
【ショートショート】積読美術館
散歩をしていると、古めかしい美術館が目についた。
見たこともないそれの名前は【積読美術館】。
「積読美術館?」
不思議に思いながらドアを開けた。
するとたくさんの本が並んでいる。
美しい装丁のものやボロボロなものまで。
「知らない本ばかり。作者は……知らないなぁ」
読書家の私は一冊の本を手にした。
書かれている内容は、主人公の人生だ。
苦しみもがき、悩み泣く、そんな人生の中に一条の光が射す。
思わず読み耽っていると、美術館の男性がやってきた。
「気に入りましたか?」
「あ、すいません、勝手に」
「構いません。ここは図書館のような美術館です。
ですが、あまり真剣に読まない方がいいですよ」
その男はにっこりとほほ笑むと、足音を響かせ離れていった。
真剣に読むなとはどういうことか?
意味が分からないながらも、本に目を落とした。
外が暗くなった頃、先ほどの男が近づいてきた。
そこには新しい本が落ちていた。
本のタイトルは「散歩」。
作者は――私の名前だった。
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