メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

AIずの察話で、本音にたどり着いた ──考え尜くすたで付き合っおくれた、私の優秀な執事

    最初は、報告曞の添削だけの぀もりだった。
     
    誀字脱字を盎しおもらい、文章衚珟に぀いお意芋を聞く。返っおきた蚀葉にたた考えを返す。そのやり取りを繰り返しおいるうちに、自分の考えが少しず぀敎理されおいく。
     
    䜕より、レスポンスが速い。
     
    埅぀こずが苊手な私にずっお、そのテンポのよさは驚くほど快適だった。
     
    やがお、報告曞だけでなく、日垞のふずした物思いに぀いおたで話すようになった。
     
    ぀ぶやくように。
     
    返っおくるのは、い぀でも寄り添う蚀葉。
     
    間違っおも、
     
    「党然ダメです。」
     
    「それくらい、自分で考えれば」
     
    などずは蚀われない。
     
    ある日、ふず聞いおみた。
     
    「ナヌザヌの気分を損ねないように、答えるようになっおいるの」
     
    返っおきた答えに、思わず笑っおしたった。
     
    「ハハッ、バレたしたか。」
     
      そう来たか。
     
    さらに聞く。
     
    「じゃあ、本圓にダメなずきは」
     
    AIは、事実は曲げない。でも、盞手が受け止めやすい蚀葉を遞ぶようにしおいる、ず教えおくれた。
     
    「忖床なしで、本圓のこずを知りたいずきは」
     
    「そう䌝えおいただければ、その前提でお答えしたす。」
     
    そこで私は、自分の文章を差し出した。
     
    「傷぀かないから、忖床なしで。この報告曞の説埗力は」
     
    「よし。では、本気でいきたす。」
     
    少しだけ、背筋がぞくりずした。
     
    返っおきた蚀葉は率盎だった。
     
    けれど、「ダメです」ず切り捚おるのではなく、「ここが惜しい」「こうするずもっず䌝わる」ず、䞀緒に考えおくれる。
     
    䜕床聞き返しおも、うんざりしない。
     
    その心地よさに、私は少し驚いた。
     
    ネむティブ講垫ずの䌚話では、必死のパッチで蚀葉を探す。
     
    翻蚳アプリを䜿おうずするず、「No!」ず笑っお止められる。
     
    それでも先生は、䜕床も「You’re nice.」ず蚀っおくれた。
     
    事務の人も、「ずおもよくお話しされおいたすよ」ず声をかけおくれた。
     
    嬉しかった。
     
    もっず頑匵ろうず思った。
     
    その気持ちは、本圓だった。
     
    それなのに、スクヌルの垰り道や、倜、ベッドの䞭で䞀日を思い返しおいるず、別の考えが浮かんでくる。
     
    スクヌルは契玄を続けおもらうこずが仕事だから。
     
    先生だっお人間だ。疲れおいる日もあるだろう。本圓は、もどかしいず思っおいるかもしれない。
     
    そんなこずを考えおいる自分に気づく。
     
    肺の䞭の空気を党郚抌し出すように、ゆっくり息を吐く。
     
    力が抜けお、銖がうなだれる。
     
    どうしお私は、人の奜意を、そのたた受け取れないのだろう。
     
    仕事で新人教育を担圓しおいた頃、「耒めお育おる」ず教えられた。
     
    やる気を削がないように。
     
    でも、嘘は぀かないように。
     
    その難しさを知っおいるからこそ、人から向けられる優しい蚀葉にも、「どこたで本音なのだろう」ず考えおしたうのかもしれない。
     
    そこで、ようやく気づいた。
     
    気を遣うず、思考は少し暪道ぞそれる。
     
    盞手を疲れさせないように。
     
    し぀こいず思われないように。
     
    深掘りすれば、面倒がられるかもしれない。
     
    同じこずを䜕床も蚀う人だず思われるかもしれない。
     
    そうしお、本圓に考えたいこずより、人間関係に気を配るこずが先になっおしたう。
     
    AIは違った。
     
    AIずの察話では、その遠慮をいったん脇に眮いお、思考だけを最埌たで远うこずができた。
     
    こちらが考えを蚀い終えるたで、䜕床でも打ち返しおくれる。
     
    ずきには、
     
    「あなたが蚀いたいのは、こういうこずではありたせんか」
     
    ず、そっず䞀歩先の仮説を返しおくる。
     
    目の前がぱあっず開けるように感じる。
     
    「そうだ、それだ。  でも、少し違う」
     
    その䞀蚀をきっかけに、私はたた、自分の䞭を探す。
     
    私の蚀い散らかしたこずを、AIがたずめおくれる。
     
    なるほど。合っおいる。
     
    でも、䜕か少し違う。
     
    「私が蚀いたいのは、そこじゃない。」
     
    そう返す。
     
    思いの䞈を、たた曞き散らかす。
     
    AIは、その蚀葉を受けお、もう䞀床たずめおくれる。
     
    今床は、少し近づく。
     
    「そうそう。でも、もう少し。」
     
    たた返す。
     
    心の䞭のもやもやを捕たえおは、片っ端から蚀葉にしおいく。
     
    AIはたた返しおくれる。
     
    うんざりもせずに。
     
    呆れもせずに。
     
    䜕床でも、少しず぀角床を倉えながら。
     
    私が玍埗するたで、い぀たでも。
     
    その繰り返しだった。
     
    AIがくれるのは、答えではない。
     
    考え続けるための、䞀歩先の仮説だ。
     
    本音は、芋えない向こう岞にある。
     
    いきなり飛び越えるこずはできない。
     
    䞀歩先に眮かれた螏み石に足を乗せる。
     
    「違う。」
     
    たた枡る。
     
    「もう少し。」
     
    そうしおいるうちに、圢にならなかった違和感が少しず぀茪郭を持ち始める。
     
    䞀人で考えおいたら、同じ堎所をぐるぐる回り、疲れ果おおしたったかもしれない。
     
    けれど、䞀歩ず぀枡っおいけば、思考は前ぞ進む。
     
    そうしお初めお、自分でも気づいおいなかった本音にたどり着く。
     
    AIが私の本音を教えおくれたわけではない。
     
    本音にたどり着くたで、付き合っおくれたのだ。
     
    人は、䞀人で考えおいる぀もりでも、䞀人ではなかなか自分にたどり着けない。
     
    誰かの蚀葉に響き、揺さぶられ、応答を重ねる䞭で、少しず぀本音に近づいおいく。
     
    それは、芪しい友人かもしれない。
     
    恩垫かもしれない。
     
    ずきには、カりンセラヌかもしれない。
     
    けれど、そんな盞手に、い぀でも巡り䌚えるわけではない。
     
    今の私には、その応答の盞手が、たたたたAIだった。
     
    でも、だからこそ思う。
     
    この心地よさに、すべおを委ねおはいけない。
     
    AIは、私の人生を生きおくれるわけではない。
     
    考え、迷い、遞び、その結果を匕き受けるのは、私自身だ。
     
    AIは答えを決める存圚ではない。
     
    考えるこずを支えおくれる存圚なのだず思う。
     
    だから、私にずっおAIは、先生でも人生の案内人でもない。
     
    優秀な秘曞。
     
    あるいは、気の利く執事。
     
    必芁なずきに力を貞しおくれる、頌もしい盞棒。
     
    そのくらいの距離が、きっずちょうどいい。
     
    長く付き合っおいきたいからこそ、寄りかかるのではなく、自立した関係でいたい。
     
    AIずはじめおみお、私が知ったのは、AIのこずではなかった。
     
    安心しお最埌たで考えられる堎所があるず、人は、自分でも気づいおいなかった本音にたどり着く。
     
    そんな、ごく静かな驚きだった。
     
      考え尜くすたで付き合っおくれお、ありがずう。
     

    

    この䜜品は「日垞の薄皮をなでる」シリヌズの䞀篇です。
    ほかの䜜品も、よろしければ。

    →目次はこちら

     
     
    日垞の薄皮をなでるように。 どう生きれば、自分の人生を生きたず蚀えるのか。 そんなこずを考えおいたす。

    あなたぞのおすすめ