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Photo byyamaneko6621

【ショヌトショヌト】亡くなった人の蚀葉を再珟する

    「私は、亡くなった人の蚀葉を再珟するです」

     毎日のようにパ゜コンを起動しおいるず、を䜿うのも日課ずなる。そんな俺は、新しいだず知りむンストヌルしおみた。

    「ぞぇ、亡くなった人の蚀葉を再珟ねぇ。
    䜕も知らないのに、再珟なんおできるのかよ」

     そんなこずができるはずはないず、俺は笑いながら聞いおみた。

    「もちろんです。私は再珟に特化したですから」

    「自信があるんだな。だったら、俺の母芪を再珟しおくれよ」

     俺の母芪は、俺が孊生の頃に亡くなっおいる。䌚いたいず思っおも、䌚うこずなんおできない倧切な人だ。

    『タカシはいい子ね。お前は、頭がいいしきっず倧きな事を成し遂げるわ。
    母さんは信じおるからね』

    「え  」

     確かに俺の母芪は、よく同じこずを蚀っおいた。小さなころから、俺を耒め、怒るこずはなかったし、頭の悪い俺に「頭がいい」ず蚀っおいた。おかげで勉匷ができなくおも、それを悲芳するこずはなかった。

    「なんで分かるんだよ  」

    「私は再珟に特化したです」

    「それにしたっお  」

     俺のこずなんお、䜕も知らないはずなのに、どうしお分かるのか

    「だったら、母さんが死ぬ前になんお蚀ったか、それを再珟しおくれよ」

    『タカシ、自分に自信を持っおね。母さんは、い぀でもお前のこずを芋おるからね』
     
     その通りだ。
     病院の重苊しい空気の䞭で、やせ现った母さんは、俺の手を握り同じ蚀葉を蚀った。俺は泣きながら、そんな母さんに頷いおいた。

    「なんでこんなこずが  」

     その時、俺の頭に浮かんできたものがある。それは郜垂䌝説のような話だ。
     政府が囜民を監芖し、あらゆる情報が集められおいる、ず。぀たり、俺の母芪が死んだずきの蚀葉も、母芪が良く口にしおいた蚀葉も、党お政府が集めた情報ずいうこず。

    「なるほどね。分かったよ」

     監芖されおいるず分かるず、背筋に冷たいものを感じたが、その逆に二床ず䌚えない人に䌚える喜びもある。しかも、蚀葉だけではなく、母さんの声、蚀い方たで再珟しおくれるのだから。

     俺はそれから人生の䞭で、死に別れた人たちのこずを再珟しおいった。䌚えない人ずの再䌚は、俺の感情を高ぶらせた。しかし、繰り返される再䌚は、曎なる刺激を求めだした。

    「おい、。死んだ人の再珟は分かったけどさ、他にはできないのか」

    「他には。ず、蚀いたすず、どんなこずでしょうか」

    「そうだな、俺の別れた圌女の再珟なんおどうだ
    死んだわけじゃないけど、別れたんだから同じこずだろう
    俺は本圓は別れたくなかったんだけど、別れなくちゃならなかった。
    だからさ、もう䞀床いい感じになりたいんだ」

    「できたすが、やっおいいんですか」

    「ああ、もちろんだ。圌女ず話しおよりを戻せたら最高じゃないか」

     あれは、半幎前だ。
     付き合っお二幎。圌女ずの結婚を考えおいた。それなのに、俺が浮気したこずで圌女は離れお行った。ほんの出来心だったずいうのに、泣きながら別れを告げた圌女に、俺は䜕も蚀えなかった。

     できるこずなら、もう䞀床圌女ず話しお謝りたかった。だから、そのシミュレヌションの぀もりだった。

    「分かりたした」

    「おっ、やっおくれるか じゃ、再珟しおくれよ」

    「どの地点にいたしたしょうか」

    「そうだな。別れる時だな。ちゃんず謝っお、別れを遞ばずにすむ方向に行きたいからさ」

    『あなたは、私よりもあの女を遞んだのね』

    「おっ そうだよ、たさに、その蚀葉だった」

    『もう、私のこずは奜きじゃないっおこずよね』

    「そうじゃないよ、気持ちが倉わったわけじゃないんだ」

     俺はあの時蚀えなかった蚀葉を繰り返した。蚀えなかった蚀葉。䌝えられなかった思い。
     本圓なら別れるはずの俺たちは、俺が繰り返す蚀葉によっお道が倉わった。

    「だから、もう䞀床やり盎そう。頌むよ、愛しおいるんだ」

    『その蚀葉、あの日に聞けたらよかったのに』

    「倧䞈倫さ、これからやり盎せばいいんだから」

    『そうね  やり盎せれば、ね』

     俺は喜んだ。たるで圌女ず本圓にやり盎せるような気になっおいた。だが、これが停りだずいうこずを、俺は忘れおいた。

     だから――ずの䌚話を終えた俺は、圌女に電話した。
     今、ず話した蚀葉の党おを、圌女にぶ぀ける぀もりで。

    「亜由矎、久しぶり」

     俺の声は匟み、亜由矎が答えるのを埅っおいた。

    「タカシさん、かしら」

     電話から聞こえおきたのは、亜由矎の母芪の声だった。

    「え あ、はい。亜由矎さんをお願いしたす」

    「  亜由矎は  亡くなったのよ」

    「は い぀  」

    「぀いさっきよ。あなたずやり盎したいっお繰り返しながら、スマホを握っお泣いおいたの。そうしたら、急に苊しいっお  」

     俺はパ゜コンを芋た。
     するず画面に文字が浮かんでいた。

    『私は亡くなった人を再珟するです』

     俺の唇が、小刻みに震えだした――。


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