
【ショートショート】血材
無機質な部屋の中、テーブルと椅子。
窓のない部屋。
私の目の前には、額に血管を浮かべて怒鳴る男がいる。
唾を飛ばし、目を血走らせ、今にも掴みかかってきそうだ。
「だからさっきから言ってんだろうが!
あんたはなんでこんなことをしたんだよ!
あ?! さっさと白状しちまえば、楽になるだろうが」
そう言って、テーブルに置かれた写真を指さす。
写真には、かつては若かったであろう女の遺体。
だが、皮膚はシワシワ。
顔もしわくちゃ。
まるでお婆さん。
「この写真の人って……」
「なんだ? 話す気になったか?」
「死亡推定時刻はいつですか?」
男はわざとらしくため息を吐くと、私を睨んだ。
「一か月前だよ。
俺よりアンタの方が詳しく知ってるんじゃないのか?」
――ああ、一か月前か。
お腹がギュルルとないた。
「お腹、空いたんですけど。
血の滴るようなステーキとかって、出ないんですか?」
「でねえよ! でるわけねぇだろうが!」
せめてステーキなら、少しは空腹もやわらぐのに。
「そんなことより、白状しろって!
ゲロっちまえば、腹いっぱい食わせてやるからよ」
「え?! 本当に?
白状したら、お腹いっぱい食べさせてくれるの?」
「ああ、いくらでも食わせてやるさ。
ステーキは無理だけどなw」
男の口角が上がる。それと同時に、私の口角も上がる。
そして舌なめずり。
「で、どうやって殺ったんだ?」
私は男に笑みを見せながら、全てを話して聞かせた。
「これで全てよ」
話し終えると、にっこりとほほ笑んだ。
視線は男に釘付けだ。
男は驚きのあまり、目を大きく見開いている。
その男に私が言う。
「全部話したわよ。
じゃ、約束通りいただくわね」
男の胸元を鷲掴みにすると、私の口が大きく開き、男の首元に歯を立てた。
その途端、廊下にまで男の悲鳴が響き渡った。
私は、次に、部屋に入ってくる男たちを想像し、今日は何人のご馳走を口にできるかと考えながら吸い続けた。
男の皮膚はどんどんシワシワになっていく。
私の皮膚は、みずみずしく光を帯びていく。
朝、そろそろ目が覚めそうだな、という時に夢に出てきた「血材」というワード。
寝ながら「これは面白い作品になりそうだ!」と思い、起きてすぐに書きだした。
書いてみると、「そうか、これって吸血鬼だったのか。ふむ」という感じ。
分かってなかったんかーい!
というのが、作品のオチというより、脳内劇場へのツッコミだったw
※かめママブログ書庫入り口👇
※小説の入り口