ショーショート|これは一体なんですか??~What is this??
考古学会で、学長と共に、古代日本文化について発表した帰り道のこと。私たちは、異様な雰囲気を漂わせている「それ」に遭遇した。
学長は興奮を隠せない様子だったが、私の本能は激しい警報を鳴らしていた。彼は、「それ」を指さしながら言った。
「これを見たまえ。いったいなんだと思うかね?」
「わからないです」
「ちょっと、触ってみてくれないか」
「イヤです。だって、危険じゃないですか」
「なんだか”つちのこ”にも見えるよね。つま先で、ちょんと蹴ってごらんよ」
「かわいそうですって」
「生きてるのだろうか? 呼吸を確かめてくれないか。ほら、顔を近づけて」
「怖いですよ」
「もしかしたら、新種の生物の可能性だってあるよね」
「あぶないです!」
「持ち帰ることにしよう。きみ、ハンカチで包んで!」
「えっ、この生物を? そっとしておきましょうよ」
「さっと、ポケットに入れてしまえばいいじゃないか?」
「ダメです。触れるべきではありません。未知の生物はそっとしておくものだと思います」
「なるほど。人間が手を触れるべきではない神聖な領域だというんだね? たしかに、それが自然の在り方かもしれないが」
「そのとおりです」
「…まさかとは思うが、これウンコじゃないよね?」
「嗅いでみます?」
「いや、そっとしておこう」
私の中で鳴り響いていた警報が、止まった。
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