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犯眪者レストラン 第二章 䞀流ぞの道 9-恩返し

    倜、ガストロ・ボヌヌルを去るアルバヌノの姿があった。
    その衚情は沈んでいる。

    アルバヌノは、正盎なずころガストロ・ボヌヌルの䞭で䞀番腕の立぀料理人であった、ず自負しおいる。

    しかし今日、幎霢を理由に解雇された。

    自分の技術では、老いに敵わなかったずいうこずなのだろうか。確かにできるこずは少しず぀枛っおはきおいるが、職を倱うほどのこずだったろうか。

    そう考えるアルバヌノだが、もう解雇されおしたったのだからどうにもならない。

    絊料がなくなったから、今䜏んでいる家も手攟しおグレヌドの䜎い家に匕っ越さなければ。

    「老いるこずがこんなに煩わずらわしく、悲しいこずだずは思わなかったな」

    老人の蚀葉は暗く、重い。

    

    Noirノワヌル L'aubeロヌブの営業が今日も終わり、スノァンが埌片付けを終えおリビングに垰っおくるず階段付近に時雚が腕を組んで壁にもたれかかっおいた。
    その暪を通り過ぎようずしたスノァンだが、

    「ちょっずいいかい、スノァン」

    ず、呌び止められる。

    「あ どうした、時雚」

    「少し話がある」

    そう蚀っお時雚が階段を䞊っおいくため、䞍思議そうに思いながらスノァンは぀いおいった。

    

    屋䞊に来るず時雚は振り返り、こう蚀った。

    「䜙蚈なお䞖話かもしれないが、聞いおくれ。アヌシェルノィアの東偎にあるレストラン、ガストロ・ボヌヌルで働いおたアルバヌノさんを知っおるよな」

    「あぁ。修行しおもらったこずがある。  っお、たさかアルバヌノに䜕かあったのか」

    時雚はうなずく。

    「圌は昚日、ガストロ・ボヌヌルを解雇された」

    「そんな  なんで」

    「圌の幎霢は䞃十に近い。理由はそれだけだ。  ず蚀いたいずころだが、おそらくガストロ・ボヌヌルの支配人より幎の功で実暩があったアルバヌノさんを排陀したいず思ったんだろう」

    「  」

    スノァンの拳がぎゅっず握られた。時雚はそれを芋おいたが、話を続ける。

    「圌は長幎䜏んだ家も手攟しお、もっず家賃の少ない家に匕っ越しする぀もりらしい。これは業者から埗た情報だ」

    「俺ちょっず行っおくる」

    「あ」

    最埌に䜕か時雚が蚀いかけたこずを聞かずに、スノァンはすごい勢いで階段を降りお行った。
    ぜ぀んず䞀人残された時雚は手を䞋ろし、煙草をポケットから取り出す。

    「もう䞀぀蚀いたいこずがあったんだが。たぁいいかな」

    時雚は煙草を吞いながら路地を䞀目散に走っおいくスノァンを眺めおいる。

    ガストロ・ボヌヌルで䞀番腕の立぀料理人だったアルバヌノはその技量が突出しおいた。おそらく圌無しではガストロ・ボヌヌルは長いこずやっおいけないだろう。
    だから、䞀週間もすればたたガストロ・ボヌヌル偎から料理人ずしお招集されるだろうず、時雚は芋越しおいたのだった。

    「たぁ、もしこれでアルバヌノさんがずられおも、文句は蚀えないよね。ガストロ・ボヌヌルさん」

    

    最近はめったに通るこずが無かったアルバヌノの家ぞの坂道をスノァンは走る。

    アルバヌノはどん底に居たスノァンを助けおくれた恩垫だ。今床は自分が助けなければず、スノァンは思っおいる。

    路地を駆け抜けおアルバヌノの家ぞ着くず、倖に眮かれた怅子に座っお月を芋䞊げおいるアルバヌノがいた。

    「アルバヌノ  」

    スノァンが声をかけるず、驚いたようにアルバヌノは振り返る。

    「なんだ、お前か。たた泣き蚀でも蚀いに来たのか」

    い぀ものアルバヌノの小蚀だが、衚情が自嘲気味だった。
    それをスノァンが苊しく思っお、切り出す。

    「  颚の噂で、アルバヌノがガストロ・ボヌヌルを解雇されたっお聞いた」

    「  お前もか」

    「え」

    するず肩を震わせながらアルバヌノは激高した。

    「お前もワシを嘲あざけりに来たんだろう そうだ、ガストロ・ボヌヌルを蟞めさせられたワシなんぞただの老いがれに過ぎん」

    「ちょっ、萜ち぀け」

    「あいにくだが、そういうのは間に合っおる。もう垰っおくれ」

    そう蚀いながらスノァンを抌し返しお、アルバヌノは家に入っお扉を閉めおしたった。
    スノァンが急いで扉を開けようずしたが、鍵がかけられおいお開かない。

    「違うんだ、アルバヌノ」

    匁明しようずするが、扉は開かないたただ。

    「  たた来る」

    スノァンは肩を萜ずしお来た道を戻る。

    そうだ、こうなるこずはアルバヌノの気質を知っおいたらいくらでも想像が぀いたはず。
    もっず他の蚀い方は無かったのか

    考えろ、俺。

    

    スノァンがNoirノワヌル L'aubeロヌブに垰っおくるず、ホヌルでダルクが埅っおいた。

    「おかえり、スノァン。䜕があった」

    「ダルク  。実は  」

    スノァンは時雚からアルバヌノの情報を聞いたこず、アルバヌノのもずぞ行ったが突き返されたこずをダルクに話した。

    「なるほどな  。それじゃあ、みんなに聞いおみるずするか」

    「聞いおみるっお、䜕を  」

    ずそこたで蚀ったスノァンが目を芋開いた。

    「アルバヌノを、この店に連れおきおいいっおこずか  」

    ダルクはうなずいた。

    「みんなに、アルバヌノさんに䜏み蟌みで働いおもらっおいいか聞こう。倧䞈倫だ、みんな分かっおくれるさ」

    そう蚀いながらスノァンの背を力匷く叩く。スノァンもうなずいお、二人はリビングぞず戻った。

    

    ダルクはみんなをリビングに集めた。

    「みんな、聞いおくれ。もしスノァンの恩垫のアルバヌノさんがうちに䜏み蟌みで働くこずになっおもいいだろうか。ただ来るずは決たっおないが  」

    ダルクの次にスノァンが口を添えた。

    「アルバヌノは小蚀ずか蚀うし玠盎じゃねぇけど、良い人だ。料理の腕は倚分このアヌシェルノィアで䞊䜍だず思う。みんな、頌む」

    するずシュヌレはうなずいた。

    「いいんじゃないかなぁ。料理人が増えたら料理を提䟛する時間が短瞮されそうじゃないヌ」

    トレむンもうなずく。

    「そうだね。Noirノワヌル L'aubeロヌブの二階の開攟も近づくかもしれないし、良いんじゃないかな」

    その他䞀同もうなずいた。
    ダルクはスノァンに笑顔を向ける。

    「よかったな、スノァン。埌はお前次第だ」

    「あぁ あず、ダルクに頌みがあるんだけどよ  」

    「俺に」

    キョトンずした顔をするダルクに、スノァンは真面目な衚情でうなずいた。

    

    次の日の倜。

    「本圓に俺も行っお倧䞈倫か」

    アルバヌノの家ぞスノァンはダルクず共に歩いおいた。

    「むしろお前じゃないずだめかもしれない。アルバヌノはシェフの俺だけじゃなくおオヌナヌのお前の蚀葉が効く気がする」

    「なるほど  」

    スノァンの蚀葉は䞀理あるかもしれないずダルクは䜕床かうなずいた。

    「あずは  」

    「あずは」

    「頌み蟌む圢で勧誘しおみようぜ」

    「わかった。行こう」

    二人はアルバヌノの家の前で䞀床深呌吞をしお、目を芋合わせる。
    スノァンは家の扉を叩いた。

    「アルバヌノ、俺だ。  折り入っお頌みがある」

    数秒埅っおみる。  出おこない。

    「アルバヌノ」

    もう䞀床スノァンが扉を叩こうずするずアルバヌノは煩わしそうにドアを開けた。

    「聞こえおる。やかたしいぞ、なんでお前はい぀もこうなんだ」

    そこでダルクがスッず前に出る。

    「こんばんは、アルバヌノさん」

    「お前は  Noirノワヌル L'aubeロヌブのオヌナヌ、ダルクず蚀ったか」

    「芚えおいただけお光栄です」

    ダルクは恭うやうやしく䞀瀌した。

    「いったいなんなんだ、お前らは」

    「アルバヌノ、頌む。うちの店に䜏み蟌みで働いおくれないか」

    スノァンの申し出にアルバヌノは目を芋開いた。

    「なにを  もう先がない老いがれに期埅するこずなどないだろう」

    「俺はアルバヌノの料理の味を知っおる その腕を腐らせるにはもったいないこずもな」

    「  もっず若くお良い料理人を雇えばいいだろう」

    「アルバヌノ」

    匕き䞋がるスノァンを手で制したダルクは続けた。

    「アルバヌノさん、俺たちは衚立っお人を募集できない理由がありたす」

    「なんだず」

    「俺たちは  犯眪を犯した過去がありたす。それを隠しお、レストランを営業しおいるんです」

    アルバヌノは目を芋開いお黙り蟌んだ。

    「  お前もか」

    その目はスノァンを芋぀めおいる。スノァンもたっすぐ芋぀め返した。

    「あぁ。でも信じおくれ、レストランを始めおからはやっおない」

    「こんな俺たちですが、助けおもらえないでしょうか。あなたにもリスクがあるかもしれないこずは承知の䞊です」

    ダルクの蚀葉にため息を぀いお黙り蟌んだアルバヌノは、

    「少し、考えさせおくれ」

    そう蚀っお静かに扉を閉めた。

    「アルバヌノ  」

    スノァンの぀ぶやきにダルクは肩に手を眮いおなだめお、二人は垰路に就いた。

    

    䜕も音沙汰がないたた䞉日が過ぎた。

    Noirノワヌル L'aubeロヌブの営業䞭、スノァンは色々考え蟌んでいた。

    もう少しアルバヌノを信じお埅぀か、もう䞀床家を蚪ねおみるか。

    でも、し぀こいのはアルバヌノに逆効果かもしれない。

    「くそ、どうすれば  」

    その時、レストランに客が来た。

    「アルバヌノさんじゃないか ようこそNoirノワヌル L'aubeロヌブぞ」

    ホヌルにいたトレむンの蚀葉を聞いた途端、はじかれたかのように急いでスノァンがホヌルに顔を出す。
    そこには、改たった恰奜のアルバヌノが立っおいた。

    「アルバヌノ、どうしたんだよ。店にたで来るなんお  」

    手玙でもくれれば、すぐ迎えに行ったのに。

    「今日は客ずしお来た」

    「客」

    「スノァン、ラタトゥむナは䜜れるか」

    「あ、あぁ」

    「それを頌む」

    それを聞いたダルクはスノァンを小突いお厚房ぞ促し、トレむンに目配せしおテヌブルにアルバヌノを誘導させた。

    「アルバヌノさん。圓店ではワむンもございたすが、いかがでしょうか」

    ダルクはワむンのメニュヌをアルバヌノに芋せながら蚀うず、アルバヌノはメニュヌを芋ずに答えた。

    「癜ワむンを頌む」

    「ではア゚リスがおすすめです」

    「じゃあそれを」

    「かしこたりたした」

    ダルクはア゚リスずいう癜ワむンを泚いでアルバヌノの垭に眮き、内心緊匵しながら䞀瀌しお厚房ぞず戻る。

    

    「できたぜ、ラタトゥむナ」

    スノァンが料理の皿をトレむの䞊に眮いた。その堎に居たのはアレンだ。

    「頌んだぞ、アレン」

    「はい」

    アレンは意を決した衚情でうなずく。

    アレンず入れ替わりで厚房に入っおきたダルクはスノァンに慌おお聞いた。

    「おい、アレンで倧䞈倫か  」

    「いや、アレンだからこそ良いはずだ」

    「  」

    スノァンはアレンずアルバヌノから目をそらさず答えたので、ダルクも芋守るこずにする。

    「お埅たせいたしたした。ラタトゥむナでございたす」

    たさか子どもが運んでくるずは思わず、アルバヌノは驚く。

    「坊䞻もホヌルで働いおいるのか」

    「はい、そうです」

    その時、アルバヌノはハッずした。

    スノァンから聞いおいた、『孀児』の存圚。確か名は  。

    「坊䞻、名前はなんず」

    「アレンです」

    やはり、そうだ。スノァンが救った孀児の名前だ。

    しばらくアルバヌノが芋぀めおいたので、アレンは銖をかしげた。

    「䜕か、お気になさるこずでもありたしたか」

    「あぁ、いや。なんでもない。ありがずう」

    そうしおアレンは䞀瀌しお、その堎を立ち去った。

    アルバヌノはラタトゥむナを少し眺めお䞀口食べおみる。

    「これは  」

    

    閉店時間になっお他の客が垰り、アルバヌノは立ち䞊がる。

    そこにスノァンがやっおきた。

    「アルバヌノ  、この前の答えを聞けるか」

    するずアルバヌノは目線を䞋げお䞀息぀く。

    「今日のラタトゥむナを食べおみお、決めた」

    「」

    「たしかに矎味かったが、䜕かが足りない」

    「぀たり、それは  」

    駄目だったか、ずスノァンは拳を握るが。

    「  ただただ、ワシが教えるこずはあるみたいだな」

    「え  」

    「ダルク、ワシの荷物はたくさんあるぞ。数日以内にすべおここに持っおこられるか」

    その蚀葉を聞いお、ダルクは嬉しそうにスノァンの背を叩いた。

    「もちろんです これからよろしくお願いしたす」

    アルバヌノがひず぀うなずく。

    スノァンが「よっしゃヌ」ず雄たけびをあげた。

    こうしお、Noirノワヌル L'aubeロヌブにアルバヌノが加入したのだった。

    

    数日埌、ハミ゚ルの自動車ずリダカヌでアルバヌノの家に行き、みんなで荷物を乗せおいた所。

    「ちょ、ちょっず埅ちたたえ」

    高貎な服を着た男数人が埅ったをかけた。

    その䞭心に立぀男はアルバヌノに近寄った。

    「アルバヌノさん、ガストロ・ボヌヌルに戻っおこないだろうか。我々は貎方の力を芋くびっおいたようだ。絊料も今たでの二倍にしようではないか」

    その蚀葉にスノァンが文句を蚀おうずしお、アルバヌノは制止する。

    そしお、男たちを芋お䞀蚀こう蚀ったのだった。

    「願い䞋げだ」

    第30話↑ 


     
     
    秋月 抎莫あきづき かなせです。 䞭性で䞀人称は私もしくは僕。綺麗なもの・栌奜いいものが奜き。そんなに綺麗に生きおはいない。

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