
【短編小説】あなたのぬくもりがなくても
眠れない、あなたの隣じゃないと。
どこかであなたのぬくもりを感じたい。
匂いも、その寝息も愛おしい。
そんな風に思っていた新婚時代から、五年経った。
寝室を別にしようと言い出したのは、夫の方だった。
でも、夫のいびきに苦言を呈したのは私の方だった。
夜中にお酒を一人で飲んだ後に、片付けをしないところも、
部屋干しの匂いにやたら口うるさいところも、
あらゆる料理にマヨネーズをかけて味を変えてしまうところも、
夫の嫌なところがつい目に入ってしまう。
減点方式。
うん、私は今それをしている。
嫌なところを見つけている。
私だって、
濡れたタオルをそのまま洗濯機の中に入れるところも、
調味料のふたがいつもちょっと開いているところも、
雨の日に長靴を絶対しまわないところも、
嫌なところがいっぱいある。
明日は、夫のいいところを三つ見つけよう。
せめて、一つかな。
あなたのいないベッドも悪くない。
だって毎朝、あなたに会えることが当たり前だと思っているから。