
風と共に去りぬ⑤整えないと立てない私――メラニーという壁の前で
粗末な家だった。
私はそこに立つことができなかった。
けれど、メラニーは違った。
彼女はその家を誇っていた。
無理をしているようには見えない。
ただ、そこにいるだけで、
揺れていなかった。
彼女は、
何も持たなくても立っていられる人だった。
その部屋にいると、
自分の足場が少し曖昧になる。
どこに立てばいいのか、
わからなくなる。
外に出ると、元に戻る。
整えられた空間。
選ばれたもの。
それらに囲まれていると、
ようやく自分の形を保てる気がした。
人を家に招くとき、
皿を選び、
菓子を選ぶ。
手は迷わない。
けれど、その奥で、
何かを差し出している感覚がある。
どこかで、
合格点をもらいにいくような。
本当は違うと分かっている。
それでも、
そこにいたいと思う。
受け入れたいし、
受け入れられたい。
何も言わずに立っている人がいる。
揺れていない。
その人のそばにいると、
少しだけ息ができた。
メラニーを見ていると、思う。
息ができる場所は、
与えられるものではないのかもしれない。
最初から持っている人がいるように見えても、
本当は違うのかもしれない。
同じ場所に立ち続けること。
離れずにいること。
その中で、
少しずつ作られていくもの。
私は、まだそれを知らない。
けれど、
知りたいと思う。
何も持たなくても、
崩れない場所を。
それがどこかにあると、
信じている。
*本編では、メラニーという存在の強さを考えた。
これは、その外側で揺れる側の話。