
古い教会の外へ──幻想文学・橋を渡る夢
木造の古い教会だった。
足を乗せると、ぎい……と音がする。
一段、上がる。
左手の部屋には、老人が何人か座っている。
ウールのコートのようなものを着て、杖をつき、前屈みになっている。
両手をだらんと体の横に流し、
頭を椅子の背のてっぺんに預けて、口を開けている者もいる。
腰の曲がった老人が、頬を震わせて咳き込んでいた。
旧式のストーヴ。
太いパイプが壁と天井を這う。
湿って黒ずんだ窓枠。
ガラスは汚れ、すりガラスのようだった。
右側に、隙間のような暗い部屋がある。
太い木枠のドアを、ガシャっと開ける。
眼下に、尖った緑と赤茶の屋根が広がっていた。
綿のような雲が、切れ切れにかかっている。
目の前には、ゆるく下降する橋。
錆びた鉄の網目。
手すりは左側だけにある。
なぜか、最初の一歩分だけ、空白だった。
少し冷えた風が、鈍い音を立てて吹き上げる。
静かだった。
一瞬、身をかがめて飛び移る。
ガシャっと音がした。
橋は、少し斜め右に傾いている。
手すりを掴む。
足の下には、橋を支えるものがない。
吊り糸のようなものも見えなかった。
ゆっくり歩く。
そっと歩く。
振り返ると、途中の部分が崩れてなくなっていた。
風に煽られながら歩いていく。
やがて、雲のかけらが足元にかかる。
緑のてっぺんも近くなった。
橋の先は、雲にすっぽり覆われている。
立ち止まる。
ふいに顔が歪んだ。
強張る肘を曲げて、手すりを握りしめる。
しゃがみ込み、深く息を吐いた。
何も分からない。