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Photo byvoice_miwa0401

夫を看取った医師がくれた「生きるための言葉」

    ⚠この記事は、センシティブな内容となっています。
    お許しくださる方にお読みいただければ…と思います。
    もし途中で苦しくなったりしたら、すぐに閉じてくださいね。




    目の前で夫は眠っている。


    もう起き上がることはないと、わかってはいるけど、
    とてもそんな風には見えない。

    今まで、こんなにも穏やかな表情を、
    わたしに見せたことがあっただろうか。


    葬儀場で眠る夫の顔が、こんなにも安らかだったワケを、
    わたしは後に知ることとなる。



    夫は自死だったため、事後の用事が多かった。
    その一つに、検死をしてくれた医者のところへ、
    「死体検案書」というものを取りに行くこと、があった。

    日中は、通常の診察をしているクリニック。
    その合間を縫って、対応してくれる。

    診察室に通されて、患者と同じイスに座っていると、
    女性の医師が現れた。
    当時のわたしより少し若い印象だったけど、
    とても落ち着いた雰囲気を醸し出していた。



    医師の説明は、検案書に全て書いてある。

    それを、一つずつゆっくり、丁寧に解説される。


    最後まで読み切ったその医師は、
    わたしに、とても優しい口調で、

    「大変でしたね、でも一つだけお伝えしたいことがあるんです」

    「通常、こういう亡くなり方をした場合、
    お顔が苦しそうになるものなんです。
    ところが、ご主人は、
    とても穏やかなお顔をされていました。
    おそらく苦痛はなかったはずです。」

    そう言われた瞬間、せき止めていた水が一気に溢れた。

    静かな診察室の、その医師の前で、
    わたしは、声を抑えて泣いた。


    ”あぁ、よかった。
    苦しまなかったのなら、それだけでいい。
    生きるのが苦しくて、あぁするしかなかった人だから。”


    そんなわたしの肩に、
    そっと、手を添えてくれた先生。

    驚いたでしょう
    辛いでしょう
    これから大変ね
    自分を責めないでね

    そんな言葉が、その手に溢れているようだった。



     あの医師が、わたしに「どうしても伝えたい」
    そう言って、寄り添うように語ってくれた、
    わたしが知らない夫の最期。

    あの医師はそれを話す前に、
    聞くか?聞かないか?の選択を、
    わたしに求めなかった。

    それくらい「どうしても伝えておきたい」
    と思ってくれたのだろう。


    それを知っているのと、
    知らないままこの先を生きる、のとでは、
    わたしの生きる力に、大きな違いをもたらすことを、
    あの医師は知っていたのだと思う。

    病気を診るのも医者。
    亡くなった人を見るのも医者。

    どんな患者に対しても、
    思いやりの手が添えられるといいな。


    最後までお読みいただき、ありがとうございます。
    お気持ちがざわついてしまった方は、
    どうぞ、深呼吸してみてくださいね。


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