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となりのトップランカー #39 | 2年目の迷いと決断


    実は2024年の年末ごろ、
    私の中で密かに抱えていた悩みがありました。
    それは、現場で働くキャストなら誰もが一度は
    頭をよぎるであろう問いでした。


    「このまま、今のお店でいいのだろうか?」


    何かお店と決定的なトラブルが
    あったわけではありません。
    きっかけは2024年12月初旬、
    思うようにお客様がつかず、
    待機時間が長く続いてしまったことでした。
    その時間の中で、
    唐突に激しい不安と焦りに襲われたのです。


    トップランカーの苦悩


    風俗における待機時間というのは、
    想像以上に神経を削られます。

    個室待機ではあるものの、
    狭い部屋で2時間も3時間も
    じっと一人で待たされていると、
    思考はどんどんネガティブな方へ落ちていきます。


    (今日はもう、お客様はつかないんじゃないか……)
    (これ以上ここに居続けても、
     時間を無駄にするだけなんじゃないか……)


    当時の月別のお客様数を見返してみても、
    12月は前月の11月より10人も少なく、
    出勤日数が少なかった9月より3人も少ない
    結果となっていました。

    2024年月別内訳
    (本指名=本 新規=新 /出勤日数)
    1月  17人(本6人、新11人  /10日)
    2月  17人(本13人、新4人  /8日)
    3月  38人(本17人、新21人  /10日)
    4月  30人(本12人、新18人  /13日)
    5月  28人(本12人、新16人  /12日)
    6月  28人(本11人、新17人  /11日)
    7月  40人(本14人、新26人  /12日)
    8月  39人(本17人、新22人  /12日)
    9月  34人(本21人、新13人  /10日)
    10月  38人(本22人、新16人  /13日)
    11月  41人(本27人、新14人  /13日)
    12月  31人(本16人、新15人  /11日)


    数字で見れば、
    わずかな差に思えるかもしれません。
    けれど、現場に立つ身としては
    体感的にかなり少なく、
    気が焦るばかりでした。

    私には、「お客様は自分で呼び寄せている」という
    静かな自負がありました。
    本指名のお客様はもちろんのこと、
    新規のお客様であっても
    「写メ日記やHPを見て会いに来ました」
    と言ってくださる方が非常に多かったからです。
    中には半年間も予約枠を追い続け、
    思いを募らせて来店してくださる方まで
    いらっしゃいました。
    そのため、いつしか自分の集客力に
    自信を持つようになっていたのです。

    けれど、そんな流れが
    永久に続くわけではありません。
    どんなに個人が努力しても、
    店舗側が新規のフリーのお客様を
    バランスよく回してくれなければ、
    個人の力だけで集客を維持し続けることには
    限界があります。

    待機時間が長くなり、
    廊下越しに他のキャストが案内されていく
    足音が聞こえると、
    普段なら気にも留めないようなことまで
    胸に刺さるようになってきます。

    頭では分かっているのです。
    自分が連日バタバタと忙しくしていた時、
    他の女の子たちはそれを羨ましく
    見ていたかもしれない。
    勝手な被害妄想だと分かっていても、
    いざ自分が暇になると、
    心に嫌な雑音が混じり始めます。


    (私はちゃんと本指名も返して
    お店に貢献しているのに、
    どうして私にはフリーのお客様を
    付けてくれないんだろう……)


    自分の予約でしか仕事が発生しない日が続くと、
    そんな思いが心を曇らせてきます。
    今振り返れば見事なまでの被害妄想ですが、
    当時の私はそれほどまでに追い詰められ、
    視野が狭くなっていました。

    自分なりに結果を残してきたつもりでも、
    店舗のスタッフから面と向かって
    褒められることはほとんどありません。
    清算の際、事務的に「今日もさすがですね!」と
    言われることはあっても、
    そこに深みのある言葉を感じることは
    ありませんでした。
    現場でどれだけの神経をすり減らし、
    工夫を凝らして指名を返しているかなど、
    裏方の男性スタッフには
    理解できるはずもないのです。

    売上が伸びなかった日に言われる
    「今日は暇ですみません……」という言葉も、
    単なる店舗側のマニュアルに過ぎません。

    「次回は頑張りますので!」そう言われても、
    当然ながら保証してくれるわけでは
    ありません。
    そんな言葉だけの建前なら要らないのに、
    と投げやりな気持ちになってしまうことも
    ありました。

    収入が不安定になると心まで不安定になり、
    人間の嫌な部分が顔を覗かせます。
    特別にちやほやされたいわけではないけれど、
    せめて自分の努力を正当に認められたい、
    褒められたい。
    そんな承認欲求が芽生えてしまうのです。

    ですが、その感情をそのままスタッフに
    ぶつけるのはあまりにも不躾で、
    大人の振舞いではありません。
    幸いにも、私にはそこを抑えるだけの
    理性が残っていました。

    そこで当時の私は、
    他の店舗への移籍を調べてみることにしたのです。


    トップランカーの決断

    本気で移籍したいのか自分でも分からないまま、
    求人ページを繰り、
    条件の合う人妻店を探し始めました。
    今より環境が悪くなっては意味がないため、
    より客層が良く、集客力の高そうなお店を探します。

    そして、とある一軒のお店に目が留まりました。

    そこは店舗を構えない出勤スタイルで、
    他のキャストやスタッフと顔を合わせずに済む
    お店でした。
    当時の荒れていた私の心境には、
    その人間関係の少なさが
    とても魅力的に映ったのです。
    客層も良く、客単価も高い
    高級店に分類されるお店でした。


    しかしながら、当然高級店であれば
    キャストに求められるレベルも高くなります。
    少し迷いましたが、
    「落ちたら落ちたでそれまでだ」と割り切り、
    思い切って面接を申し込んでみることにしました。


    しかし結果として、
    私はその面接を辞退いたしました。


    年末まで現場で働き抜き、
    1年の統計データを自分で集計し終えた時、
    「もう少し今のお店で腹を括って働いてみよう」
    という結論に至ったのです。

    自問自答の中で、
    「どちらの選択が、後でより深く後悔するか?」
    を天秤にかけました。

    1. 高級店に移籍したものの、思いのほか指名が取れず落ちぶれてしまった場合

    2. 今の店舗で指名が減り、雲行きが怪しくなってきた場合


    圧倒的に、前者のダメージの方が
    大きいと判断しました。
    万が一面接に合格したとしても、
    レベルの高い環境で指名が取れずに自信を失い、
    そこから元の店舗に出戻るようなことになれば、
    プライドの高い私の精神的ダメージは
    計り知れません。

    一方で後者の場合は、
    単純に自分の営業努力不足として
    潔く受け止めることができます。

    当時の私は、写メ日記を頻繁に更新したり、
    SNS等を使って過剰に集客したりすることに
    積極的ではありませんでした。

    風俗のキャストらしい誘い文句を打つのも苦手で、
    日記を書く時はいつも自分の想いを
    丁寧に綴ってきました。
    例えるなら、ちょうどこのnoteのような文章です。
    けれど、その真面目な文章を読んだ方が
    「ぜひ会ってみたい」と指名してくださったことも、
    何度もありました。


    「フリーを付けてくれない」などと
    他力本願を嘆く前に、もっとできることがある。


    そのことに、ハッと気づかされたのです。

    高級店への挑戦は、
    今できる努力をすべてやり尽くし、
    本当に行き詰まってからでも遅くはない。

    そう思い直した私は、
    これまで出会えた大切な本指名のお客様を
    何より大切にし、2025年も変わらず
    同じお店に立ち続けることを決めました。


    風俗嬢は、一人の個人事業主です。


    その当たり前の原点をもう一度心に強く刻み込み、
    日記やお客さまへの向き合い方といった
    営業努力にも少しずつ力を入れ、
    お客様に心から喜んでいただけるように
    より一層尽力していこう。


    ――そう誓った2025年の抱負が、
    『日進月歩』でした。


    目覚ましい華やかな活躍は望まない。
    ただ一日一日、自分らしく輝いていられるよう、
    一歩ずつ前に進んでいく。
    待機時間が長くなっても腐らず、
    そもそも待機にならないように、
    できる限り工夫を重ねていく。

    そう改めて誓った、2025年の初頭でした。


    そして、この仕事を行う上で、
    私が常に自分に強く言い聞かせていることが
    2つあります。


    『金銭感覚』と『性感覚』を麻痺させないこと。


    手にできる対価として高額だからこそ、
    その感覚に慣れて仕事を軽んじないこと。
    そして、お金を伴わないプライベートなセックスを
    嫌悪するようになってしまわないこと。

    風俗嬢という生き方は、
    私にとって人生の目的ではなく、
    あくまで一時的なサバイバル手段です。
    この世界にどっぷりと浸かりきってしまわないよう、
    自分自身の軸を強く持って進んでいく。

    2025年は、そんな決意を胸に秘めて始まりました。
    KANAの2年目の歩みを、
    どうか引き続き見届けてください。

    2026年7月26日
    KANA



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    ※今回は、執筆後記はおやすみです。


     
     
     
    36歳未経験から、副業として2年半で総売上1,000万円を達成した元トップランカー👑 「最高のサービスタイムはキャストお客様、二人で創り上げるもの」 信念と成長、再生を綴るオートフィクション✍️ 【全100話連載 毎週水・日曜日21時更新】 (有料記事 累計230回超購入/感謝)

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