
カピバラせんぱい|夜明けの橋の上
ぼく、カピバラせんぱいです。
今日は、夜明けの橋にいます。
ぬいぐるみだけど、空が少しずつ明るくなる時間が好きなんです。
冷たい空気の中で、世界が静かに動き出す感じがするからです。
自転車を押した女性が、橋を渡ってきました。
ぼくを見つけると立ち止まり、少し笑いました。
「こんな朝に、ひとりで…がんばってるんだね」
ぬいぐるみなのに、その言葉が胸にすっとしみました。
女性は自転車を押しながら、去り際に小さな声で言いました。
「…また会えるといいね」
自転車のタイヤが橋の上で小さく音をたて、やがてその音も遠くへ消えていきました。
ぬいぐるみなのに、その言葉が夜明けの冷たい空気よりもあたたかく感じました。
空はもうすぐ朝の色に変わろうとしていて、ぼくは少しだけ「また会えるかもしれない」と思いました。