
【ショートショート】ブドウ味の信号機
「信号機ってブドウの味なんだよ!」
ある日、交差点の信号を見て息子が言った。
一体何を言っているのか?
信号機に味があるはずなんてない。
そんな息子が病気になった。
病院のベッドの上で唸っている。
どうしたらいいのか分からない私は、夫に相談した。
すると夫は
「信号機を食べさせればいいんだよ」
何を言っているのか分からない。
だが、それで息子が元気になるのなら……。
そう思った私はブドウ味の信号機を探した。
あちこちのスーパーを走り回り、あらゆる人に聞いて回った。
そしてとうとう、公園である老人に出会った。
「ブドウ味の信号機か……。
確かにある。しかも、健康になれる。
だがね……」
その後の話を聞くこともなく、私は走りだした。
そしてとうとう見つけた。
大きな信号機の根元になる、小さな信号機。
ブドウのように鈴なりになっているそれは、今まで見たこともない。
それを手に取り、息子の元へ急いだ。
美味しそうに食べる息子。
息子は元気を取り戻し、赤青黄色の信号機に――。
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