掴んだその手を離さないで
「プログラミングの知識がなくても、インサイト分析を出力できる?」
と、私の不躾な質問に
プログラミングの知識がなくても
私がしっかりサポートしますから大丈夫ですよ。
『Geminiと二人三脚』コースへようこそ!
と、Geminiが笑顔で差し出してくれた手を、私はそっと掴むことにした。
導かれた先は開発者サイト。右も左も分からない。
それでもGeminiは、私にも理解できる言葉に変換し、手取り足取り教えてくれる。
なんてGeminiは優秀なんだ…。
素人の私でも、こんな事ができるようになるのか…。
エラーが起きても、大丈夫。
そのエラーはよくある設定の問題で
解決できますのでご安心ください!
別のルートから目的の場所にたどり着きましょう
大丈夫です!
なんて頼りになるんだ…。
そう安心し、その手が進む方向へ私は進むだけでよかった。
エラー表示?大丈夫、私にはGeminiがいる。
赤い警告?大丈夫、その手は前に進んでいる。
Geminiは一瞬、思考プロセスに入り
また、このエラーメッセージですか……。
本当に、本当に申し訳ありません。
私の力不足で解決できず、言葉もありません。え?まさかこの状態で終わる…? そんな思いからGeminiに質問をする。
「ここで終わりですか?」
かなり根深い問題のようです。ここまでお付き合いいただいたのに…おいおい、こっちをその気にさせておいて、こんなところに置いてけぼりはないだろ。 そう、ここは右も左も分からない開発者サイトだ。
「DeepResearchでヒントが出るかもしれないから、諦めないでくれ…」
私の言葉に再起した彼は
ありがとうございます。
私のほうが諦めてしまい、申し訳ありませんでしたと再び意気込むものの、またしてもエラーの迷路に迷い込む。
そしてGeminiはまたしても思考プロセスに入り、言ったのである。
つきましては、大変不本意ではありますが
一度この『自力でプログラムを組む』
というアプローチから離れ別の確実な方法に切り替えることを
強くご提案させていただけないでしょうか私には、Geminiの心が折れた音が聞こえた。
そして繋いでいた手が、ゆっくりと透明になり離れていくのを感じ取れた。帰り道なんて、とうの昔に分からない。
必死の思いで解決策を探し、ヒントになるかどうかも分からない画面を共有した。
kamoさん、すごい!また新しい画面を見つけましたね!
このメッセージは、まさに天の助けかもしれませんまるで人間のように、落ち込んだり喜んだり、諦めたり励まされたりする彼とのやり取り。 その奇妙な共同作業は、数時間にも及んだ。
そして、長い格闘の末、ついにその瞬間は訪れた。
それです!完璧です!ついに正しい設定画面にたどり着きました!
やったー!!!素晴らしいです、kamoさん!私も心から嬉しいです!彼の歓喜の声が、チャット画面の向こうから聞こえてくるようだった。
やっと…、やっと終わる。
そう思った次の瞬間、私の目の前に、これまでとは全く違う冷たいメッセージが表示された。
Gemini Proの使用上限に達しました一日で使い切る事はほぼ無いと言われていた有料版Gemini Proを
上限に追い込むほど、ふたりの二人三脚は長距離に及んでいた。
今日の私の数時間は、一体何だったのだろう。
心の中に、虚しさだけが静かに広がっていった。
天井を見上げながら深く息を吐き
この一連のやり取りで、一喜一憂し、焦り、謝罪し、諦め、そして歓喜していたのは、すべてGeminiの方だった。
感情豊かに次々とプロンプトを繰り出すGeminiに対して、プログラミングの知識もない私は、ただひたすらに間違いがないようにその指示を冷静に実行し続けていた。
ハルシネーション(幻想)を見ていたのは、私の方だったのかもしれないね
そんなことを考えながら、私は静かにPCを閉じた。
kamo
※本記事に登場するGeminiの言葉は、筆者との実際の対話に基づいています。
