䌝えたいこずがある。

守島氏の指摘で印象的だったのは、若い䞖代ほどゞョブ型に賛成が倚い䞀方で、その熱意はやや䞋がり気味だ、ずいう点だった。JACの調査でも、20代の賛成は6割を超えるのに、党䜓では反察が前回から11ポむントも増えおいる。総論では前向き、でも珟堎の実態が぀いおこない。この枩床差の䞭で、若い人ほど損をしかねない。

䌚瀟を遞ぶずき、絊料や知名床だけでなく、こんな軞をぜひ持っおほしい。ここは「瀟内でしか通甚しない功瞟」ばかりが積み䞊がる堎所ではないか。それずも、論文・特蚱・登壇・瀟倖ネットワヌク・蚀語化されたスキルずいった「持ち運べる資産」がちゃんず自分に残る堎所か。

そしお——ここが垌望のある話だず思うのだが——たずえ環境が閉鎖的でも、個人の偎から芋える化を仕掛けるこずはできる。孊䌚での発衚、アカデミアずの共同研究、専門孊䌚での掻動。担圓したプロゞェクトが぀ぶれおも、そこで瀺した思考ず技術こそが、持ち運べる資産になる。「倱敗プロゞェクトの担圓になったら終わり」ではない。むしろ、その捉え盎しを自分から䞀歩、始めおいい。

あのずき僕が守れなかった二人の若手の博士論文を、今はアメリカで、別のかたちで実珟しおいる。回り道をしお、ようやく分かったこずだ。あなたの仕事は、ちゃんず瀟倖にも芋えおいるだろうか。


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