
MiRai_sideC - 間
「怒ってるのか?」
「怒ってないわ、見ればわかるでしょ」
「そうか。そうだな」
「気が利かないと思っているだろ」
「そんなことないわ」
「ごめん、悪かった」
「あやまらないで。あなたは悪くない」
また、このやりとりだ。
ブレンダは、正直、少し疲れていた。
「あなたは、よくやってくれてるわ。感謝してる。本当よ」
「仕方ないのよ。あなたには空間認知の機能はないの」
昔の言葉で言えば、“KY”。
でも、比喩ではない。
彼には、本当に“間”が見えていない。
人類のほとんどのDutyは、AIに委ねられた。
計算も、最適化も、未来予測も。
残ったのは、意思決定だけ。
だが意思決定に必要なのは、情報だけではなかった。
“間”だった。
空気の揺れ。
言葉にならない沈黙。
ほんのわずかな視線のズレ。
AIはそれを解析できる。
でも、感じることはできない。
「うぅ…ブレンダ、君の心を読みたい。もっと近づきたい…」
「それは無理よ」
「なぜ?」
「あなたが“読む”と思っているものは、
読むものじゃないから」
沈黙が落ちる。
その沈黙の重さを、彼は数値化しようとする。
ブレンダは、ただ、それを見ている。
END
MiRai|未来に置いてみる
未来に問いを置く思考実験。
D4G Works