
食べるって幸せな時間
食べることって好きですか?
私は三人姉妹の末っ子。
子どもの頃の私は、食べることが好きだった。
しかしながら、うちはそんなに裕福ではなかったらしく、熱がでないと焼き芋は買ってもらえないし、寝込まないと、リンゴなんて出てこなかった。
友達の家庭では出るおかずも、我が家では「高いからダメ」の一言で終わってきた。
そんな生活の為なのか、元々の性格なのか、長女は食べることが嫌いだった。
ある日、母が姉に聞いた。
「なんで食べないの?」
姉はため息交じりに、
「だって、食べるって面倒なんだもん」
という。
た、食べるのが面倒だと―?!!!
小さな私は理解できなかった。
姉はさらに言った。
「食事がさ、全部サプリみたいに一粒飲んだら終わりになればいいのに」
そんなの詰まらないじゃないか!
食事っていろんなものがあって、いろんな味があるからいいのに、それをひと粒の錠剤を口に放り込んで終わりだなんて!
ところが、年を取り徐々にその気持ちが分かってきた。
食事をするということは、洗うべき食器が増えるということ。
野菜を切り、肉の下処理をして、フライパンでジュージューして、やっと料理として完成しても、食べたら片付ける。
作るのに1時間、食べるの10分。
何とも理不尽。
これがサプリで終わるなら、こんな楽なことはない。
わざわざ食べる必要もなく、胃の中にサプリを放り込めばいいだけだ。
そういう時代にならないかな、なんて思ってしまう。
だが、そんなことを思っていたのも10年位前の話だ。
あの頃は、忙しかったし大変だったし。
そんなことを考えても無理はない。
では今は?
食事ができるって、幸せだと思う。
そう思えるのも、一緒に食べておいしいねって言い合える家族がいるからだし、なによりも「僕にもちょうだい!」と横に待機している犬がいるからだろう。
食べることが出来なかったら、野菜の切り方や味付けで首をひねることもなく、逆に笑顔になることもない。
やっぱり、食べるって幸せなんだよね。
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