
となりのトップランカー #04 | はじめてのお客様
採用が決まり、私は体験入店という形で
お仕事をスタートすることになりました。
源氏名は、なほ
お店年齢は、38歳
普段から実年齢より
下に見られることが多いので、
その設定には少し不安がありましたが、
お店の指示に従いました。
そのお店のキャストは40〜50代が中心で、
30代半ばでも若過ぎて
浮いてしまうのだそうです。
中には70代の方もいらっしゃるとのことでした。
体験入店でも、
お給料や待遇面は変わりません。
ただ、大体2週間〜1ヶ月くらいまでには
結論を出してねと言われました。
いざ初出勤
手渡されたバッグの中身を確認しながら、
事務的な説明を受けます。
タイマーのセット方法、衛生管理の徹底。
そして、別れ際の注意点。
「もし相手が痛がるようなら、
病気の可能性があるので中断していい」
「別れるときは、しっかり背中が
見えなくなるまで見送って」
それらの言葉に、この仕事の生々しさと、
やっぱり危険が付き纏うのだという現実を
痛感させられました。
「過激な要求や嫌なことがあったら、
断っていいからね」
更に強く念を押され、私はただ頷きました。
ここまで来たら、もう引き返せません。
程なくして、
なほとしての初仕事はすぐに決まりました。
90分のコースです。
「全くの未経験ってことは伝えてあるから、
心配しなくていい。
うちのお店に何度も通ってくれてる人だから、
色々教えてもらうといいですよ」
そう背中を押されて、
私は微かな安心を抱きながら、お店を出ました。
冷たい現実
しかし、一度現場に入れば、
その言葉がいかに空虚な理想であったかを
思い知ることになりました。
「こうして欲しい」「こうしたい」
といった問いかけがあって初めて、
こちらは「拒否」という選択肢を
得ることができます。
私には、その権利すらありませんでした。
そして私は、その現実を受け入れました。
全ての時間が終わったあと、
お客様は言いました。
「そんなおしりをしてるから悪いんだ」
「他の奴にはさせてはいけないよ。俺はいいけど」
そんな身勝手な言い訳を、
私はただニコニコと笑って
聞き流しました。
「また来るから。頑張ってね」
そう言って去る背中が、見えなくなるまで。
周りに知っている人が誰もいなくなって、
やっと私は息をつきました。
(……こんなものか)
そう思うことだけが、
あの時の私にできる唯一の反抗でした。
お店に戻り、先程送り出してくれた
スタッフさんに「大丈夫でしたか?」と聞かれ、
私は「大丈夫です」と答えました。
強がりではなく、本当に。
だって、わかっていたんです。
現実は思っていたより優しくはなく、
かといって耐えられないほど
厳しくもありませんでした。
私が想像していたことは、
私には「できる」ことでした。
このあともうお一人ご予約をいただき、
初日の売り上げは20,450円。
相場として高いのか安いのかは、
私にはわかりませんでしたが、
けれど数時間で稼いだお金としては、
紛れもなく高額です。
「明日も、出勤します」
そう告げて、私は最終電車に乗って
家路につきました。
2026年3月25日
KANA
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その夜の真実
156cm、48kg。胸はDカップ。
それが、ありのままの私です。
私の初めてのお客様は、
まずそのスタイルを褒めてくれました。
おしりの形がいいと言われました。
積極的に運動しているわけではありませんが、
普段から体型や姿勢には気を遣っています。
その成果があったのだと嬉しくなり、
同時に、自分にまだ「女としての魅力」が
あったのだということに安心しました。