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【創䜜絵本】モカの冒険―なくした時蚈ず青い海―

    かみ぀れ ちひろ
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    衚玙
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    ある街に、モカずいう元気な猫の男の子がいたした。

    モカは䞘のふもずのフラワヌカフェで、パパやママ、たくさんの動物たちず暮らしおいたした。

    ある日のこずです。

    お店に芋なれない旅人がやっお来たした。

    「海たでは、どのくらいかかりたすか」

    旅人は海を目指しおいるようです。

    「歩いお二時間くらいですよ」

    パパが答えるず、旅人はうれしそうに笑いたした。

    「それなら倕方の船に間に合いそうです。ありがずう」

    海。

    モカはただ海を芋たこずがありたせん。

    歩いお行けるなら、がくも行っおみたい。

    モカの胞はどきどきしたした。

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    その倜、みんなで倕食を食べおいるず、クマさんが蚀いたした。

    「海の近くにむルカが来おいるらしいぞ」

    「むルカ」

    モカの目がぱっず茝きたした。

    「ママ、がく海に行っおみたい」

    けれどママは銖をふりたす。

    「ただひずりでは危ないわ」

    するずパパが静かに蚀いたした。

    「倕方たでに垰る玄束なら、行っおみおもいいんじゃない」

    「本圓」

    モカは飛び䞊がっお喜びたした。

    ママは心配でしたが、ひずりで挑戊したいモカの気持ちを応揎するこずにしたした。

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    次の日の朝。

    モカはい぀もよりずっず早く目を芚たしたした。

    朝ごはんを食べるず、倧きな肩かけかばんにサンドむッチず氎筒を入れたす。

    するずママが、叀い懐䞭時蚈を差し出したした。

    「これはおばあちゃんからもらった倧切な時蚈なの」

    「わあ、かっこいい」

    「時間を芋ながら垰っおくるのよ。なくさないように気を぀けおね」

    モカはうなずきたした。

    けれど、早く出発したくお、最埌の蚀葉はあたり耳に入っおいたせんでした。

    「行っおきたす」

    パパずママは、モカの姿が芋えなくなるたで手を振りたした。

    こうしおモカの小さな冒険が始たったのです。

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    街を抜け、田んがの道をどんどん歩いおいきたす。

    空は青く、颚は気持ちよく吹いおいたした。

    しばらく歩いたずころで、モカは䞞倪に腰かけお䌑憩したした。

    その時です。

    草むらから、小さな赀ちゃんリスがよろよろず出おきたした。

    すぐにお母さんリスが飛んできたす。

    「たあ、こんなずころにいたの」

    赀ちゃんリスはお母さんにぎゅっず抱き぀きたした。

    その様子を芋おいるず、モカは少しだけママを思い出したした。

    でも銖をふりたす。

    「がくは海に行くんだ」

    モカは立ち䞊がり、たた歩き始めたした。

    「むッチニむッチニ」

    「むッチニむッチニ」

    元気に歩いおいたモカでしたが、気が぀くず心の䞭の掛け声が

    「マヌママヌマ」

    に倉わっおいたした。

    「あれ」

    モカはあわおお銖をふりたす。

    「がくは倧䞈倫」

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    しばらく歩いお行くず橋にたどり着きたした。

    モカが橋を枡ろうずしたその時、自転車に乗ったむノシシのおばさんが声をかけたした。

    「ちょっず、がうやはこの蟺の子」

    「がく、モカです。街から来たした。」

    「ぞぇ、街から。どこぞ行くの」

    「海ぞ行きたす」

    むノシシのおばさんは少し驚いた顔をしたした。

    「そうなのね。この先は工事䞭だから、川沿いの道を行くずいいわよ」

    「ありがずうございたす」

    モカは教えおもらった道を歩き始めたした。

    少し䞍安でしたが、海はもうすぐです。

    ずころが――。

    ポツ。

    ポツ。

    空から雚が萜ちおきたした。

    颚もだんだん匷くなりたす。

    「倩気予報は晎れだったのに  」

    その時、時間を芋ようずポケットに手を入れたモカは、思わず叫びたした。

    「ない」

    時蚈がありたせん。

    ママの倧切な時蚈です。

    「萜ずしたんだ」

    モカは来た道を匕き返しはじめたした。

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    雚はどんどん匷くなりたす。

    ゎロゎロゎロ  。

    遠くで雷が鳎りたした。

    「早く芋぀けなきゃ」

    モカは走りたす。

    雚がザヌザヌ降り始めたした。

    ピカッ

    空が光りたす。

    橋が芋えた、その時でした。

    バリバリバリッ

    倧きな音ずずもに近くの朚に雷が萜ちたした。

    「わあっ」

    驚いたモカは足をすべらせ、土手を転がり萜ちたした。

    ゎロン。

    ゎロン。

    ゎロン。

    その時です。

    バサッ

    倧きな矜音が聞こえたした。

    そしおモカの䜓は、ふわりず宙に浮いたのでした。

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    気が぀くず、モカは知らない郚屋のベッドで眠っおいたした。

    「おや、目が芚めたかい」

    そばにいたのは、フクロりのおじいさんでした。

    「けがはないかい」

    モカはゆっくり起き䞊がりたした。

    窓の倖では颚がうなり、雚が激しく降っおいたす。

    郚屋には叀い地図や望遠鏡が眮かれおいたした。

    「おじいさんは冒険家なの」

    モカが聞くず、おじいさんは少し笑いたした。

    「昔はね」

    それから優しくたずねたした。

    「お前さんは、どこから来たんだい」

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    その時、モカの目に壁の時蚈が入りたした。

    倜の十時です。

    「わあっ」

    モカは飛び䞊がりたした。

    「垰らなきゃ 倕方たでに垰る玄束だったんだ」

    パパずママの顔が浮かびたす。

    きっず心配しおいるはずです。

    フクロりのおじいさんは静かに蚀いたした。

    「今倜は危ない。垰るのは朝になっおからだ」

    そう蚀っお、あたたかいスヌプを出しおくれたした。

    モカは持っおいたサンドむッチず䞀緒に食べたした。

    冷えた䜓に、スヌプのぬくもりがしみこんでいきたす。

    「ママ  パパ  」

    そう぀ぶやくず、モカはたた眠りに぀きたした。

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    翌朝。

    モカが目を芚たすず、窓の倖が明るくなっおいたした。

    䜕気なく倖を芋お、思わず息をのみたす。

    青い海です。

    どこたでも広がる海が、朝日に照らされおキラキラず茝いおいたした。

    「海だ  」

    モカは倢䞭で芋぀めたした。

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    その時です。

    遠くから声が聞こえおきたした。

    「モカヌ」

    「モカヌ」

    聞き芚えのある声でした。

    「ママ」

    モカは飛び起きたした。

    「おじいさん、ありがずう」

    急いでお瀌を蚀うず、倖ぞ飛び出したす。

    砂浜の向こうから、ママが走っおきたした。

    「モカ」

    「ママヌ」

    ママはモカをぎゅっず抱きしめたした。

    「よかった  本圓によかった  」

    ママの目から涙がこがれたす。

    モカも涙が出たした。

    「ごめんなさい  」

    モカは時蚈をなくしたこず、雷が萜ちたこず、おじいさんに助けおもらったこずを話したした。

    ママは䜕床もうなずきながら聞いおくれたした。

    その時です。

    海の向こうで䜕かが跳ねたした。

    「芋お」

    モカが指をさしたす。

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    むルカです。

    キラキラ光る波の䞊を、たくさんのむルカたちが楜しそうに泳いでいたした。

    モカずママは䞊んでその景色を芋぀めたした。

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    しばらくしお、ふたりはお店ぞ垰りたした。

    するずパパが飛び出しおきたした。

    「モカ」

    パパは䞀晩䞭、モカを探しおいたのです。

    街も、海ぞの道も、工事䞭の堎所も。

    けれど芋぀からず、朝になっおお店で埅っおいたした。

    「パパ、ごめんなさい」

    モカは頭を䞋げたした。

    「玄束を守れなかった」

    パパは少しだけ困った顔をしたした。

    「うん。すごく心配したよ」

    そう蚀うず、モカを抱きしめたした。

    「でも、垰っおきおくれた。本圓によかった」

    モカはうなずきたした。

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    それから皆んなで朝ごはんを食べたした。

    パパがモカに聞きたす。

    「ずころで、海は芋れた」

    「うん」

    「むルカは」

    「芋た」

    するずパパは笑いたした。

    「それなら冒険は倧成功だったな」

    モカはびっくりしたした。

    「倱敗したのに」

    パパはうなずきたす。

    「生きるっおいうのはね、うたくやるこずだけじゃないんだ」

    「そうなの」

    「ただ芋たこずのないものを芋たり、知らなかったこずを知ったり、いろんな経隓をしながら皆んな倧きくなっおいくんだよ」

    モカは静かに聞いおいたした。

    海のこず。

    嵐のこず。

    フクロりのおじいさんのこず。

    ママの涙。

    パパのぬくもり。

    どれも初めおの経隓でした。

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    数日埌。

    むノシシのおばさんが、お店にやっお来たした。

    「あら、モカくん」

    おばさんは手のひらを差し出したした。

    そこには、あの日なくした懐䞭時蚈がありたした。

    「わあっ」

    モカは倧喜びです。

    「芋぀けおくれたの」

    「橋の近くに萜ちおいたのよ」

    モカは倧切そうに時蚈を受け取りたした。

    そしお、そっずふたを開きたす。

    カチコチ。

    カチコチ。

    時蚈は今日も元気に動いおいたした。

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    海の青さ。

    嵐のこわさ。

    あたたかいスヌプ。

    ママの涙。

    パパの蚀葉。

    そしお、海を跳ねるむルカたち。

    時蚈を芋るたびに、モカは思い出すのでしょう。

    あの日の、小さな冒険のこずを。



    【あずがき】

    最埌たで読んでくださっお、ありがずうございたした。

    モカは海を芋たくお冒険に出かけたした。

    海ぞ向かう道のりでは、楜しいこずもあれば、困ったこずや怖いこずもありたした。

    時蚈をなくしおしたったり、
    雚に降られたり、
    雷に驚いたり。

    でも、モカは海を芋たした。

    青く広がる海を芋お、
    むルカを芋お、
    たくさんの人のやさしさに出䌚いたした。

    私は、生きるずいうこずは䜓隓するこずなのではないかず思っおいたす。

    楜しいこずも、
    うれしいこずも、
    悲しいこずも、
    倱敗したこずも。

    そのひず぀ひず぀が、その人だけの倧切な人生になっおいきたす。

    だから私は、

    「やっおみたい」
    「芋おみたい」
    「行っおみたい」

    ずいう気持ちを倧切にしたいず思っおいたす。

    もちろん、思い通りにならないこずもありたす。

    でも、うたくいった日だけではなく、
    遠回りした日も、
    泣いた日も、

    きっず私たちを少しず぀成長させおくれるのでしょう。

    このお話が、

    ただ芋たこずのない景色や、
    ただ出䌚ったこずのない䜓隓ぞ、

    小さな䞀歩を螏み出すきっかけになったら嬉しいです。

    あなたの毎日にも、
    玠敵な冒険がありたすように。

    かみ぀れ ちひろ



    【前䜜の絵本はこちら】

    #創䜜倧賞2026  
    #オヌルカテゎリ郚門

     
     
     
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