メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byjasu

逢いたい菜(#毎週ショートショートnote)

    カミヲ勘デ

     子供の独立、役職定年、妻との別れ、50歳を超えると人生の店じまいに向けたイベントが少しづつはじまる。酒にも弱くなり、体力もなくなった。持て余すのは時間だけ。少しだけローンの残る猫の額ほどの家の庭で家庭菜園をはじめた。
     枝豆、トマト、簡単なものばかり。
     今日もホームセンターで種を見定め。
    「少し難しいものにも調整してみようかな・・・」
     ふと目についた黄色いパッケージ。ほうれん草に似た野菜商品名は
    “逢いたい菜”
    「葉物にも挑戦してみよう」
     黄色い袋を買って、庭に植えた。
     1か月後には、青々とした野菜が採れ、さっそくお浸しで食べてみる。
    少し苦い。
     その日、妻の夢を見た。若かかったころのディズニーランドでのデート。海辺の公園でのプロポーズ、子供が生まれた時。まるで走馬灯のよう。不思議な夢だった。
     あの頃は夢がたくさんあった。そして隣には必ず妻がいた。
     今は一人。でも悔いのないように生きないと。
     でもまた「逢いたいな」
     それはまた今度。

     
     
     
    氷河期世代/法人営業の会社の支店長/これからの人生、言葉を大事にして喜びを共有/自分の経験がみんなに少しでもお役に立ちできれば/

    あなたへのおすすめ