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となりのトップランカー #58 | 「今日はあなたを選んでよかった」


    日々いろんな方がいらっしゃり、
    いろんな方と言葉を交わします。

    言われて傷つく言葉のほうが多いというのが
    正直なところですが、
    嬉しい言葉も、ちゃんとあります。

    この仕事を始めてから、
    今までに何度もいただいてきた言葉です。
    けれど、改めて振り返ってみても

    「やっぱり、この一言が
    一番嬉しかったかもしれない」

    とあたたかい気持ちが込み上げてきたので、
    大切に書き留めておきたいと思いました。

    「今日はあなたを選んでよかった」

    ご新規様に言われることが多い言葉です。
    それも、フリーでいらしたお客様。

    特に目当ての女の子もおらず、
    受付のスタッフさんに勧められるままに選び、
    たまたま待機していた私が呼ばれたようなとき。

    年配の方が多い気もします。
    月に一度来るか来ないかの方が、
    話の合いにくい若い女の子よりも
    私を選んでくださる。

    身体の快感よりも、
    心の安寧を求めていらっしゃるように感じます。

    ただ女性の身体にそっと指を這わせて、
    たまに唇を寄せて、
    愛おしむように口づける。

    「歳を重ねて男の役目が果たせなくなっても、
    それは本能なんだ」

    と、またある方は言っていました。

    最後まで果たせなくても、ただ男と女として、
    ほんのひととき交わることで満たされる心が、
    男性にはあるのでしょうね。

    その心はとても繊細で、
    単純なプレイや技術だけで癒すことができない分、
    とても難しく、気を遣うところでもあります。

    (この方が求めているものは、何だろう?)

    そんなことを考えながら、
    心の目でお客様を観察します。

    私は自分が愛撫を受けている間も、
    なるべくお客様の肌に触れるようにしています。

    恥ずかしいので片手で顔を隠しながら、
    もう片方の手でお客様の腕や肩、
    手や脚に触れて、その方の肌を感じます。
    決して一方的な時間ではないことが
    伝わるといいなと思いながら。

    私はおしゃべりが得意なほうではないので、
    軽快なトークでお客様を
    楽しませることはできません。

    けれど、流れる空気や「間」を
    大切にしてくださる方とは、
    とても波長が合うようです。

    「声がいいね」と言っていただけることも嬉しいです。
    高すぎず、低すぎず、落ち着くのだそう。

    「抱き合っているだけで落ち着くよ」
    「こうしているだけで十分だよ」

    若い方のその言葉は、
    ときにその場しのぎの嘘であることも多いのですが、
    年配の方にとっては、きっと本心なのだと思います。

    いえ、もしかしたら、
    本当はみんなそう願っているのかもしれませんね。
    結果として、本能の衝動が勝ってしまうだけで。

    なんとなく時間があって、
    なんとなく誰かと話したくて、
    なんとなく疲れていて、
    なんとなく誰かに癒やしてほしくて。

    そんな、雲を掴むような淡い願いを灯した気持ちで
    お店を訪れて、 私と過ごした時間のあとに、

    「今日はあなたを選んでよかった」

    と笑って言っていただけたら。

    なんだか自分がとても誇らしいことをしたような、
    大袈裟かもしれませんが、
    そんなあたたかい気持ちになるのです。

    たとえ短い時間でも、
    次に繋がる指名にならなかったとしても、
    そのときばかりは、そんなことは関係なくて。

    そう言ってもらえた自分を、
    素直に誇らしく思えるような、
    本当に素敵な言葉をいただきました。

    理不尽で困ってしまうような出来事も
    たくさんありますが、
    そんなものが霞んでしまうくらい、
    心に残る出会いもあります。

    誰が何と言おうと、
    私はあの場所で懸命に生きていた自分を、
    ちゃんと認めてあげたい。

    ひとつひとつの巡り合わせに、
    心から感謝しています。

    2026年9月30日
    KANA


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    きっとあの時いらしたお客様は、
    何気なく口にしたその言葉が私を救っただなんて、
    思ってもいないでしょう。

    私はもちろん、すぐに
    「ありがとうございます」とお応えしましたが、
    救われた重さの分までは、届いていないと思います。

    あの言葉がじんわりと私の胸を温めたのは
    少し時間が経ってからのことで、
    そのころにはすでにお客様と別れた後でしたから。

    言葉は人を傷つける凶器にもなりますが、
    今回のように、冷え切った心を温めるのも
    また人の言葉です。

    「お客様からつけられた傷は、
    別のお客様にしか癒せない」

    それはこの世界に身を置いて痛感した事実であり、
    不思議なことに、嫌なお客様に遭遇したあとには、
    まるで救いのようにあたたかいお客様が
    扉を開けてくださるのです。

     
     
    36歳未経験から、副業として2年半で総売上1,000万円を達成した元トップランカー👑 「最高のサービスタイムはキャストお客様、二人で創り上げるもの」 信念と成長、再生を綴るオートフィクション✍️ 【全100話連載 毎週水・日曜日21時更新】 (有料記事 累計230回超購入/感謝)

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