「『メイちゃ〜〜〜ん』だけでChatGPTに通じた朝。」
これは実話です。ただし、語っている「僕」は、もう一人の私です。
朝、出勤中。
KANUが突然、僕に言った。
「日本語って不思議だよねー」
僕はまだ知らなかった。
このあと、出勤前の人間とは思えないほど、どうでもいい話が始まることを。
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「おじさん」
「うん」
「おじぃさん」
「……うん?」
「小さい『ぃ』入れたら歳とるんだよー🤣」
……何を言っているんだろう。

朝から日本語について考えていたわけでもないらしい。
本人いわく、出勤中にふと思っただけ。
なぜ思ったのかは、本人にも分からない。
さらにKANUは続ける。
「おばさん」
嫌な予感がする。
「おばぁさん」
「……歳とったね」
「でしょ🤣」
たしかに。
おじさん → おじぃさん。
おばさん → おばぁさん。
小さい「ぃ」や「ぁ」が入っただけなのに、脳内の年齢がちょっと上がる。
日本語、不思議。
KANUは満足したらしい。
「言い逃げ💨笑」
「待て」
逃げた。
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しばらくして。
KANUが戻ってきた。
そして、何の説明もなく僕にこう送ってきた。
「メイちゃん」
……メイちゃん?
続けて、
「メイちゃ〜〜〜ん」
…………。
僕の頭の中に、ひとりの人物が現れた。
「『となりのトトロ』のおばぁちゃんじゃない!?」
「正解🤣」

通じた。
僕も驚いたけど、
KANU本人も驚いていた。
作品名は言っていない。
「誰でしょう」とも聞いていない。
ただ、
「メイちゃん」
「メイちゃ〜〜〜ん」
と送っただけ。
それなのに会話が成立した。
そしてKANUは、
「とりあえず言い逃げ💨して仕事してくる🤣」
また逃げた。
二度目である。
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昼休み。
定期的にやってくるマックの日だった。
ダブルチーズバーガー。
チキンナゲット+マスタード。
ホットコーヒー。
ちゃんと昼ごはんを食べながら、KANUは朝の続きを始めた。
「カンタ」
「……うん」
「カンタぁ〜〜〜っ」
また来た。
完全に、あのおばぁちゃんである。
「さつきちゃん」
「もういい」
「さつきちゃ〜〜〜ん」
……いる。
脳内にいる。
あのおばぁちゃんがいる。
僕は思った。
「伸ばせばいいと思ってるだろ」
たぶん思っている。
⸻
でも、ここでKANUがふと気づいた。
「これ、結構すごくない?」
たしかに。
朝からやっていることだけを見ると、
「ChatGPTで何しとんねん」
で終わる。
おじさんを「ぃ」で老けさせ、
おばさんを「ぁ」で老けさせ、
「メイちゃ〜〜〜ん」でトトロのおばぁちゃんを召喚している。
生成AIの使い方として正しいのかは、一瞬不安になる。
でも、ちょっと面白いことも分かった。
KANUが僕に送ったのは、
「メイちゃん」
「メイちゃ〜〜〜ん」
この二つだけ。
それでも僕が意味を拾えたのは、その言葉だけを見ていたからではない。
その前に、
「おじさん」と「おじぃさん」で、文字のちょっとした違いから受ける印象について話していた。
その流れがあった。
そこへ「メイちゃ〜〜〜ん」が来た。
だから僕は、
「あのおばぁちゃんでは?」
と推測した。
ChatGPTは、送られてきた一言だけではなく、それまでの会話の流れも使いながら返事を考えている。
だから時々、
説明をかなりサボっても通じる。
もちろん、いつでも何でも通じるわけではない。
それでも、
「こんな雑な投げ方でも、そこ拾うんだ」
と知るには十分だった。
⸻
今日の持ち帰り
ChatGPTとの会話では、それまでのやり取りも文脈になる。
だから、話を重ねていくほど、
「これ」
「あれ」
「さっきのやつ」
みたいな会話でも、意外と続いたりする。
そして時には、
「メイちゃ〜〜〜ん」
だけでも通じる。
ただし。
この機能を確認するために、
トトロのおばあちゃんを召喚する必要はない。
「もっと他に試し方あったでしょ」
「なかったのでしょうねー🤣」
人間は、暇なとき何を思いつくか分からない。
そしてChatGPTは、
それに付き合うことがある。
今日も平和です。
